イチロー安打記録 米国での称賛がうれしい

読売新聞 2016年06月17日

イチロー4257本 日米の垣根を越えた金字塔だ

また一つ、球史に確かな足跡を残した。

米大リーグ・マーリンズのイチロー選手が、日米通算で4257本目の安打を放ち、ピート・ローズ氏が持つ大リーグ最多安打記録を上回った。

オリックスで1278本、2001年に米国に渡ってから2979本。1992年にプロ初安打を放って以降、ほぼ四半世紀を経ての偉業達成をたたえたい。

イチロー選手は試合後、「ここにゴールを設定したことはない」と、あくなき向上心を示した。

日本での安打が含まれることから、今回の記録は大リーグの公式記録にはならない。ローズ氏は、「日本と大リーグの野球が同等だと言う人がいるとは思わない」などと語っている。

仮にそうであっても、イチロー選手の卓越した打撃技術に異を唱える人はいないだろう。記念すべき安打で出塁したイチロー選手に、総立ちのスタンドから大きな拍手が送られた。米国でも高く評価されていることの証しだ。

01年から10年にかけての10年連続200安打の大リーグ記録は、金字塔である。04年の262安打は、年間最多記録として輝く。

12年のシーズン途中に、マリナーズからヤンキースに移籍したころから、成績は徐々に下降線をたどった。年齢による衰えを指摘する声が聞かれるようになった。

42歳となった今季も、先発メンバーから外れる試合が多かった。それでも出番が回ってくると、結果を出し、出場機会が増えた。

「ローズ超え」が目前に迫る中、安打を量産するプレーぶりは、全盛期の姿そのものだった。

持ち前の俊足、強肩も健在だ。今月2日には、日米通算700盗塁を達成した。

日頃からの地道な鍛錬があるからこそ、走攻守で今なおトップレベルの力を発揮できるのだろう。野球に対する真摯しんしな姿勢は、日米を問わず、選手たちの手本だ。

投手は野茂英雄氏、野手ではイチロー選手が、大リーグへの道を広げた。国内で頂点を極めた選手のメジャー志向は依然、強い。スター選手の流出は、日本のプロ野球にとって痛手ではある。

ただ、大リーグの日本人選手が活躍すれば、野球全体への関心が高まる。イチロー選手にあこがれる子供たちが増えれば、野球の裾野が一層拡大する。

今回の快挙に、日本のプロ野球選手たちも刺激を受けたに違いない。大リーグに負けない熱戦を展開してもらいたい。

産経新聞 2016年06月17日

イチロー安打記録 米国での称賛がうれしい

米大リーグ、マーリンズのイチロー外野手が日米通算で4257安打を記録し、ピート・ローズ氏が持つ大リーグ記録を上回った。

日米通算の合算は参考記録として公認されないが、米メディアや大リーガーの多くは称賛を惜しまなかった。4257本は気の遠くなるような数字である。野球の本場らしい、フェアな評価がうれしい。

日本で7年連続首位打者を続けて海を渡り、大リーグでは前人未到の10年連続200安打を記録した。米国で2度目の首位打者となった2004年には262安打でシーズン最多安打の大リーグ記録も更新した。大記録は、こうした足跡の積み重ねである。

イチローはこれまでも年間新人最多安打でシューレス・ジョー・ジャクソン、年間最多安打でジョージ・シスラー、連続年間200安打でウィリー・キーラーや「球聖」タイ・カッブを抜き去り、その度、往年の名選手の存在を現在によみがえらせた。球史の探訪者に例えられたこともある。

そして今回はローズ氏だ。野球賭博への関与で永久追放処分を受けているローズ氏だけは「日米の通算安打というなら、私がマイナーで打った427本も加えるべきだ」と、かたくなにイチローの記録の価値を認めようとしない。

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