北朝鮮党大会 核に固執して未来は開けない

朝日新聞 2016年05月10日

北朝鮮党大会 国勢の衰えを直視せよ

北朝鮮・平壌で36年ぶりとなる朝鮮労働党大会が開かれた。

前回当時といまの北朝鮮とを比べれば、国勢の凋落(ちょうらく)は明らかだ。かつては韓国と体制の優位さを競ったが、いまや経済の豊かさは完全に逆転し、もう南の同胞の背中すら見えない。

前回の大会には100を超える国の代表団が列席した。韓国政府によると、今回、主要国の来賓は確認されていない。

金日成(キムイルソン)主席から3代にわたった異常な独裁体制は結局、国際社会での孤立化を招いたのだ。それが、この久しぶりの党大会を取り巻く現実である。

ところが金正恩(キムジョンウン)氏は、まったくそんな事実を直視することなく、「実績」を語った。その演説で改めて浮き彫りになったのは、過ちを改める考えはないという独善である。

「責任ある核保有国」を自称し、自主権が侵されない限り、先に核兵器を使わないことや、核拡散を防ぐ義務を守って世界の非核化に努めると強調した。

どれだけ巧妙な文言で正当化しようとしても、北朝鮮の核保有を容認する国など存在しない。国際社会が求めるのは、前提条件なしの核放棄である。

正恩氏は、核開発と経済発展の両方を進める並進路線を「恒久的に堅持する」として、自らが衛星打ち上げとする事実上の長距離弾道ミサイルや核兵器の開発強化を訴えた。2020年までの「国家経済発展5カ年戦略」も打ち出した。

しかし、核・ミサイル開発の代償として、国連安保理から厳しい経済制裁が科されたばかりだ。最大の後ろ盾である中国も制裁には賛同しており、正恩氏の暴走に警告を出している。

危うい行動が改まらない限り制裁は緩まない。自力で経済を立て直す力がない以上、核と経済再建を両立させる並進路線は、およそ実現性のない詭弁(きべん)にすぎないのである。

強硬論を繰り返す一方、正恩氏は米国に対して平和協定の締結を、韓国には軍事当局者協議を呼びかけた。

いつもの硬軟両様とりまぜた戦術であり、米韓両政府とも、協議をすんなり受け入れがたいのは理解できる。とはいえ、このまま無言の対立を長引かせても、アジア太平洋地域にとって利益とならないのも確かだ。

最終的に北朝鮮に核放棄させねばならないことは当然だが、その目標を実現するためにも、核・ミサイル開発を中断させる道筋を探るしかない。米韓は、北朝鮮の動向を慎重に見極めつつ、対話の席に戻す努力を尽くしてほしい。

読売新聞 2016年05月08日

北朝鮮党大会 核に固執して未来は開けない

核兵器の保有に固執することは、国際社会で孤立を深め、経済再建を遠のかせる。北朝鮮の金正恩政権の将来が一段と厳しくなるだけである。

朝鮮労働党の第7回党大会が36年ぶりに開幕した。

金第1書記は開会の辞で、1月の核実験と2月の長距離弾道ミサイル発射について、「大成功を遂げ、朝鮮の尊厳と国力を最上の境地で輝かした」と自賛した。

党大会の開催で自らの権力基盤の確立を図るため、実績を最大限誇示したのだろう。だが、核ミサイル開発を正当化する危険な主張であり、容認できない。

国連安全保障理事会は、度重なる制裁決議で、北朝鮮に核放棄を求め、弾道ミサイル発射を禁じている。金第1書記の発言は、地域の平和と安定への挑戦である。

党大会は、幹部人事を決定する予定で、金第1書記を改めて「党の最高位に推戴すいたいする」という。

前回党大会は、金日成主席時代の1980年に開かれた。後を継いだ金正日総書記は、東西冷戦終結、ソ連崩壊や自然災害による経済難の中、軍に依拠して統治し、党大会を一度も開かなかった。

金第1書記には、偶像化された祖父の金主席の統治スタイルを模倣することで、求心力を強める思惑があるのではないか。

開会の辞では、前回党大会以降の36年間を「厳しい闘争と栄光ある勝利の時代だった」と形容した。北朝鮮が、米国など「帝国主義勢力」の圧力にさらされながらも、社会主義を守り抜いたという独善的な歴史観にほかならない。

実際には、金主席、金総書記、金第1書記と3代続いた世襲の独裁は国民を困窮させた。政治犯を恣意しい的に拘束、処刑するなど、極端な人権弾圧も続けてきた。

北朝鮮の経済水準は、70年代には韓国と同程度だったが、現在は1人当たりの国民総所得で比較して20分の1以下と推定される。「金王朝」の権力維持を最優先した政治路線の代償である。

党大会で、いくら経済建設の展望を示しても、核兵器開発との「並進路線」を継続する限り、絵に描いた餅にとどまろう。

北朝鮮が決定的な経済破綻を免れたのは、最大の友好国である中国が支援を続けてきたからだ。だが、中国も核開発を強行する金政権にはいらちを募らせている。

前回党大会には、中国など110か国以上の代表が参加したが、今回は主要国の代表団の姿は確認されていない。金政権の暴走がもたらした結果と言えよう。

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