民主と維新 政策なき合流に新味なし

読売新聞 2016年02月27日

民主・維新合流 「野合」批判をどうはね返すか

政党の規模が大きくなっても、国民の支持拡大につながるかどうかは不透明である。

民主党と維新の党が3月中に合流し、「新党結成」を目指すことで合意した。維新が解党し、民主党が実質的に吸収合併する。党名や綱領の変更も検討するという。

民主党の岡田代表は記者会見で「必ず政権交代の受け皿になる」と訴えた。維新の党の松野代表も「終わりではなく、これからスタートだ」と強調した。

衆院議員は93人となる。参院は維新の5人が、民主党の59人と統一会派を組む方向だ。みんなの党時代に比例選で当選した5人は、原則として他党に移れない。

夏に参院選を控えて、「1強」の自民党に対抗する態勢を築くため、野党が勢力の結集を図ろうとする事情は理解できる。

だが、維新の衆院議員21人のうち、松野氏や今井幹事長ら10人は民主党出身で、新味を欠く。

松野氏は、消費税率引き上げに反対し、民主党を離党した。民主党の「労組依存」体質なども批判してきた。なぜ“復党”するのか、説明責任が求められる。

合流手続きは変則的だ。民主党議員が1人を除いて離党し、党名などの変更後に維新議員と共に入党する。「新党」に固執する維新のメンツに配慮した結果だ。

おおさか維新の会との分裂後、維新の支持率は、読売新聞社の世論調査で0%が続いている。比例選出の衆院議員が17人に上り、選挙基盤が弱い議員が多い。「新党」は維新の生き残り策でもある。

民主党にとっても、政権党時代の数々の失政で傷ついた党のイメージを刷新し、低迷する党勢の回復につなげたい思惑がある。

与党からは、「選挙互助会」などと揶揄やゆされている。党名を変更した程度で、国民の不信が和らぐといった甘い考えは持つべきではあるまい。肝心なのは、基本政策を一致させることだ。

民主、維新両党には依然、憲法改正、安全保障、公務員制度改革、環太平洋経済連携協定(TPP)などを巡って温度差がある。きちんと政策をすり合わせなければ、「野合」との批判を免れない。

疑問なのは、両党が先週、共産党など他の野党3党と共同で安保関連法の廃止法案を国会に提出したことだ。5党が選挙協力を協議することでも一致している。

民主党では、共産党との連携に反発した鈴木貴子衆院議員が離党届を提出した。共産党との協力は「保守離れ」のリスクを伴う。

産経新聞 2016年02月24日

民主と維新 政策なき合流に新味なし

「1強多弱」状態が国会の停滞を招くのは好ましくない。それを打破する動きだと謳(うた)うが、国民はどう期待を抱けばよいというのか。

民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表が、両党の合流に向けた手続きに着手した。

解散する維新を民主が合併する形で、「立憲民主党」などといった党名の変更も検討するという。

野党第一党の民主党が抱える課題は、再び政権の受け皿たり得るかについて、国民の信頼を得られないことだ。この合流が一歩でも事態を前進させるのだろうか。

野党連携を進めるという建前、関係者の生き残りなどの個利個略が先に立つなら、有権者の期待など集められようもない。

昨年からくすぶってきた合流構想が一気に進んだのは、今夏の参院選が近づき、野党がばらばらの状態を解消したいからだろう。安全保障関連法の廃止法案を共同提出した直後でもある。

だが、いくら手続き論を先行させても、自分たちならこの国のかじ取りをどうしたいという肝心の点が分からない。青写真を示そうともしない点は首をかしげる。

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