対「北」独自制裁 厳格な安保理決議の先駆けに

朝日新聞 2016年02月11日

北朝鮮制裁 効果的な措置の選択を

北朝鮮に対する関係国の独自制裁の動きが本格化してきた。

核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射という暴挙に対し、抗議の意思を一定の行動で示すのは当然の対応である。

日韓両政府はきのう、その内容を発表した。日本は、拉致問題をめぐり2年前に緩めた制裁の復活などを決めた。

韓国は、南北朝鮮の経済協力の象徴である開城工業団地の操業を止める。米議会も近く、制裁法案を可決する見通しだ。

4度目の核実験から1カ月以上たっても、国連安保理は制裁決議案をつくれずにいる。北朝鮮の後ろ盾である中国が、慎重な姿勢を崩さないからだ。

しかし、地域の平和と安定を乱す行為に対し、国際社会が動かずにいる時間を長引かせることは、金正恩(キムジョンウン)政権に誤解を与えかねない。日米韓がそれぞれに取れる独自行動で警告を送ることは政治的に意味がある。

ただ同時に留意すべきは、やみくもに圧力を加えるだけでは事態を改善できない現実だ。

特に日韓は北朝鮮との間に個別の懸案を抱えているだけに、硬軟あわせた多様なカードを繰り出すことが求められる。

日本の制裁のうち、在日外国人の核・ミサイル技術者の往来規制や、資産凍結対象の拡大などは必須の措置だろう。

一方、多くの在日朝鮮人には北朝鮮に暮らす家族や親類がいる。そうした人びとが苦痛を味わうだけの措置にならないよう慎重な考慮も要る。

過去に起きた、在日の子どもたちへの嫌がらせ行為などにも目を光らせねばならない。

制裁に反発し、北朝鮮は拉致問題などの政府間協議の打ち切りを言いだす恐れがあるが、日本政府は粘り強く協議の継続を呼びかけるべきである。

南北の軍事境界線の北側にある開城工業団地では、韓国企業が払う賃金が、北朝鮮の貴重な外貨稼ぎになっている。金正恩体制には痛手だろうが、韓国の入居企業の経営も直撃する。

それでも韓国政府が操業停止を決めたのは、それだけ強い怒りを伝えるためだろう。

こうした日米韓の措置があってもなお、北朝鮮の命脈をにぎる中国の制裁がなければ、本当の圧力にはなりにくい。

その方向へ中国を動かすためにも重要なのは、日米韓がいっそう足並みをそろえ結束を強めることである。

金正恩体制を過剰に守れば、中国に対しても、日米韓は一致して厳しい目を向けざるを得ない。そうした外交的なメッセージで北京の行動を促すべきだ。

読売新聞 2016年02月11日

対「北」独自制裁 厳格な安保理決議の先駆けに

度重なる北朝鮮の暴挙を看過せず、厳しい制裁措置を迅速に発動することが重要である。国際社会の一致した取り組みを日本が主導したい。

政府は、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開き、北朝鮮に対する独自制裁を復活・強化する方針を決めた。

北朝鮮の核実験と長距離弾道ミサイル発射は、日本にとって直接の脅威である。いち早く厳格な対応を取ったのは当然だ。

北朝鮮に帰国した在日本朝鮮人総連合会幹部の再入国を禁止する。人道目的を含むすべての北朝鮮籍船舶の入港を認めない。いずれも、2014年7月の日本人拉致被害者らの再調査開始時に解除した措置を復活するものだ。

さらに、再入国禁止の対象に核・ミサイル技術者を追加する。北朝鮮向けの送金については、「原則禁止」に踏み込んだ。

北朝鮮は、拉致被害者らの再調査に関し、日本への報告を先送りしている。こうした不誠実な対応を重ねる以上、制裁を復活・強化するのは、「行動対行動」の原則に沿う妥当な判断と言える。

