日豪2プラス2 「地位協定」で絆を強めよ

読売新聞 2015年11月24日

日豪2プラス2 安保協力を重層的に進めたい

日本と豪州の安全保障協力は、アジア太平洋地域の平和と安定への重要な基盤である。意思疎通を図り、多角的に連携を深化させるべきだ。

日豪両政府はシドニーで外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を開き、共同訓練や部隊交流など、両国の防衛協力を強化するとの共同声明を発表した。

岸田外相は、日豪関係について「基本的な価値、戦略的利益を共有する特別な関係だ」と強調した。ビショップ豪外相は、「かつてないほど重要だ」と指摘した。

安倍首相と親密だったアボット豪前首相は9月、経済不振などで退任した。同じ自由党のターンブル首相は、対中関係を重視しており、対日関係が後退することへの懸念が一部にあった。

安倍、ターンブル両氏は今月中旬、トルコで初めて会談した。今回の2プラス2開催で、両政権の関係は軌道に乗った、と評価できる。今後も、政治対話を重ね、信頼醸成を図ることが大切だ。

中谷防衛相は、9月に成立した安全保障関連法を説明した。ビショップ氏は「平和維持活動、人道支援、災害救援でより多くの貢献をしてもらえる」と歓迎した。

安保関連法は日米同盟と国際連携を強化し、日本と世界の安全を確保することが主眼である。

後方支援の対象を米軍以外にも拡大したのは、日本周辺での緊急事態に豪州軍が駆けつけるケースなどを想定している。

自衛隊と豪州軍、さらに米軍を交えた共同訓練などを通じ、重層的な協力関係を構築したい。

豪州は、次期潜水艦の共同開発の相手について、日仏独の3か国の中から選定する。

日本の潜水艦製造技術は世界最高水準とされる。政府は、第三国への技術流出防止について、豪州側と十分協議する必要がある。

共同声明は、中国の東・南シナ海での海洋進出や人工島造成を念頭に、「あらゆる威圧的、一方的な行動に強く反対する」と表明した。すべての国が、国際法に基づいて「航行と飛行の自由」を持つとも明記している。

人工島の12カイリ内での米軍の巡視活動は、国際法の原則を体現するものだ。日豪は、様々な手段で米国を後押しする必要がある。

日豪は、パプアニューギニアなど太平洋の島嶼とうしょ国に対し、海上保安能力の向上や社会基盤整備などを支援する方針だ。

西太平洋の海上交通路(シーレーン)の安全確保は、各国共通の利益だ。積極的に寄与したい。 

産経新聞 2015年11月25日

日豪2プラス2 「地位協定」で絆を強めよ

オーストラリアのシドニーで開かれた日豪外務・防衛閣僚協議(2プラス2)では、南シナ海で人工島の軍事拠点化をやめない中国を念頭に「強い懸念」を共有した。

豪側は日本の安全保障関連法に対する強い支持も表明した。

安倍晋三首相との強い信頼関係があったアボット前首相の政権と同様、9月に発足したターンブル新政権からも、日本との安保協力を進める姿勢が示されたことを歓迎したい。

大きな成果として挙げられるのは、自衛隊と豪軍が互いの領域での運用を円滑にするための「訪問部隊地位協定」について、早期締結の方針を確認したことだ。

この協定ができれば、双方とも部隊や装備、弾薬を持ち込み、共同演習や災害救援に当たれる。

東日本大震災の際、豪軍はC17輸送機を日本へ派遣し、災害救援活動に従事した。朝鮮戦争における国連軍(朝鮮国連軍)を構成する豪軍が、在日米軍の主要基地を使用できる国連軍地位協定の規定を活用したものだった。

これは、あくまで緊急対応だったが、逆に豪州で大災害が起きた場合、自衛隊は活動しにくいという課題も浮上した。

安保関連法には、米軍以外の他国軍との協力が盛り込まれており、なかでも豪軍との連携が想定されていたことを考えれば、協定締結は妥当なものだ。

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