日米の信頼関係を築くには、「言葉」だけでなく「行動」が肝心だ。
民主党の鳩山代表がオバマ米大統領との電話会談で「日米同盟が基軸」との意向を表明し、未来志向の関係を築くことで一致した。ジョン・ルース駐日大使との会談でも、日米関係の強化を確認した。
民主党の衆院選勝利後早々の大統領からの電話や大使の表敬訪問は、米政府が日本を重視すると同時に、今後の日米関係を心配しているため、と見るべきだろう。
というのも、米紙に最近掲載された鳩山代表の論文が、「反米的だ」などと米側に受け止められ、波紋を広げているからだ。
論文には、「日本は米国主導の市場原理主義に翻弄され続け、人間の尊厳が失われた」「米国の政治的、経済的行き過ぎは抑制したい」といった表現がある。
鳩山代表は「反米的な考え方を示したものでない」と説明する。だが、論文が米国批判を含み、結果的に「反米的」との印象を与えた事実は否定できない。
米側の反応の背景には、インド洋での海上自衛隊の給油活動への反対や、在日米軍再編の見直しなど、従来の民主党の主張に対する不信感の蓄積もあるだろう。
鳩山代表は、もはや単なる野党党首でなく、次期首相の立場だ。その発言の重みを自覚し、行動することが求められる。
野党時代のように、政府・与党との違いを強調することばかりに固執すべきではない。継承すべき政策はしっかりと継承し、むしろ発展させる発想が大切だ。
今月下旬の国連総会に合わせた初の日米首脳会談、10月にゲーツ国防長官来日、11月にオバマ大統領来日と、重要な外交日程が続く。最初は、日米同盟の重要性を「言葉」で確認すればいいが、それだけではすまされない。
テロとの戦い、北朝鮮の核、在日米軍再編、世界経済の回復など日米が連携して取り組むべき重要課題は多い。日本は、問題解決のためにどんな役割を果たすのか。例えば給油活動を中止するなら、具体的な代案を示すべきだ。
民主党は社民、国民新両党との連立政権協議で、「緊密で対等な日米同盟関係」を合意文書に盛り込むよう提案している。従来以上に米国に注文する狙いだろう。
だが、物を言う以上は、当然、日本が相応の国際的な責任を担う覚悟を忘れてはなるまい。
鳩山代表が再三口にする「オバマ大統領との信頼関係」は、「行動」なしに実現しない。
この記事へのコメントはありません。