北朝鮮の金正恩政権の行動は、不確実性が高まっている。

外務省や警察庁などが密接に協力し、制裁の実効性を確保しなければならない。一方で、北朝鮮との対話の窓口は閉ざさないなど、柔軟な対応が求められる。

政府は、拉致と核・ミサイル問題を包括的に解決する方針を堅持し、粘り強く対処すべきだ。

無論、日本単独の制裁では、効果が限られる。国際的な対北包囲網の構築を急ぐ必要がある。

韓国は、独自の制裁として南北協力事業「開城工業団地」の操業中断を発表した。外貨収入を減らす狙いがあるが、北朝鮮との対話の窓口を失うリスクも伴う。

安倍首相はオバマ米大統領、韓国の朴槿恵大統領と個別に電話会談した。国連安全保障理事会での制裁決議の早期採択に向けて、連携することで一致した。

安保理決議の採択にとって、最大の障害は中国の消極姿勢だ。

中国は、制裁の対象を核・ミサイル開発に関連するものに限定するよう主張し、国民生活に影響を与える措置には反対している。

だが、こうした長年の融和的な態度が北朝鮮を増長させ、再三の核実験やミサイル発射を許したのではないか。今回こそ、北朝鮮に対する実質的な圧力を強化することが欠かせない。

日米韓は結束し、中国に軌道修正を働きかけることが大切だ。

産経新聞 2016年02月13日

対北独自制裁 暴走止める日米韓連携を

日韓両政府が北朝鮮に対する独自の制裁へ動き出した。米議会が可決した制裁法案も、オバマ大統領の署名を経て近く発効する。

日米韓3カ国が足並みをそろえ、北朝鮮への圧力を強めているのは極めて妥当だ。これら独自の取り組みが、国連安全保障理事会での厳しい対北制裁決議へつながっていくことを期待したい。

安倍晋三首相とオバマ氏、韓国の朴槿恵大統領の3首脳は9日、それぞれ電話会談し、対北制裁を強めることで一致した。

北朝鮮は、国際社会の制止を無視して、核実験や事実上の長距離弾道ミサイル発射を繰り返している。世界の平和と安全を損なう現実の脅威そのものである。

首相は、米韓の首脳に「日米韓をはじめとする各国の強固な連携」を訴え、オバマ氏は「米国は日本と肩を並べていく」と応じた。朴氏も「日韓や日米韓の連携強化を図る」と語った。

これを受け、日本は、拉致再調査に関する平成26年の日朝合意の際に緩和した制裁を再開した。送金の原則禁止や北朝鮮に寄港した第三国籍船舶の日本入港禁止など、新しい措置も盛り込んだ。

産経新聞 2016年02月09日

対北独自制裁 拉致被害者救出につなげ

北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射を受け、安倍晋三首相は8日、日本独自の制裁について「具体的中身の検討を速やかに進め、毅然(きぜん)かつ断固たる措置を取る」と述べた。当然である。

これを言葉だけに終わらせてはならない。拉致被害者の再調査を理由に一部を解除した制裁の復活を含め、躊躇(ちゅうちょ)することなく独自制裁を断行すべきだ。

「対話と圧力」「行動対行動」の対北朝鮮外交の原則に従えば、今は圧力に徹すべきときだ。独自制裁の理由に、全く進展がない拉致問題も明記し、被害者の救出につなげてほしい。

解除した制裁の復活や新たな独自制裁を科す機はこれまでにもあった。昨年7月、北朝鮮は拉致被害者などの再調査結果報告を一方的に延期すると通告してきた。自民党の拉致問題対策本部は制裁強化案をまとめて政府に提出したが、見送られた。

今年1月6日に北朝鮮が4回目の核実験を行った際にも、安倍首相が日本の独自制裁強化に言及し「断固たる対応」を強調したが、発動することがないままに長距離弾道ミサイルは発射された。

「対話の窓口が閉ざされ拉致問題の解決が遅れる」「中国が加わらない制裁では効力がない」といった反対の声が常にあった。

だが本当にそうか。誰よりも肉親の帰還を願う拉致被害者の家族会は制裁強化を訴え続けてきた。圧力や行動なしに北朝鮮が動かないことを熟知しているからだ。

家族会の飯塚繁雄代表は「国際社会、日本を含めてなめてかかっていると感じる」とし、「相当厳しい制裁を科していかないと被害者を返すという決断ができないのではないか」と述べた。

効果的な制裁にするためには北朝鮮の主要な貿易国である中国の協力が不可欠であるのは事実だ。だからこそ、国連安全保障理事会で中国に対して制裁強化を要請するに当たり、日本は独自制裁の発動で立場を明確にしておく必要があるのではないか。

飯塚代表は8日、加藤勝信拉致問題担当相に「国連制裁よりも早く日本の立場をしっかり踏まえた北朝鮮への対応を示してもらえると期待している」とも求めた。

北朝鮮に対して強い姿勢に出るに当たっては、日米同盟に基づく強固な安全保障態勢を整えておく必要もある。

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