日弁連新会長 司法改革の定着に努力を

朝日新聞 2010年03月12日

宇都宮新会長 「司法改革」を止めるな

日本弁護士連合会の新会長に、多重債務者問題への取り組みなどで知られる宇都宮健児氏が決まった。

日弁連の会長選は、全国の弁護士約2万8千人が投票権を持つ。このところは会員数の多い東京、大阪の現路線支持派が推す候補が選ばれ続けてきた。それをひっくり返しての当選だ。2度の投票という異例の展開だった。

大きな勝因は、司法制度改革で打ち出された法曹人口の大幅な増員を進めてきた流れに対する若手や地方の反発を吸収したことだった。

司法制度改革は、司法を市民に身近な存在にしていくことを目指す。裁判員裁判の導入と並ぶ柱が、司法試験の合格者を年3千人とする計画だ。

弁護士人口はこの10年で約1万人増えた。このため若手のなかには仕事探しに苦労する弁護士が出てきた。実務を通じた新人の教育も十分できなくなった。質の低下を指摘する声もある。

日弁連の中での不満の高まりを受けて、宇都宮氏は合格者数を「1500人に減らす」と訴えた。改革を根幹から覆すような主張である。急激な増員がひずみをもたらした面はあるとしても、あまりにも内向きの論理だ。

司法制度改革は経済界や労働団体、消費者団体など幅広い国民の要請をうけ、日弁連、法務省、最高裁の法曹3者で進めてきた経緯がある。弁護士会の都合だけで、大幅な見直しをすることはできない。

増員ペースが速すぎるというなら、問題点を洗い出し改善策を示すのが筋だ。就職難をいうなら、法曹資格者の民間企業や官公庁などへの進出をどう促すか真剣に検討すべきだ。質の低下をいうなら、法科大学院をどう改革するかの議論を優先させることだ。日弁連だけでなく、法曹界や関係団体が一緒になって知恵を絞ってほしい。

2009年版の弁護士白書によれば、昨年8月現在、全国に203ある地裁支部の管轄地域のうち弁護士が1人もいない地域が2カ所、1人しかいない地域が13カ所ある。

市民が身近に弁護士に相談できる「法テラス」のコールセンターへの問い合わせ件数は08年度、約28万8千件にのぼった。起訴前の容疑者にも国選弁護人をつけるようになった。弁護士を必要とする人はたくさんいる。

宇都宮氏はサラ金被害者の救済に力を尽くし、グレーゾーン金利撤廃の法改正にこぎ着ける立役者となった。08年末の「年越し派遣村」では名誉村長を務め、貧困問題対策本部を日弁連内に立ち上げることを提唱している。こうした視点は、日弁連会長としてもぜひ生かしてほしい。

新会長の仕事は、弁護士界のひずみを和らげながら、法の専門家の助けが必要な人たちに応えることだ。改革を停滞させてはならない。

毎日新聞 2010年03月12日

日弁連新会長 「削減」言う前に全体像を

日本弁護士連合会の新会長に、多重債務問題などで活躍してきた市民派の宇都宮健児氏が内定した。異例の再投票の末、現執行部の路線を継承する候補を破ったものだ。

宇都宮氏は、今回の会長選の最大の争点となった司法試験合格者の削減について「年間1500人程度に減らす」と主張してきた。対立候補は減員人数を示さなかったため、地方の支持を集める要因となった。

しかし、法曹人口の増加は、裁判員制度や法テラスと並ぶ司法制度改革の3本柱だ。

政府は02年、今年をめどに年間合格者を3000人に増やす方針を閣議決定した。「国民の社会生活上の医師」として、全国であまねく法的サービスなどが受けられるようにとの考え方がその背景にある。

法曹界だけでなく、経済界や労働界も巻き込み、長年議論し道筋をつけたものだ。当時、日弁連も大幅増を前提とした決議をしている。

昨年の司法試験合格者は2043人で前年を下回った。宇都宮氏は、削減の理由について、新規弁護士の就職難や、弁護士業務の需要が増えていないことを挙げる。だが、それだけでは説得力に乏しい。

