南シナ海の海軍大規模演習 中国よ 不毛な力の誇示をやめよ

朝日新聞 2016年07月07日

参院選 対中国外交 複眼的な関係構築を

激変する世界の中で、どんな日本を築いていくか。参院選は未来像を語る好機のはずだが、近隣大国とのつきあい方の議論が低調すぎる。中国のことだ。

選挙公示直前、中国軍の艦艇が尖閣諸島の接続水域や鹿児島県沖に現れた。南シナ海では、中国が岩礁の埋め立てなどを続けており、選挙後に予定される常設仲裁裁判所の判決で、いっそうの緊張が予想される。

一方中国は南シナ海問題での日本側の言動に反発し、南西諸島の防衛強化を警戒している。もともと中国の海洋進出が発端であり、中国側の言い分は通らないが、両国が刺激し合う悪循環は双方の利益にならない。

日本の政治の場で、中国問題は主に「安全保障環境の変化」として語られる。中国という言葉は盛んに消費されるが、日中関係をもっぱら軍事的な相克として一面的に捉える限り、大局的な視野は開けない。

当面、両政府間は崇高な目標や理想を共有するような関係にはなれないだろう。それでも、双方の国民の多数は、互いに恩恵をもたらし合う関係づくりを望んでいるのも事実だ。

日本企業はこれまで政府間の関係の浮沈はあっても、現地生産の高度化や多様化を着実に進めてきた。中国側も経済成長が減速する中で、今でも日本の投資や技術を待望している。

公正な貿易・投資環境をめざす法制度の整備は、政府の出番だ。日中韓の自由貿易協定交渉が急がれるゆえんでもある。

安倍政権は「成長戦略の大きな柱」として観光立国政策を位置づけ、来日する外国人を2020年に4千万人とする目標を掲げる。増加を見込めるのはまず中国人だろう。日中間で協力を進める余地はもっとある。

両国間ではかつてなく海上の緊張が高まっているが、これほど経済で深く結びついたことも過去にはなかった。衝突を避ける道を探り、互恵の分野を広げる地道な営みこそが理にかなう。それを抜きに米国や東南アジアとの関係強化をうたうだけでは展望が開けない。

最近の安倍政権が対ロシア外交に熱意を傾けているのは結構だが、同時に、日本にとって比重が大きい隣国に対して複眼的な思考で関与する姿勢が求められている。

9月初旬には浙江省杭州でG20首脳会議が開かれる。日本の首相は、ホスト役の習近平(シーチンピン)国家主席と会談する機会があるかもしれない。そこで何を話し、どんな協力拡大をめざすのか。選挙後の政権は関係再構築に向けて対中外交を練ってほしい。

産経新聞 2016年07月07日

南シナ海の海軍大規模演習 中国よ 不毛な力の誇示をやめよ

南シナ海のパラセル(西沙)諸島周辺で、中国海軍が大規模演習を行っている。

中国の一方的な領有権の主張をめぐり、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が近く出す裁定は、中国に不利な内容になるとみられている。

中国は、仲裁自体を拒否する姿勢もとっているが、大規模な演習によって一歩も引かない構えを示しているつもりか。だとすれば、露骨かつ稚拙な振る舞いと言わざるを得ない。

軍事力の誇示で南シナ海支配を国際社会に認めさせることができると思っているなら、大間違いである。国際法に背を向ける異質性を際立たせ、孤立の道を歩むだけにしかならない。

裁定は、国連海洋法条約に基づくものだ。罰則はないが、法的拘束力が認められている点が極めて重要だ。

南シナ海の領有権紛争は平和的に解決されなければならない。仲裁を申し立てたフィリピンは不利な結果になっても受け入れると表明している。中国は「法の支配」の尊重へ方向転換し、裁定に従うと約束すべきである。

だが、習近平国家主席は1日の演説でも、南シナ海問題を念頭に「どの国もわれわれが核心的利益を差し出すと期待してはならない」と語った。取り付く島もない姿勢だが、そう言わなければならない立場におかれているのか。

沿岸国のベトナムは演習を「主権の深刻な侵害だ」と非難した。パラセル諸島は1974年の武力衝突で中国が南ベトナム(当時)から奪い取った経緯がある。中国が南シナ海で、実際に軍事力を行使して支配を広げてきたことを忘れてはならない。

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