中国GDP減速 安定成長へ構造改革が急務だ

朝日新聞 2016年01月20日

中国経済 投資偏重からの転換を

中国の昨年の経済成長率は6・9%だった。25年ぶりの低い伸び率とはいえ、7%前後という政府目標にはほぼ達した。重要なのは数字の大小ではなく、どう安定的に成長を続けるのか、そのかじ取りにある。わけても過剰投資に陥りがちだった経済構造を変革していくことがカギを握る。

中国のこれまでの経済成長は投資頼みだった。設備投資やインフラ投資が国内総生産(GDP)に占める割合は50%に近く、中所得国の平均的な水準のほぼ2倍だ。共産党と中央・地方政府の指示のもとで国有銀行、国有企業が動員されてきた結果であり、市場経済化が進んだ今もその体質は残る。

投資の実行はその時点で経済成長率を引き上げるが、需要からかけ離れた供給力が積み上がれば、経済は早晩行き詰まる。

無駄な設備を抱えた国有企業を整理する改革は過去の政権も進めた経緯はある。しかし、リーマン・ショック後の景気対策で、再び過剰投資を招き、現在の経済不振はその後遺症と言える。不動産投資は空きビルを林立させ、鉄鋼や非鉄金属、ガラス、セメントといった業種で設備を持て余す状況となった。

発足から3年になる習近平(シーチンピン)政権は、経済改革に本腰を入れる構えは見せながらも、過剰投資の問題にはあまり触れてこなかった。地域振興を優先する地方政府の抵抗があったのだろう。ようやく昨年12月の中央経済工作会議で「過剰生産能力の解消」を優先課題に掲げた。改革に踏み出す準備ができつつあるとみることができる。

一方で景気は悪化している。こんな時期に大なたを振るえば不況を深刻化させる心配があろう。だから財政出動を拡大する姿勢を同時に示しているのは、軟着陸を目指すうえでは理解できる。とはいえ、改革を中途半端に終わらせてはならない。

財政投入でインフラ建設を進めるにも、中身の吟味は必要だ。例えば重点項目に鉄道整備が挙げられている。年間8千億元(14・5兆円)規模の投資をするというが、採算と経済効果のチェックは欠かせない。

重厚長大型産業が低迷する中で、都市部の消費が比較的堅調なのは明るい材料だ。今後は国有企業を守るよりも、消費動向に敏感な民間企業が育つ環境づくりが、新たな雇用を生むためにも重要だ。民間の力を主に、政府の調節を従にすることが長い目でみて成長に資する。

そうした改革を世界各国が求めている。中国抜きに世界経済の安定は語れないからだ。

読売新聞 2016年01月20日

中国GDP減速 安定成長へ構造改革が急務だ

景気の腰折れを防ぎながら、いかに安定した成長軌道へ移行するか。

減速が続く中国経済のかじ取りは、一段と難度を高めている。

中国の2015年の実質国内総生産(GDP)が前年比6・9%増と、25年ぶりの低い伸びとなった。過剰な生産設備や不動産在庫の解消が進まず、投資や生産活動が鈍ったのが主因だ。

輸出も前年より2・8%減少した。人件費の上昇で価格競争力が弱まり、安価な製品を大量に輸出・販売する「世界の工場」の地位が色あせてきた。

中国は成長目標を「7%前後」としてきた。国家統計局は「6・9%の成長率は政府の目標に符合している」と強調したが、投資と輸出中心の高成長モデルはもはや限界に近づいている。

習近平政権の掲げる消費主導の成長モデルへの転換が急務だ。

当局は、鉄鋼や石炭の過剰供給体制の縮小など、構造改革を進めるという。財政出動などの一時的な景気刺激策だけでは不十分だ。既得権益に固執する国有企業や地方政府の抵抗を抑えて、改革を断行する必要があるだろう。

消費喚起には、顧客の望む新製品や新たなサービスの開発が有効だ。イノベーション(技術革新)の担い手となる民間の活力を引き出すためにも、国有企業の再編・縮小が欠かせない。

気がかりなのは、中国の経済統計が信頼性を欠いていることだ。経済を実際より良く見せるため、当局が統計を高めに算出しているとの疑念は根強い。見せかけの数字で当座を取り繕って、改革の手を緩めてはなるまい。

中国経済の先行き懸念と人民元安は、国際的な資金の流れに悪循環を引き起こし、世界経済の深刻なリスク要因になっている。

景気減速に伴う中国の石油需要の減退予測は、原油価格の低迷に拍車をかけた。原油安は、財政が悪化した中東産油国の「オイルマネー」を国内へと回帰させ、世界株安の一因とされる。

人民元安の進行は、資本の国外流出を加速させた。外貨建ての負債を抱える中国企業の業績を悪化させる恐れが高まっている。

人民元安に歯止めをかけるためにも、為替取引の規制緩和や金利自由化などの金融制度改革を進めて、中国に再び投資資金が向かう環境を整えることが肝要だ。

日本企業も中国経済の構造変化を捉え、中国の消費者や企業の新しいニーズに応えられるよう、ビジネスを見直さねばならない。

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