リオ五輪閉幕 さあ4年後は東京の出番だ

朝日新聞 2016年08月23日

リオ五輪閉幕 東京がモデルを築こう

聖火がしずかに消えて、リオデジャネイロ五輪が終わった。「多様性」のテーマのもとに集い、力を尽くした世界の選手に改めて拍手を送りたい。

南米で初となった今大会は開催国のブラジルだけでなく、南米全体に活力を与えた。

過去最多計41個のメダルを獲得した日本にとっても話題は多かった。大きなトラブルはなく大会は成功した。

今回は、ブラジル経済が急速に悪化する中で開かれた。大会組織委員会などは大幅に経費を削って臨まざるをえなかった。

次回2020年の五輪は東京で開かれる。開催費用の高騰が問題になっている東京は、リオ五輪の取り組みを参考にすべきだろう。

町を埋め尽くすような開催をアピールする飾りは、リオデジャネイロの市内にほとんどなかった。仮設会場や周辺の通路などは簡素なつくりだった。

五輪とパラリンピックの開会式と閉会式にかかる費用は、08年北京の20分の1、前回ロンドンの12分の1になるという。運営費と施設建設費の合計予算は、立候補当初の64億ドル(6400億円)から41億ドル(4100億円)へと削減した。

巨額の経費を理由に、冬季も含めて五輪の招致を断念する動きがある。国際オリンピック委員会は経費を抑えた持続可能な大会のあり方を模索し始めた。リオ五輪は、その課題に対する大きなヒントを与えた。

東京はリオ五輪の路線を継承し、最大限無駄を省いて、世界の多くの都市がめざせる新しい五輪の姿を示すべきだ。財政にも環境にもやさしい、エコ感覚に富んだ柔軟な開催モデルの実現は、世界に認められる開催理念にもなるだろう。

開催に向けては組織委と東京都、政府が一体となる必要がある。リオ五輪では五輪公共機関(APO)が設けられ、政府、州、市の間の調整にあたった。東京五輪でも、それぞれを横軸で調整する機関があれば準備がしやすくなるはずだ。

祝祭感覚で公の財布のひもがゆるみ、多額を費やしてモノを残すことよりも、人々の心に残る五輪を実現させたい。

ボランティアは国際感覚を養い、語学力を向上できる。数多く開かれる予定の文化行事に参加する人々は、経験しがたいような刺激を得るだろう。そして平等、尊敬といった五輪精神を共有する貴重な機会になる。

多くの市民がさまざまな形で参画し、学びあい、世界との絆を深める。東京五輪はそうした大会をめざしたい。

読売新聞 2016年08月23日

リオ五輪閉幕 さあ4年後は東京の出番だ

リオデジャネイロ五輪が閉幕した。

ブラジルの政情不安の中で開かれた大会だったが、テロなどの深刻な事件は発生しなかった。競技が予定通り実施されたのは、何よりだった。

ロシアの国ぐるみのドーピング違反が、大会に影を落とし、参加したロシア選手にブーイングが浴びせられる場面があった。

陸上競技の主力選手らの出場が認められなかった結果、ロシアの獲得メダル数は、2012年ロンドン五輪よりも26個も少ない56個にとどまった。

ドーピングに厳しい目が注がれる中、重量挙げで銅メダルとなったキルギスの選手らの違反が発覚したのは、残念な事態だ。薬物汚染を根絶する難しさを物語る。

大会中、国際オリンピック委員会(IOC)の理事が、観戦チケットの不正転売容疑などで逮捕された。ロシアへの甘い対応で批判を浴びたIOCにとっては、追い打ちとも言える不祥事だ。信頼回復が急務である。

日本選手団は立派な成績を残した。金12、銀8、銅21の計41個のメダル数は、過去最多だ。目指していた金14個には届かなかったものの、総数で30個以上という目標を大きく上回った。

陸上男子400メートルリレーでの銀メダルは、歴史的快挙である。山県亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥の4選手の激走は日本中に感動をもたらした。

日本のメダルのうち、7割近くを柔道、水泳、レスリングが占める。中でも、ロンドン五輪で金メダルがゼロだった柔道男子は、金2個をはじめ、全7階級でメダルを獲得して、盛り返した。

一方で、メダルを獲得した競技数が、ロンドン五輪の13から10に減ったことは気がかりだ。

閉会式で、東京都の小池百合子知事に五輪旗が引き継がれた。4年後は、いよいよ東京五輪である。日本オリンピック委員会(JOC)と各競技団体は、今大会の成績を分析し、4年後を見据えた効果的な強化策を練ってもらいたい。

運営面では、リオ五輪の教訓を生かすことが大切だ。チケットの販売不振などで、空席が目立つ会場が少なくなかった。治安面への不安を口にする選手もいた。

安倍首相は、閉会式に出席後、「今度は私たちが感動を提供する番だ」と強調した。

開催費用をいかに節減するかが、当面の課題だろう。政府、都、大会組織委員会のチームワークが、何より求められる。

産経新聞 2016年08月25日

ドーピングのロシア、リオ・パラリンピック出場禁止 東京は厳格検査で備えよ

スポーツの価値は「公平、公正」な環境が保たれてこそ成り立つ。薬物汚染が指摘される国の参加を禁じるのは、大会の価値を守る上で当然の措置だろう。

リオデジャネイロで9月に開かれるパラリンピックから、ロシア選手団が全面除外されることになった。

国際パラリンピック委員会(IPC)の除外決定に異を唱えたロシア側の訴えを、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が退けた。IPCの姿勢は「ドーピングの入り込む余地はない」という強い決意の表れで、CASの裁定も妥当だ。両者の判断を支持したい。

障害者は個々に疾患を抱えており、治療の面でも医薬品との距離が近い。近年は障害者スポーツのレベルが向上し、大会の商業価値も高まった。薬物汚染の広がる土壌は存在している。

「モラルよりメダル重視の風潮に嫌悪感を覚える」というクレーブンIPC会長の指摘は、スポーツ界全体への警鐘としたい。

障害者スポーツにおいても、ロシアの競技力は高い。リオ大会からの全面除外により、「メダルの価値が低下する」との批判もあるが、筋違いだ。ロシアの国ぐるみの薬物汚染と隠蔽(いんぺい)をあばいた世界反ドーピング機関(WADA)の報告書では、隠蔽された陽性検体の中に、パラリンピック選手の35検体も含まれていた。

産経新聞 2016年08月23日

リオ五輪閉幕 東京の顔に若手の育成を

南米大陸で初の開催となったリオデジャネイロ五輪が閉幕した。

大会前は、リオ市の財政難や治安の問題など多くの課題が指摘された。終わってみれば27個の世界新記録が生まれ、選手の力が存分に引き出された五輪だった。

日本選手団が獲得したメダル総数は、過去最多だった前回ロンドン大会の38個を上回る41個となった。金メダルも世界6位の12個で、前回から5個増えた。2020年東京五輪での活躍を確信させる成果だ。

前回、史上初の金ゼロに終わった柔道男子は金2個を含む全員のメダル獲得で、再起の一歩を刻んだ。レスリング女子は吉田沙保里が4連覇を逃したが、伊調馨の4連覇など金4個で「黄金時代」の継続を印象づけた。日本初の金を獲得したバドミントンの女子ダブルス、卓球男女団体のメダルなど記憶に残るシーンも多い。

日本オリンピック委員会(JOC)が東京での目標とする「金メダル数世界3位」の達成には、25~30個が必要だ。競泳や体操、柔道、レスリングの有望競技に加え、リオで地力を示した競技の一層の強化が重要だ。

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