被告が少年といえども罪に見合う罰は負わせるべきだ。裁判員はそう判断したのだろう。
川崎市で昨年2月、中学1年生の上村遼太君が殺害された事件で、殺人罪などに問われたリーダー格の19歳の少年に、懲役9年以上13年以下の不定期刑が言い渡された。
少年法が定める不定期刑の上限に近い。横浜地裁は判決で、「被害者が味わわされた恐怖や苦痛は甚大で、無念さは察するに余りある」と指摘した。凄惨な犯行を主導した被告の責任を重く見た結果だと言えよう。
被告は、他の少年2人と共に、多摩川の河川敷で上村君に激しい暴行を加えた。真冬の川を裸で泳がせた上、カッターナイフで首を何度も切りつけて殺害した。判決が「手口の残虐性は際立っている」と批判したのは当然である。
被告は公判で、罪を認め、謝罪した。家庭で体罰を受けて育ったことも明らかになった。
判決は「成育環境が犯行に影響を与えた」と認定する一方、被告が傷害の非行で保護観察中だった点に言及し、「更生の困難さをうかがわせる事情だ」と判断した。裁判員の厳しい姿勢の表れだ。
今後、重要なのは、事件の教訓を再発防止に生かすことだ。
上村君は事件前、不登校になり、少年らのグループと付き合うようになった。しかし、学校側は交友関係などを把握しておらず、警察との連携も不十分だった。
川崎市教育委員会は事件後、犯罪に巻き込まれる恐れのある子供について、氏名などの個人情報を提供し合う協定を神奈川県警と結んだ。緊密に情報交換し、犯罪の芽を摘むことが欠かせない。
住民による夜間のパトロールなど、地域の見守り活動も重ねる必要があるだろう。
事件は、少年法に関する議論を活発化させる契機になった。
昨夏、選挙権年齢の18歳以上への引き下げが決まり、その後、自民党は少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満へ引き下げるべきだ、とする提言をまとめた。
読売新聞の世論調査では、適用年齢の引き下げに賛成する人が88%に上る。少年による犯罪件数自体は減少しているものの、殺人などの凶悪犯罪が後を絶たないことを反映しているのだろう。
少年院での矯正教育など、少年法に基づく処遇が、再犯の防止に果たしてきた役割は大きい。罪を犯した18、19歳の更生の機会をどう確保するか。そうした観点を踏まえた検討が求められる。
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