また一つ、球史に確かな足跡を残した。
米大リーグ・マーリンズのイチロー選手が、日米通算で4257本目の安打を放ち、ピート・ローズ氏が持つ大リーグ最多安打記録を上回った。
オリックスで1278本、2001年に米国に渡ってから2979本。1992年にプロ初安打を放って以降、ほぼ四半世紀を経ての偉業達成を称えたい。
イチロー選手は試合後、「ここにゴールを設定したことはない」と、あくなき向上心を示した。
日本での安打が含まれることから、今回の記録は大リーグの公式記録にはならない。ローズ氏は、「日本と大リーグの野球が同等だと言う人がいるとは思わない」などと語っている。
仮にそうであっても、イチロー選手の卓越した打撃技術に異を唱える人はいないだろう。記念すべき安打で出塁したイチロー選手に、総立ちのスタンドから大きな拍手が送られた。米国でも高く評価されていることの証しだ。
01年から10年にかけての10年連続200安打の大リーグ記録は、金字塔である。04年の262安打は、年間最多記録として輝く。
12年のシーズン途中に、マリナーズからヤンキースに移籍したころから、成績は徐々に下降線をたどった。年齢による衰えを指摘する声が聞かれるようになった。
42歳となった今季も、先発メンバーから外れる試合が多かった。それでも出番が回ってくると、結果を出し、出場機会が増えた。
「ローズ超え」が目前に迫る中、安打を量産するプレーぶりは、全盛期の姿そのものだった。
持ち前の俊足、強肩も健在だ。今月2日には、日米通算700盗塁を達成した。
日頃からの地道な鍛錬があるからこそ、走攻守で今なおトップレベルの力を発揮できるのだろう。野球に対する真摯な姿勢は、日米を問わず、選手たちの手本だ。
投手は野茂英雄氏、野手ではイチロー選手が、大リーグへの道を広げた。国内で頂点を極めた選手のメジャー志向は依然、強い。スター選手の流出は、日本のプロ野球にとって痛手ではある。
ただ、大リーグの日本人選手が活躍すれば、野球全体への関心が高まる。イチロー選手にあこがれる子供たちが増えれば、野球の裾野が一層拡大する。
今回の快挙に、日本のプロ野球選手たちも刺激を受けたに違いない。大リーグに負けない熱戦を展開してもらいたい。
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