竹島の日 国内世論を粘り強く喚起せよ

読売新聞 2016年02月22日

竹島の日 国内世論を粘り強く喚起せよ

国家主権に直結する領土問題の解決は、簡単ではない。国内世論を喚起する啓発活動を続けながら、粘り強く取り組むことが欠かせない。

島根県などが22日、松江市で第11回「竹島の日」記念式典を開催する。2005年に制定した県条例に基づく行事である。

島根県は、竹島の関連資料を積極的に収集し、解説書などを刊行してきた。竹島が日本固有の領土であることを補強する調査研究活動を実施し、情報発信する地道な努力を高く評価したい。

政府は、領土問題を担当する酒井庸行内閣府政務官を式典に派遣する。政務官の出席は安倍政権の発足以来、4年連続だ。地元では閣僚や副大臣の派遣を求める声がある中、格上げを見送っているのは韓国への外交的配慮だろう。

日本は、17世紀半ばの江戸時代初期には竹島を漁場や中継地として利用し、領有権を確立していた。竹島を島根県に正式編入したのが1905年の2月22日である。

アシカ猟の事業化を目指す水産業者が明治政府に竹島の所属の明確化を陳情したのが発端だ。当時、年1000頭以上のアシカを捕獲した記録が残っている。行政手続きにより、国際法上も領有権を確実にした意義は大きい。

だが、サンフランシスコ講和条約の発効直前の52年1月、韓国が李承晩ラインを一方的に設定し、現在も竹島の不法占拠を続けている。警備隊を常駐させ、宿舎や灯台、湾岸設備などを整備した。容認できない行為である。

安倍政権が内閣官房に設置した領土・主権対策企画調整室は、竹島に関する行政文書や日記など約1000点の資料を収集した。昨年8月には、約100点をデータベース化し、ホームページで検索・閲覧できるようにした。

文部科学省も、領土教育に力を入れている。小中高校の教科書における竹島、尖閣諸島などの記述は徐々に充実してきた。

領土問題の歴史的経緯や現状について、より多くの国民が正しい知識を身につけ、共通認識を持つことが重要である。

日韓関係は、昨年末の慰安婦問題の合意により、ようやく改善に向けて動き出した。年明け以降、北朝鮮の核実験や長距離弾道ミサイル発射に対し、日韓両政府が緊密に連携し、北朝鮮への圧力を強めたことは一つの成果だ。

様々な分野で日韓協力を着実に強化することは大切だが、領土問題については、日本の主張をきちんと伝えなければならない。

産経新聞 2016年02月23日

竹島の日 返還求める外交を強めよ

「竹島の日」の22日、松江市で島根県主催の返還を求める式典が開かれた。菅義偉官房長官は記者会見で「領土主権はまさに国の基本だ。国の内外に発信、啓発を進めていきたい」と語った。

竹島問題が主権にかかわる重要事だという認識を披露したのは当然だ。だが、政府に十分な行動が伴っているとは思えない。

式典で溝口善兵衛知事が「外交交渉の場で竹島問題が話し合われるよう引き続き強く要望する」と述べたことが物語っている。

竹島は日本固有の領土だ。政府は昭和29年に韓国の不法占拠を確認している。竹島周辺で海上保安庁の巡視船が韓国側から銃撃されたこともある。だが、日本の閣僚や外交官が、韓国に竹島返還を求め、猛然と談判したことを聞いたことがない。

ロシアに対しては、首脳会談や外相会談を通じて北方領土返還を求め続けている。竹島でなぜ同じことができないのか。

日韓関係が悪ければ竹島問題を前面に出すことを控え、関係が良ければ良かったで同様の配慮をする。これでは国民の理解や世論が高まるわけがない。

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