都知事選 「安定と信頼」の担い手を

朝日新聞 2016年08月02日

都知事選 民意から遠い与野党

小池百合子氏が勝利した東京都知事選には、参院選と同じ与野党激突の構図があった。

与党の自民、公明両党が、元岩手県知事の増田寛也氏を推した。民進、共産など野党は、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏を統一候補として担いだ。

与野党相乗りの多い知事選には珍しい対決型だった。

だが、勝った政党はない。

どの党の推薦もなかった小池氏が300万近い票を集めた。自民党衆院議員ながら、党と距離を置いて立候補して得た票数は、与野党が立てた両候補者の合計にほぼ匹敵する。

小池氏の知名度は高く、戦術や弁舌も巧みだった。しかし、それだけが与野党の敗因であるはずがない。大きな支持を得られなかったのは、政党の側に問題があったからだ。

自民党は、擁立した知事が2代続けて任期途中で退場したことへの反省が欠けていた。

参院選の東京での自公両党の獲得票を合わせれば勝てると踏んだのだろう。そんな思惑が、増田氏以外を応援したら除名を含む処分をするという党東京都連の方針ににじんでいた。

安倍首相のもとで、上意下達の党運営が目立つ自民党らしい手法は、かえって有権者の反感を招いたはずだ。

野党の統一候補は、小池氏の得票の半分にも届かなかった。野党共闘に勝機を見いだそうとするあまり、候補者選びが迷走したのが致命的だった。

都知事選の経験をもつ弁護士ではなく、都政と無縁の候補者に決めたのは告示の2日前。わかりにくい候補一本化の過程は、知名度や「風」に頼る選挙しかできない実態を露呈した。

とくに民進党が次の「首都の顔」を準備しておく野党の責務を怠っていたのは明らかだ。

最大の首長選の都知事選で、政党が敗北することは過去にもしばしばあった。与野党相乗り候補が惨敗したり、自民党幹事長が引責辞任したりと、長く苦汁をなめてきた。

そんな歴史をたどると、各党はいったい何を学んできたのだろうかという疑問が膨らむ。

政党は「組織の論理」で立てた候補者を、組織の力で押し通そうとする過ちを繰り返してきたのではないか。謙虚に民意をくみ、その実現を図るという政党本来の姿からはほど遠い。

各党とも、これまで以上に有権者と広く深く対話する必要がある。現場から多様な声をすくい上げて、政策や条例に仕立ててゆく。これは東京に限らず、全国で政党が果たすべき役割である。

読売新聞 2016年08月01日

東京都知事選 小池氏は地道に重責全うせよ

東京都知事選で元防衛相の小池百合子氏が初当選を果たした。初の女性都知事の誕生である。

都知事は2代続けて、政治とカネの問題で任期途中に辞職しているだけに、都政の安定回復が喫緊の課題だ。

小池氏は、所属する自民党の推薦が得られなかったことを逆手に取り、組織に対する「個人の戦い」を強調した。無党派層の支持も得て、地滑り的勝利を収めた。

自民党都連は、親族も含めて所属議員が小池氏を応援すれば処分対象にすると通知した。強圧的で偏狭な印象を与え、小池氏を利する結果になったのは否めない。

小池氏は都議会や都連の密室性も批判し続けた。自民党の一部有力議員に意思決定の権限が集中しているとして、「開かれた都政を実現する」などと訴えた。都議会は重く受け止めねばならない。

自民、公明両党などの推薦を受けた元総務相の増田寛也氏は、岩手県知事などの豊富な行政経験をアピールした。他の主要候補に比べ、公約に具体性もみられたが、知名度不足が響き、小池氏に自公支持層の票を奪われた。

民進、共産など4野党が推薦したジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、東京から250キロ圏内の原発の廃炉など都知事の権限が及ばない政策に盛んに言及した。島嶼とうしょ部での消費税率の引き下げなど、荒唐無稽な発言も目立った。

女性問題を巡る週刊誌報道に加え、資質に疑問符が付いたことが敗因に挙げられよう。

小池氏も、「改革」「エコ」といったキャッチフレーズ先行の演説が少なくなかった。今後、何より求められるのは、地に足の着いた政策の遂行である。

2020年東京五輪・パラリンピックでは、都の負担増は避けられない状況だ。国や大会組織委員会と、どう折り合いをつけ、都民の理解を得るのか。会場への交通手段の整備や街のバリアフリー化にも万全を期さねばならない。

合計特殊出生率が全国で最低水準にある少子高齢化対策も重要である。小池氏は、空き家などの遊休空間を利用して保育・介護施設の不足を解消するという。具体案の策定を急いでもらいたい。

首都直下地震の対策にも猶予はない。特に、下町を中心とした木造住宅密集地域では、甚大な被害が想定される。耐震化、不燃化の促進が不可欠だ。帰宅困難者対策なども求められる。

重責を全うできるよう、政治とカネの問題に襟を正すべきなのは言うまでもない。

産経新聞 2016年07月29日

都知事選 「安定と信頼」の担い手を

首都の新たな「顔」を決める東京都知事選が31日に迫った。

政治、経済、文化の中心で、人口1300万人の巨大都市圏であるがゆえに、その存在は国政にも影響を与えてきた。

同時に、住民からみれば、少子高齢化や防災対策といった生活上の大きな課題を抱えている。

2020(平成32)年の東京五輪・パラリンピックのホスト役を選ぶ選挙でもある。結果はすべての国民が注目している。

直接、担い手を選ぶ権利と責任を有する東京の有権者には、最善の選択肢を見極めてほしい。

産経新聞の世論調査では、都知事選に「関心がある」との回答が9割以上に達した。政策面では「教育・子育て」「医療・介護」への関心が高かった。

こうした施策を含め、有力候補らが唱える政策に大きな違いがあったとは思えない。同時に、直ちに実現できそうな処方箋が提示されたわけでもない。

都民に安心を与える説明を最後まで尽くしてもらいたい。

「政治とカネ」の問題で、2代続けて現職が任期途中で辞めるという、都政の混乱をストップさせるための知事選であることも、忘れてはなるまい。

信頼の回復に努める姿勢と、停滞から抜け出す政策遂行能力が問われている。

とくに五輪をめぐるトラブルが相次ぎ、国民の期待に応えていないことを、候補らは最後まで重く受け止めなければならない。

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