政党の規模が大きくなっても、国民の支持拡大につながるかどうかは不透明である。
民主党と維新の党が3月中に合流し、「新党結成」を目指すことで合意した。維新が解党し、民主党が実質的に吸収合併する。党名や綱領の変更も検討するという。
民主党の岡田代表は記者会見で「必ず政権交代の受け皿になる」と訴えた。維新の党の松野代表も「終わりではなく、これからスタートだ」と強調した。
衆院議員は93人となる。参院は維新の5人が、民主党の59人と統一会派を組む方向だ。みんなの党時代に比例選で当選した5人は、原則として他党に移れない。
夏に参院選を控えて、「1強」の自民党に対抗する態勢を築くため、野党が勢力の結集を図ろうとする事情は理解できる。
だが、維新の衆院議員21人のうち、松野氏や今井幹事長ら10人は民主党出身で、新味を欠く。
松野氏は、消費税率引き上げに反対し、民主党を離党した。民主党の「労組依存」体質なども批判してきた。なぜ“復党”するのか、説明責任が求められる。
合流手続きは変則的だ。民主党議員が1人を除いて離党し、党名などの変更後に維新議員と共に入党する。「新党」に固執する維新のメンツに配慮した結果だ。
おおさか維新の会との分裂後、維新の支持率は、読売新聞社の世論調査で0%が続いている。比例選出の衆院議員が17人に上り、選挙基盤が弱い議員が多い。「新党」は維新の生き残り策でもある。
民主党にとっても、政権党時代の数々の失政で傷ついた党のイメージを刷新し、低迷する党勢の回復につなげたい思惑がある。
与党からは、「選挙互助会」などと揶揄されている。党名を変更した程度で、国民の不信が和らぐといった甘い考えは持つべきではあるまい。肝心なのは、基本政策を一致させることだ。
民主、維新両党には依然、憲法改正、安全保障、公務員制度改革、環太平洋経済連携協定(TPP)などを巡って温度差がある。きちんと政策をすり合わせなければ、「野合」との批判を免れない。
疑問なのは、両党が先週、共産党など他の野党3党と共同で安保関連法の廃止法案を国会に提出したことだ。5党が選挙協力を協議することでも一致している。
民主党では、共産党との連携に反発した鈴木貴子衆院議員が離党届を提出した。共産党との協力は「保守離れ」のリスクを伴う。
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