例えば、ベテランの弁護士が裁判官に任官する制度がある。02年以後、任官者は50人に満たない。希望者が少ないのだ。企業・官庁への進出も含め、多様な領域に活路を見いだす努力は十分だったろうか。また、裁判員制度や被疑者国選弁護制度など刑事事件に対応する弁護士の確保について、以前から取り組みの不十分さが指摘されている。

まず削減ありきではなく、足元を洗い直してほしい。そのうえで大幅減が必要ならば、数字の根拠を明らかにし、今後の弁護士界のあり方を含めた全体像を示すべきだ。でなければ、業界が既得権益を守ろうとしていると受け取られてしまう。

政府が法科大学院の統廃合や定数削減など抜本的な見直しを急ぐべきなのは当然だ。日弁連も積極的に議論にかかわってほしい。

過度の事前規制・調整型社会から事後監視・救済型社会への転換--。司法改革の際、法曹人口を増やす根拠として指摘された社会構造の変化である。果たして今後の社会はどうなるのだろうか。

宇都宮氏は、司法改革について「立ち止まって見直すべき時」と述べる。一理ある。政府として総括が必要なのは確かだ。宇都宮氏はその先駆けとして発言してほしい。

一昨年末の「年越し派遣村」で名誉村長を務めるなど最近の貧困問題にも宇都宮氏は熱心だ。市民に根ざした立場から弁護士の幅広い活動を推進することも期待したい。

読売新聞 2010年03月12日

日弁連新会長 弁護士増員と質の確保を図れ

法律家の数を今後、どれくらいのペースで増やしていくのか――。

これが最大の争点だった日本弁護士連合会の会長選挙は、急激なペースダウンを主張する宇都宮健児氏が再投票の末に当選した。

法曹人口の増加に、多くの弁護士が危機感を抱く現状が反映された結果といえる。

だが、法曹人口の大幅増は司法制度改革の大きな柱である。最高裁によると、国民10万人当たりの弁護士数は、米国356人、英国221人、フランス78人に対し、日本は21人にとどまっている。

全国どこででも手軽に弁護士に相談できるような法的サービスを充実させ、司法を身近なものとするには、弁護士の増員が欠かせない。日弁連の新執行部には柔軟な対応を望みたい。

当選した宇都宮氏は、多重債務者問題などに取り組んできた著名な弁護士だ。会長選では、司法試験の合格者数を1500人程度に削減するよう主張した。昨年の合格者が2135人だったことを考えれば大幅削減である。

宇都宮氏は地方の支持を幅広く取り付けた。大都市部に比べ、地方では、弁護士への依頼件数が少ない。その上に、弁護士の数が増えれば、業務が成り立たなくなるという声は多い。

しかし、依頼者の側からみれば、能力や専門分野によって弁護士を選べる状況が望ましい。競争によって、弁護士全体の質も高まるのではないだろうか。

都市部への弁護士の偏在を解消することも急務である。

今年までに司法試験の合格者数を3000人に増やすのが、政府の増員計画だが、その達成は難しくなっている。

最大の要因は、法科大学院が法律家養成の機能を十分に果たしていないことだ。学生が、司法試験に合格できる力を身に着けないまま修了する結果、全体の合格者数は減少傾向にある。

近い将来、3000人を達成できるよう、そのあり方を早急に見直す必要がある。

法科大学院では、多くの弁護士が教鞭(きょうべん)を執っている。日弁連としても、教育現場の弁護士の意見を参考に、合格者増に向けた方策を探っていかねばならない。

宇都宮氏は「市民とともに歩む日弁連を作りたい」と語った。その言葉通り、法曹三者の一翼を担う組織としての責任ある行動が求められる。弁護士の利益を最優先に守る姿勢では、日弁連への信頼は生まれまい。

