北の暴挙と参院選 脅威踏まえ現実を論じよ

読売新聞 2016年06月23日

北ミサイル発射 安保環境の深刻化を直視せよ

日米の安全保障上の脅威が深刻化した。警戒を強めるべきだ。

北朝鮮が、中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル2発を発射した。1発目は空中爆発したが、2発目は約400キロ飛行し、日本海に落下した。高度も1000キロを超したという。

中谷防衛相は、「中距離弾道ミサイルとしての一定の機能が示された」との見方を示した。

4~5月に発射した4発は失敗に終わっていた。発射実験を重ねることで、技術力が着実に向上し、ミサイルの精度や性能が高まっていると受け止める必要がある。

ムスダンは移動式発射台を使用し、推定射程は最大4000キロとされる。グアムや日本の米軍基地を標的に想定しているという。

国連安全保障理事会の制裁決議は北朝鮮の弾道ミサイル発射を禁止している。安倍首相は「明白な国連決議違反だ。絶対に許せない」と非難した。当然の対応だ。

北京では、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の代表や有識者による国際会議が開催中で、北朝鮮当局者も出席している。この時期の発射は、核・ミサイル開発続行の示威活動ともみられ、国際社会に正面から反旗を翻すものだ。

中国も海洋進出をエスカレートさせている。中国軍艦は9日、尖閣諸島の接続水域に初めて進入した。鹿児島県沖の領海や、北大東島の接続水域にも入った。

昨年9月に成立した安全保障関連法は、集団的自衛権の行使を限定容認し、自衛隊による米軍艦船の防護を可能にした。不測の事態に備えて、安保関連法を適切に運用し、抑止力を高める努力を継続することが肝要である。

疑問なのは、参院選で共闘する民進、共産両党がなお、安保関連法の廃止を主張することだ。

民進党の岡田代表は、日米同盟を「血の同盟」にしてはならないと強調した。街頭演説とはいえ、扇動そのものではないか。

岡田氏は、関連法廃止について「日米安保条約を廃棄するとは言っていない。日米同盟がおかしくなることはない」とも説明する。ご都合主義と言うほかない。

安保関連法を基盤にした日米防衛協力の強化は、アジアの安定に寄与するもので、国際社会も高く評価している。廃止によって同盟関係を迷走させてはならない。

共産党の志位委員長は、「違憲」の自衛隊を段階的に解消するとまで言う。非現実的に過ぎる。

安保環境を無視した議論は、国民の支持を得られまい。

産経新聞 2016年06月23日

北の暴挙と参院選 脅威踏まえ現実を論じよ

北朝鮮が22日、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられる2発を、日本海に向けて発射した。

核弾頭を搭載する弾道ミサイルの戦力化へ歩を進める北朝鮮は、日本国民にとっての深刻な脅威である。核・弾道ミサイル開発の暴挙を容認することはできない。

参院選に臨んだすべての政党と候補者には、日本の国と国民を守り抜く具体策を語ってほしい。これは外交努力に加え、平和を保つ抑止力をどう構築していくかの問題でもある。

射程2500~4千キロとされるムスダンは、米軍基地のあるグアム島を標的にできる。通常の弾道ミサイルよりも高空へ打ち上げて近くに落とす「ロフテッド軌道」をとれば、対日攻撃用になる。

4、5月に北朝鮮は4発のムスダン発射に失敗していた。ところが22日は、1発目は空中分解したものの、2発目は400キロほど飛行し、高度は千キロにも達した。

中谷元(げん)防衛相は「一定の機能が示され、わが国の安全保障に対する深刻な懸念だ」と語った。

安倍晋三首相は「断じて許すことはできない」と述べた。政府が、明白な国連安全保障理事会決議違反として北朝鮮に抗議したのは当然である。

核弾頭搭載の弾道ミサイルを北朝鮮が持つことは、安全保障上の悪夢である。与野党は、北に対する脅威認識を共有すべきである。それが、国と国民を守る方策を論じる前提条件となる。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2537/