「核戦力」の増強を誇示したいのだろうが、実際は国際的な孤立を深めるだけである。
北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ノドン」とみられるミサイルを、西部粛川付近から発射した。約800キロ飛行して、日本海に落下した。
韓国軍によると、もう1発発射したが、直後にレーダーから消えた。空中爆発の可能性がある。
北朝鮮の核実験などを受けて、国連安全保障理事会は今月初旬、改めて弾道ミサイルの発射を禁じる決議を採択している。
北朝鮮の行動は、1週間前の短距離弾道ミサイル発射に続き、明白に決議に違反している。
安倍首相が「国際社会と緊密に連携し、毅然として対応する」と非難したのは、当然である。
北朝鮮は、安保理決議と、今月始まった米韓合同軍事演習に対して、反発を強めている。
朝鮮中央通信によると、金正恩第1書記は、「核弾頭の爆発実験」と「核弾頭搭載可能な様々な弾道ミサイルの発射実験」を早期に行うと言い放った。
核弾頭の軽量化に成功したとも主張し、米国に対抗する「核先制攻撃」までも示唆している。
金第1書記は、5月の朝鮮労働党大会に向けて、自らの求心力を高めたいのだろう。しかし、核弾頭の小型化が、ミサイルに搭載できるレベルにまで進んだのは疑わしいとの見方が一般的である。
中谷防衛相は発射について、「弾道ミサイルの能力増強につながるとすれば、我が国の安全保障上、強く懸念する」と語った。
日本を射程に収めるノドンは多数、実戦配備されているといわれる。移動式発射台を使うため、事前に発射の兆候をつかみにくい。発射を重ねて精度を高めることには警戒が怠れない。
北朝鮮が朝鮮半島の緊張を高めようと、さらなる軍事的挑発に出ることにも備える必要がある。
国際社会は、核ミサイル保有の野心を隠さない金第1書記の暴走を看過してはなるまい。
まずは、安保理制裁決議を厳格に履行すべきだ。核ミサイル開発の資金や物資を遮断する包囲網を強化することが欠かせない。
北朝鮮の脅しに動じず、その暴発を抑止するには、日米韓3か国の安全保障面での連携がますます重要になっている。
今月末に米国で行われる核安全サミットに合わせて、日米韓は首脳会談を開催する方向だ。中国の協力を得つつ、制裁の実効性を高める具体策を協議したい。
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