「一票の格差」が最大2・13倍だった平成26年12月の衆院選について、最高裁大法廷が「違憲状態」と判断した。
選挙無効の請求は退けられたが、23年、25年に続き、違憲状態という厳しい警告が3回続けて発せられることは、極めて異常である。
「違憲」を免れた理由の一つとして、衆院議長の下に置かれた選挙制度調査会による検討が挙げられた。だが、この第三者機関が存在すること自体、立法府が自己改革に取り組めていない証左といえる。
調査会の答申を得て、直ちに改革案を導入する必要があるのは言をまたない。民主主義の土俵である選挙制度に疑問や不信が相次ぐ状況から早急に脱すべきだ。
判決は、「0増5減」の区割り改定によって、最大格差が一時は2倍未満に抑えられたことから、「合理的期間内に是正がされなかったとはいえない」とした。
一部の選挙区間の定数調整という弥縫(びほう)策であっても、国会の取り組み姿勢を認めた格好だ。
だが、格差の根本原因として23年判決で廃止を求めた「1人別枠方式」は、0増5減の対象区以外で残っている。
その点は判決も厳しくみており、大法廷の14裁判官のうち3人が「違憲」と判断し、うち2人は選挙無効とした。
衆院の選挙制度調査会は、来年1月にも議長に対する答申を提出する予定である。現状よりも人口に比例させるための「アダムズ方式」と呼ばれる方法を検討し、「9増9減」の是正策を出そうとしている。
この場合、1人別枠方式が事実上、残ることになる。その是非も問われよう。
各党案に隔たりのある定数削減についても、調査会は何らかの方向性を出すという。
答申は、現行の小選挙区比例代表並立制を基本的に維持する方向で示されることが予想される。小選挙区の数を減らさないなら、定数削減は比例代表部分で実施することになろう。
日本は「法の支配」の価値観重視を対外的に強調している。司法の度重なる警告に、ほおかむりする姿勢はつじつまが合わない。
来年の通常国会で、答申に合わせて関連法案の立法化に踏み切る。それくらいは、与野党の責務として実現してもらいたい。
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