琴奨菊の優勝 「型」を究めて日本勢続け

読売新聞 2016年01月25日

琴奨菊初優勝 日本人力士10年ぶりの快進撃

日本出身力士が10年ぶりに賜杯を抱いた。拍手を送りたい。

大相撲初場所で、大関琴奨菊が14勝1敗で初優勝した。

琴奨菊は「つらい時も、たくさんの方々に応援していただいて、いま自分がこうして立っていることがうれしい」と喜びを語った。

日本人力士の優勝は、日本国籍を取得したモンゴル出身の旭天鵬を除けば、2006年初場所の栃東以来だ。角界を席巻するモンゴル勢に一矢を報いたと言える。

琴奨菊は、11年に大関に昇進して以来、度重なるけがなどで精彩を欠いていた。今場所は、がぶり寄りを身上とする本来の取り口が戻った。一時よりも、けがが回復したこともあるのだろうが、その変貌ぶりには目を見張った。

中でも、これまで全く歯が立たなかった横綱白鵬を、力強い出足で押し出した11日目の相撲は見事だった。3横綱すべてを破る、文句なしの優勝である。

来場所の成績次第では、1998年に昇進した3代目若乃花以来の日本人横綱の誕生も現実味を帯びてくるのではないか。

琴奨菊の優勝は、他の日本人力士にとっても、大きな刺激となろう。大関稀勢の里ら、期待される力士たちの奮起を期待したい。今場所は途中休場した遠藤ら、人気力士の台頭も待たれる。

日本人力士の優勝が、これほどのニュースになるのは、かつては考えられなかったことだ。

白鵬が猫だましといった奇手を使うことなどに批判はあるが、モンゴル勢が、近年の大相撲を支えてきたのも事実だ。

そうした状況に、一抹の寂しさを感じているファンは少なくないだろう。琴奨菊に送られた大きな声援が、それを物語っている。

日本相撲協会は一時、時津風部屋の力士暴行死事件や野球賭博事件など、不祥事に揺れ続けた。多数の力士が角界から追放された八百長問題では、11年春場所が中止に追い込まれた。国技としての信頼は失墜し、客足は遠のいた。

このところ、場所には活気が戻り、「満員御礼」が増えている。激しい差し手争いや土俵際の逆転など、白熱した取組が増えていることが大きな要因ではないか。

昨年11月に死去した北の湖前理事長が「土俵の充実」を訴えていたことが成果を上げつつある。

日本人力士が優勝争いに絡み、外国人力士としのぎを削る。千秋楽まで目が離せない場所が続くことで、大相撲の人気回復は確たるものになるだろう。

産経新聞 2016年01月25日

琴奨菊の優勝 「型」を究めて日本勢続け

10年の空白を埋める快事である。大相撲初場所で大関琴奨菊が初優勝した。日本出身力士の優勝は、平成18年初場所の大関栃東(現玉ノ井親方)以来となる。

日本勢の雌伏は、白鵬らモンゴルの3横綱を筆頭とする、外国勢の層の厚さの裏返しといえる。この優勝を10年に1度の出来事で終わらせては、「国技」の看板が泣く。期待に応えられなかった大関稀勢の里ら他の日本勢は、奮起の糧にして後に続いてもらいたい。

琴奨菊の快進撃を支えたのは、四つ相撲から下腹を何度も突き上げて前に出る、個性的な「がぶり寄り」だ。

古くは、69連勝の双葉山に右四つ左上手という不敗の体勢があり、31回優勝の千代の富士には「ウルフスペシャル」と呼ばれる豪快な左上手投げがあった。強い力士には「型」があり、個性がにじみ出ていた。

日本勢低迷の一因に「型」の喪失が指摘される。突出した個性が薄れ、ハングリー精神の旺盛な外国勢にとって代わられた。琴奨菊の優勝を機に、日本勢は自身の「型」を突き詰めてほしい。

相撲界にとって、この10年は激動の歳月だった。力士暴行死事件や野球賭博、八百長問題などの不祥事が相次ぎ、土俵の人気は地に落ちた。

それが持ち直したのも、日本勢ではなく、優勝回数の記録を更新し続ける白鵬ら、外国勢の活躍に負うところが大きい。

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