1~3月期GDP 萎縮せず成長基盤を築け

読売新聞 2016年05月19日

GDPプラス 企業と家計の不安払拭を急げ

プラス成長を回復したものの、景気の足踏み状態は続いていることが、改めて確認された。

内閣府が発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0・4%増、年率換算で1・7%増だった。

2四半期ぶりのプラス成長だが、今回はうるう年で2月が1日多い「かさ上げ効果」もある。これを除けば、年率で0%台の低い伸びにとどまる計算だ。

主因は、内需の2本柱である設備投資と個人消費が、依然として活気付かないことである。

設備投資は、前期比1・4%減と3四半期ぶりにマイナスになった。企業業績は過去最高の水準だが、新興国経済の減速や円高・株安に身構え、投資を先送りする企業が増えているようだ。

日本企業は300兆円を超える巨額の内部留保を持つ。元手が足りないわけではない。

投資を活性化するには、経営者に二の足を踏ませている不安心理を、和らげることが重要だ。

先進7か国(G7)が世界経済を牽引けんいんし、成長を持続させる。そうした力強いメッセージを、来週の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で発信する必要がある。

カギとなるのは、機動的な財政出動を含む明確な政策協調を打ち出せるかどうかだ。

財政規律を重視する独英両国は、財政出動に慎重だ。安倍首相は議長として調整力を発揮し、世界経済の成長に資する協調策をまとめてもらいたい。

日本が円高阻止の市場介入を辞さない構えなのに対し、米国は否定的だ。為替政策を巡る不協和音が強まり、市場を不安定化させる事態は避けねばならない。

個人消費は0・5%増で、特殊要因を除けば横ばい圏だった。石原経済再生相は「力強さを欠いている」と懸念を示した。

給与や報酬が伸びているのに消費はさえない。収入増が今後も続くかどうか自信を持てず、貯蓄に回す人が多いようだ。

消費の底上げには、賃上げの継続や非正規労働者の処遇改善が有効だ。前向きに取り組む企業を、政策で後押ししたい。

年金など社会保障制度の将来に対する不安も、家計が節約志向を強めている要因ではないか。

来年4月に予定される消費税率10%への引き上げが再延期されるかどうかが注目されている。増税を延期するのなら、財政再建への目配りと社会保障財源の確保策が欠かせまい。

産経新聞 2016年05月19日

1~3月期GDP 萎縮せず成長基盤を築け

見かけの数字が悪くなくても、内実を伴っていない。年率換算で1・7%増となった1~3月期の実質国内総生産(GDP)をみると、そう受け止めざるを得ない。

うるう年による日数増の影響を除けば消費に力強さはみられず、企業の設備投資も落ち込んだ。マイナス成長だった前期からの戻りは弱く、むしろ停滞感がはっきりしたといえよう。

4月以降は、折からの円高や新興国経済の減速に加えて、熊本地震の影響も懸念される。景況感が一段と悪化する事態にも備えておかなければならない。

低迷を打開すべく政府が新たな骨太方針や成長戦略を強力に進めるべきは当然として、同時に期待したいのが民間の活力である。経済環境の変調に企業が萎縮するばかりでは展望は開けまい。

増加に転じた個人消費も0・5%増にとどまる。春闘の賃上げは期待ほどの伸びをみせなかった。景気下ぶれを警戒した企業判断はあろうが、所得が力不足では消費喚起につながらない。設備投資が1・4%減だったのも企業心理の急速な冷え込みを反映したものだろう。

東証1部上場企業の平成28年3月期決算は過去最高の営業利益を記録した。円安の恩恵を受けた輸出企業を中心に稼ぎを増やし、内需関連でも訪日外国人の急増で小売業などが業績を伸ばした。

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