民主、維新の野党両党首が、衆参両院で統一会派を組むことで合意した。衆院で92人、参院では64人の勢力になる。
衆院で326人の自民、公明の与党勢力には遠く及ばない。それでも、巨大与党に対抗しようとようやく踏み出した第一歩ではある。
より広い野党共闘や選挙協力に向け、岡田、松野両党首はさらに努力を続けるべきだ。
野党が結集することの意義を改めて考えてみたい。
野党の最大の役割は、政権の権力行使に行き過ぎはないかをチェックするとともに、政府・与党に代わりうる「もう一つの選択肢」を示すことだ。
先の国会で民主など野党は、安倍内閣が提出した安保関連法案の違憲性や矛盾を指摘し、世論を喚起することに一定の役割を果たした。ただ、いまの野党の力ではそれが限界だった。
ただでさえ数が少ない野党勢力がバラバラでは、政権運営に緊張感すら生まれない。憲法に基づく臨時国会の召集要求が一蹴されたことも、その例だ。
できる限りの結集を図り、選挙に向けて共通の民意の受け皿づくりに努力する――。小選挙区中心の選挙制度のもと、与党の補完勢力か万年野党に甘んじるのでなければ、これが野党がめざすべき道である。
松野氏らは、3年前の民主党政権時代の消費税率引き上げをめぐる混乱で民主を離れ、橋下徹氏率いる日本維新の会に合流した経緯がある。その維新も泥仕合のあげく分裂した。
民主、維新は両党の「結集」をめざすというが、新党結成なのか吸収合併なのかで隔たりがある。民主党内でも野党共闘のあり方や安保政策をめぐって、なお路線対立がある。
こんな内向きの議論やまとまりのなさに有権者がうんざりしていることは、民主党の支持率の低さをみても明らかだ。
統一会派に向けた両党の党首会談では、七つの基本的政策で一致した。冒頭に外交・安全保障を掲げ、安保法制については憲法違反の部分を白紙化し、新たな法案を出すという。
両党首には、二つの使命があることを自覚してほしい。
一つは、合意した政策を法案の形で具体化することだ。年明け早々に通常国会が始まる。ここで説得力ある論を展開できるかどうかで真価は問われる。
もう一つは、「違憲」法制の白紙化に向けて、より多様な野党や市民との連携を実現することだ。容易な道ではないが、失われた有権者の期待と信頼を取り戻すには近道はない。
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