産経新聞 2010年03月12日

日弁連新会長 司法改革の定着に努力を

異例の再投票となった日本弁護士連合会(日弁連、会員数約2万8千人)の新会長に“市民派弁護士”で知られる宇都宮健児氏が選ばれた。

日弁連といえば、一般の国民からは遠い存在と受け止められている感じが強い。だが司法制度改革の一翼を担うだけに、国民のための改革が実現できるよう努力してほしい。

日弁連会長の任期は2年だ。当選には会員の総得票数が1位で、かつ全国52の弁護士会のうち3分の1の18以上を獲得することが条件となっている。2月5日の会長選では宇都宮氏と現執行部が推薦する主流派の山本剛嗣(たけじ)氏の間で争われたが、決着がつかず、初めて再投票が行われた。

これまでの会長選挙では、全弁護士の6割を占める東京の3弁護士会と大阪弁護士会の主流派が擁立する候補者が当選するのが慣例だった。今回の選挙結果はこの常識を覆すもので、日弁連の今後の運営や法曹界全体にも多大な影響を与えよう。

宇都宮氏は、消費者金融などの多重債務問題に精力的に取り組んでいる弁護士だけに、常に国民目線で司法制度改革にも積極的に取り組むことを期待したい。

宇都宮氏が大方の予想に反して前日弁連副会長の山本氏を破った最大の要因は、司法試験の合格者数を現状よりも大幅に減らすことを明確に打ち出したことにあったようだ。

司法試験合格者について、政府は今年をめどに年3000人に増やすことを決め、日弁連も当初は賛成していた。同氏は選挙公約で年1500人程度とすることを第一に掲げた。「急激に弁護士人口が増えると過当競争になる」と地方や若手弁護士の懸念や反対が強く、これらの人の支持を得た。

だが、裁判員制度や被害者参加制度などにより、日本の司法は大きく改革されつつある。こうした改革を軌道に乗せるには、弁護士を増やすことが急務である。質を低下させずに、どう数を増やしていくかは喫緊の課題だ。

現状では首都圏に弁護士が集中し、地方では弁護士不足が起きている。これをどう解消するかも日弁連にとって重要な責務だ。また法科大学院の抜本的見直しも法務省や裁判所と協力しながら進めていくことが求められる。

自分の団体の利害ばかりを主張するようでは、国民の理解は得られまい。

月光 - 2010/12/10 22:14
虚偽は正当な弁護士業務だ !

 日弁連・会長:宇都宮健児は、「虚偽(詐害行為)は正当な弁護士業務だ」と主張(議決)して、懲戒対象弁護士を擁護し、これを撤回せずに、裁判で争っております。

 弁護士を指導・監督する立場にある宇都宮健児のこの行為は、不法行為を教唆するものであり、国民への背任です。

 表向きは、社会正義の実現(弁護士法1条)を強調しながらも、裏陰では、「虚偽(詐害行為)は正当だ」と指導しているのですから.弁護士トラブルが急増するは当然です。
 
 日弁連・会長:宇都宮健児らは、提訴し、勝訴するための「虚偽は正当だ」との理念を抱き、当然のように実践する人間たちだということでしょう。

 そして、組織的な権力を得ている日弁連・会長:宇都宮健児らのこの裏影での卑劣な行為を国民は知ることができず、それをとがめる手段もないのです。

 国民は、日弁連・会長:宇都宮健児らのこの卑劣な事実を知るべきであり、この元凶者たちを排除すべきです。

法曹界に正義はありません。
匿名 - 2016/04/02 16:45
弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
 虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
 それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
 被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
 権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。
匿名 - 2016/06/12 16:37
危険な人間
原発訴訟団の弁護士島田宏は、「国民の常識が司法に生かされ国民の安全と基本的人権が守られる時代の到来を期待しています」 と述べたらしいですが、 本当は島田宏は、「虚偽事由で提訴したり侮辱したりすることは正当な弁護士業務」 と福井弁護士会長のときから胸を張って主張している人物です。
しかも、あろうことか 消費者庁消費者教育員の職におり詐欺撲滅をうたい文句にしてるとか。
どうして平然と国民を欺くことを言えるのでしょうか。 
詐欺の件、疑うのであれば以下の件、本人に確認下さい。

弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
 虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
 それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
 被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
 権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。
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