米乱射テロ 銃規制へ冷静な議論を尽くせ

朝日新聞 2016年06月14日

米乱射事件 許せぬヘイトの凶行

銃による無差別の殺人事件がしばしば起きる米国でも、例を見ない惨事となった。

フロリダ州オーランドのナイトクラブで12日未明、男が銃を乱射し、多数の死傷者がでた。オバマ大統領は「テロであり、ヘイト行為だ」と非難した。

現場のクラブは、同性愛者の社交場として知られ、容疑者は日ごろから同性愛者への嫌悪を公言していた。大統領がヘイト行為と断じたのも、社会の少数派に対する差別的な憎悪感情がうかがえるからだ。

少数者の権利と安全の確保は、文明社会が長年の偏見との闘いの末に確立した原則である。事件は、その努力の積み重ねを踏みにじる行為であり、断じて許すことができない。

事件はまた、銃が容易に手に入る米社会の問題を改めて浮き彫りにした。このような惨事を少しでも減らすには、やはり銃規制の強化が必要である。今年の大統領選へ向けても、活発に論議してもらいたい。

容疑者はアフガニスタン系の米国人で、現場で銃撃戦の末に射殺された。その前に、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っていたと報じられている。実際にISとどれほど関係していたかには謎が多く、今後の捜査を待つほかない。

昨年12月にはカリフォルニア州の福祉施設で、ISを支持するという夫婦が銃を乱射し、14人を殺害する事件も起きた。

自ら過激思想に傾倒したり、過激派を自称したりして、テロ組織と明確な関係がないまま行動するケースが近年目立つ。

動機が不明瞭な無差別犯罪とテロとの境は見えにくくなっており、日米欧の当局にとってテロ対策は難しさを増している。自由と人権を守りつつ安全を確保する策は何かを考える上で、各国間の協力が必要だろう。

今回の事件で戒めるべきなのは、犯罪とイスラム教とを短絡的に結びつけることだ。それは違う意味でのヘイト行為を誘発させかねない。

共和党の大統領候補指名を確実にしたトランプ氏は事件後、持論であるイスラム教徒の一時入国禁止の方針を繰り返した。そんな言動は緊張をあおるだけで何の解決策にもならない。

今回の犠牲者の数は、07年にバージニア工科大学で起きた乱射事件の32人を上回り、銃撃事件として米史上最悪となった。無差別の乱射事件は、ほかにも毎年のように起きている。

痛ましい事件を繰り返す米国社会のひずみは何か。米政界は超党派で、銃規制のあり方とともに冷静に考えるべきだ。

読売新聞 2016年06月14日

米乱射テロ 銃規制へ冷静な議論を尽くせ

過激思想や差別意識の影響が色濃い卑劣なテロと言えよう。断じて許されない。

米フロリダ州オーランドのナイトクラブで、男が自動小銃を乱射し、店内にいた客ら多数が死傷した。米国史上最悪の銃撃事件である。

男はアフガニスタン出身の両親を持つ米国人で、警察特殊部隊との銃撃戦の末、射殺された。現場から警察に自ら通報し、過激派組織「イスラム国」への忠誠を宣言していたという。

今月、ラマダン(断食月)に入ったのを機に、「イスラム国」が欧米に対するテロを呼びかけていた。系列のメディアは、配下の戦闘員が「同性愛者向けのナイトクラブを攻撃した」と主張した。

犯行指示の有無は不明だが、男が「イスラム国」に感化されていた可能性は大きい。連邦捜査局(FBI)はテロ事件と断定した。全容解明を急ぐべきだ。

見過ごせないのは、男が2013年以降、テロ関連捜査で当局の事情聴取を数回受け、監視対象になっていたことだ。事前に犯行を察知し、回避するすべはなかったのか。検証が必要だろう。

男は殺傷能力が極めて高い自動小銃を約1週間前に合法的に購入し、蛮行に及んだとされる。

安倍首相が「日本は、米国や国際社会とテロを根絶する取り組みを進めていく」と述べ、事件を非難したのは当然である。

米国では昨年12月にも、「イスラム国」に扇動された夫婦が自動小銃を使ったテロを起こしている。銃による死亡者は毎年3万人に上るという統計もある。

学校や教会、映画館など不特定多数が集まる「ソフトターゲット」を狙った乱射事件が後を絶たない。軍で使用されるような本格的な武器が手軽に購入できる現状を放置していては、テロ被害が拡大するだけではないか。

オバマ政権は、銃規制強化を目指している。だが、共和党が多数を占める議会の反対で法制化されていない。インターネットなどで銃を購入する際の身元確認の義務化や、殺傷能力の高い銃の売買制限が優先すべき課題だ。

犯行現場は同性愛者が集う場所で、男がこうした人々を憎悪していたという証言がある。オバマ大統領が緊急声明で「我々全員に対する攻撃だ」と強調し、国民の結束を呼びかけた意義は大きい。

11月の大統領・議会選に向け、テロ対策や、イスラム過激主義への対応、具体的な銃規制策などを冷静に議論せねばなるまい。

産経新聞 2016年06月14日

米乱射テロ 異常な社会としか言えぬ

米フロリダ州オーランドのナイトクラブで男が自動小銃を乱射し、100人以上が死傷した。米国史上最悪の銃犯罪であり、射殺された容疑者は過激組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う発言をしていた。

米カリフォルニア州ではライフル3丁や大量の弾薬、爆弾の材料を所持していた男が逮捕された。ロサンゼルス市内で開かれた性的少数者を襲撃する計画だったという。

いかなる主張があれ、テロ行為は許されない。無差別殺人はどんな理由があれ正当化できない。

オバマ大統領は「われわれは恐怖に屈したり、互いに憎み合ったりしない」と団結を呼びかけた。国際社会共通の敵として、テロ行為の根絶に向けた戦いを強化すべきである。

それにしても、犯罪者が銃器を容易に手にすることができるこの国の社会は異常といえる。銃規制に向けて米国は具体的な対策を示すべきではないか。

同じオーランドでは先週末、コンサート会場で女性歌手が銃殺され、容疑者も銃で自殺した。米国では過去にも学校などで銃撃事件が繰り返された。1992年のハロウィーンには、訪問先を間違えただけの日本人留学生が射殺された事件もあった。

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