ロシアの薬物汚染 国主導不正に厳罰で臨め

朝日新聞 2016年07月21日

ドーピング ロシアは根本的是正を

半月後に迫ったスポーツの祭典を荒波が襲っている。

ロシアによる禁止薬物使用の問題を調べていた世界反ドーピング機関(WADA)が、新たな調査報告書をまとめた。

大半の競技で薬物の不正があり、それを国家が組織的に行っていたと認定した。リオデジャネイロ五輪・パラリンピックからロシア全体を締め出すよう勧告している。

ロシア政府と関係者は、まず率直に責任を認め、スポーツを国威発揚に使う考え自体を根本的に改めるべきである。

報告書によると、不正は夏季競技から冬季競技、パラリンピックにまで及んだ。採取した尿がすり替えられた。取り締まる側の検査機関の所長が禁止薬物を提供し、隠蔽(いんぺい)はスポーツ省が主導する悪質なものだった。

疑惑はこれまでも浮上していたが、ロシア側の対応は不誠実すぎた。当初は疑惑そのものを認めず、処分は個人にとどめるべきだと開き直った。今回もプーチン大統領は政治によるスポーツへの干渉だと反発した。

背景には、バンクーバー冬季五輪の低迷があったとされる。国の威信向上をねらう不正は、スポーツ界幹部と国家上層部が作り上げた、あしき文化といえるだろう。

努力を重ねて限界に挑む選手も、スポーツそのものも、国の目的達成のために使われただけだとしたら残念でならない。

WADAの昨年の報告書は、「選手に対し、薬物を使うか、代表選手をやめるかを選べという雰囲気があった」と指摘していた。大きな舞台に出場するには不正を受け入れるしかなかったとすれば、選手たちは国家の犠牲者だったともいえる。

これほどの不正には重い処分で臨むべきではあるが、選手全体を排除することが適切か否かは慎重な検討が必要だろう。個々の選手について事情調査をするなどし、個人的にでも道が開けないか手立てを尽くすよう、国際オリンピック委員会などは知恵を絞ってもらいたい。

ロシアの問題に限らず、スポーツが世界的に商業主義と関係を深めるなか、経済的利益を目的にした選手のドーピングも幅をきかせている。

国際陸連では、違反の疑いがある選手に関係者が金銭を要求していたとされる。国際サッカー連盟の醜聞も、多額の金銭をめぐるものだった。

公平、公正を価値とするスポーツ界のモラルが危機にある。五輪を前にスポーツ界はいま一度、自分たちの取りくみを見つめ直す必要がある。

産経新聞 2016年07月21日

ロシアの薬物汚染 国主導不正に厳罰で臨め

五輪を、スポーツを、愚弄する行為である。

ロシアのスポーツ界のドーピング不正は国主導で行われていたと、世界反ドーピング機関(WADA)が調査報告書で明らかにした。

WADAは国際オリンピック委員会(IOC)に対し、8月のリオデジャネイロ五輪からロシアを排除するよう勧告した。IOCも厳罰で臨むべきだ。

報告書によれば、2011年からの約4年間、薬物汚染が夏季競技だけでなく冬季やパラリンピック競技にも広がっていた。

陽性反応を示した選手について、ロシアのスポーツ省次官が実績や将来性を考慮し、「陰性」と偽ってWADAに報告していた。これは、スポーツを舞台にした国家犯罪である。

14年ソチ五輪での不正の手口も明らかになった。ソチの検査機関には、連邦保安局(FSB)の職員が出入りし、事前に採取した陰性の尿検体を「ネズミ穴」と呼ばれる壁の穴を通して陽性検体とすり替えていた。

選手らは筋肉増強剤を酒類に混ぜて吸収しやすくした「カクテル」を使用していた。禁止薬物が体内に残る期間も短く、検査の目を逃れていた。

ホスト国として公平な競技環境の整備に努めるどころか、検査機関の建物に周到な細工を施して、不正で自国選手をメダルに導く。もはや、スポーツの価値を共有できる国とはいえない。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2555/
ELF