北潜水艦ミサイル 中国は挑発を助長するな

読売新聞 2016年08月27日

北SLBM発射 増大する脅威へ対処が急務だ

北朝鮮の軍事的脅威が一段と増大していることが鮮明になったと言えよう。国際社会は連携して挑発を抑える取り組みを進めねばならない。

北朝鮮が日本海に向けて行った潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験について、国連安全保障理事会は非難声明を出す方向で検討に入った。

安保理が、制裁決議に違反して核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に、強いメッセージを迅速に送ることが肝要である。

金正恩政権は、米韓が配備を進める最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」に反発する。米韓合同軍事演習期間中のSLBM発射で奇襲能力を示し、日米韓に揺さぶりをかけたつもりなのだろう。

朝鮮中央通信によると、実験を視察した朝鮮労働党の金委員長は「核攻撃能力を完璧に保有する軍事大国入りを証明した」と宣言した。核兵器と運搬手段の開発に注力するよう指示したともいう。

北朝鮮が核弾頭を小型化してSLBMに搭載し、実戦配備することになれば、核攻撃の方法が多様化する。地域の安定を揺るがしかねない重大な懸念材料である。

SLBMは、事前に発射の兆候が捕捉されにくい。たとえ北朝鮮国内の兵力が壊滅しても、潜水艦から報復する役割を担える。

北朝鮮は、昨年春に水中発射実験を行って以降、SLBMの技術を急速に向上させている。

韓国軍によると、今回のミサイルは約500キロ飛行した。射程は2000キロに達する可能性がある。2~3年かかると推定されていた実戦配備がより早まるとの見通しも浮上している。日米韓は抑止力の強化が急務である。

韓国の朴槿恵大統領は、金委員長について、「予測困難だ」と分析し、北朝鮮の「核とミサイルの脅威」が現実になりつつあると、強い警戒感を示した。

朴氏が、金政権のエリート層に「亀裂の兆候」が見られるとして、国内を引き締めるため、さらなる挑発を行う可能性が高いと指摘したのは注目に値する。

在英国の北朝鮮大使館の公使が今月、韓国に亡命するなど、北朝鮮外交官の脱北が相次いでいることに基づく発言だ。

今年4月には、中国の「北朝鮮レストラン」従業員が集団脱走するという異例の事件も起きた。

「金王朝」の独裁体制が国際社会で孤立を深める中、国民の不満がさらに高まっていることを、もはや糊塗ことできまい。

産経新聞 2016年08月25日

北潜水艦ミサイル 中国は挑発を助長するな

北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射し、日本の防空識別圏の内側とみられる日本海に落下した。

危険極まりない敵対行為であり、断じて容認できない。国民の安全を守るため、政府は万全の備えをしてもらいたい。

北朝鮮は今年1月に核実験を強行した後、ミサイル技術の向上、戦力の多様化を誇示するかのように、ミサイル発射を繰り返している。

24日の日中韓外相会談は1年5カ月ぶりの開催であり、SLBM発射を受け北朝鮮に強い警告を与える格好の場となったはずだ。

「北朝鮮に挑発行為の自制や国連安全保障理事会決議の順守を強く求めていくことを確認した」(岸田文雄外相)というが、力強さを欠いた。その最大の要因は、メッセージを発した中国自身が、尖閣諸島(沖縄県)周辺で日本の領海侵入という挑発行為を繰り返していることだろう。

中国は南シナ海での主張を全面否定した仲裁裁判所の裁定も「紙くず」と一蹴し、耳を貸さない。そんな国が安保理決議順守を唱えたところで説得力を持つまい。安保理の対北非難声明も、中国が難色を示し、流れている。

外相として初来日となった中国の王毅氏は公開の場の発言で、北朝鮮の名指しを極力避け、「半島に緊張を引き起こすような言動に反対」といった表現を使った。

韓国の尹炳世外相との会談では、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備の撤回を求めた。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2597/