日韓関係の改善を契機に、日米韓3か国の協力を拡充し、北朝鮮包囲網の実効性を高めることが肝要である。
訪米中の安倍首相がオバマ米大統領、韓国の朴槿恵大統領と会談し、北朝鮮の軍事挑発に結束して対応するため、日米韓の安全保障協力を強化する協議を始めることで一致した。
首相は「北朝鮮の挑発行動に歯止めをかけるため、安保協力が喫緊の課題であり、首脳がリーダーシップを発揮したい」と語った。オバマ氏は、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議について「強力に実施したい」と強調した。
北朝鮮は核実験、長距離弾道ミサイル発射に続き、短距離ミサイル発射などを繰り返す。核兵器の小型化、ミサイルの大気圏再突入技術の獲得も喧伝している。
「恫喝外交」は北朝鮮の常套手段である。過剰反応は不要だが、常に警戒を怠らず、抑止力を維持しておくことは欠かせない。
昨年末の慰安婦問題の合意で、3か国の間で最も疎遠だった日韓関係が修復され、緊密な連携が可能になった意味は大きい。
安保理決議の厳格な履行を通じて、北朝鮮への圧力を高めるには、日米韓が主導的な役割を果たし、中国など関係国への働きかけを強めることが大切である。
日米韓の協調は、一時は中国との連携に傾斜した韓国を日米の側に引き戻し、中国に独善的な海洋進出の自制や国際ルールの順守を迫るうえでも重要だ。
安保協力では、日韓双方にとってメリットの大きい軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結を急ぎたい。
GSOMIAは、2012年6月の調印直前、韓国が国内世論の反発を理由に、一方的に締結を延期したままとなっている。14年末に北朝鮮の核・ミサイル情報に限って米国経由の交換が一応、可能になったが、極めて非効率だ。
日韓首脳会談で安倍首相は、慰安婦合意について「両国内で様々な問題を抱えているが、リーダーシップを持って合意を実施したい」と語った。朴氏は「誠実に履行していきたい」と応じた。
合意について、韓国の元慰安婦支援団体は反発しているが、肯定的な元慰安婦も少なくない。
今月13日に総選挙を控える中、政治問題化を避けつつ、韓国政府による元慰安婦を支援する財団設立の準備を着実に進めるべきだ。朴氏は、自ら決断した合意を順守するため、関係者の理解を広げる努力を主導してもらいたい。
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