民主党に対する国民の根強い不信感を払拭する契機にできるのか。
民主、維新の両党が合流した「民進党」の結党大会が開かれた。岡田代表は挨拶で、「日本に政権交代可能な政治を実現するためのラストチャンスという認識を共有しよう」と強調した。
改革結集の会だった4人が参加し、衆院議員は96人となった。参院では、無所属の1人が加わった民進党の60人と、維新からの5人が統一会派を近く結成する。
新しい党名は、「国民と共に進む」との意味を込めたという。
民主党が推した「立憲民主党」は世論調査で、維新が提案した「民進党」を下回った。結果的に、政権時代の負のイメージを引きずる「民主党」の名を捨て去ることができたとも言える。
党役員人事で、待機児童問題を巡って注目された若手の山尾志桜里衆院議員を政調会長に抜擢したのは清新さを求めたのだろう。
肝心なのは、民進党が政権を担える党として現実的で説得力ある政策を打ち出せるかどうかだ。
連合の神津里季生会長は結党大会で、民進党の政策について「目先の人気取りで、魂まで失ってはならない」と指摘した。
その意味で、結党大会で決まった新綱領の内容は物足りない。
憲法改正については「未来志向の憲法を国民とともに構想する」との曖昧な文言にとどまった。維新は改正に前向きだが、民主党に慎重論が強かったためだ。
安全保障政策では、「専守防衛を前提に現実主義を貫く」と訴え、「日米同盟の深化」も掲げた。
しかし、民主、維新両党は、米国が高く評価する安保関連法について、廃止法案を共産党などと共同で国会に提出した。こうした言行不一致で、同盟をどう深化させるつもりなのだろうか。
原発政策は、「原発に頼らない社会」を目指すとした。当初案は「2030年代稼働ゼロ」だったが、電力系労組などの反対で、より現実的な表現に落ち着いた。
夏の参院選に向けて、共産党などとの選挙協力も課題となる。
共産党が1人区で独自候補を取り下げることで、野党候補の一本化は徐々に進んでいる。衆院選での協力も検討するという。
だが、そもそも共産党との間では、憲法や日米安保など政策面の隔たりが大きい。民進党内の保守系議員などには、「共産党にすり寄りすぎだ」との反発も高まっている。今のままでは、「野合批判」が一層強まろう。
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