日本と豪州の安全保障協力は、アジア太平洋地域の平和と安定への重要な基盤である。意思疎通を図り、多角的に連携を深化させるべきだ。
日豪両政府はシドニーで外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を開き、共同訓練や部隊交流など、両国の防衛協力を強化するとの共同声明を発表した。
岸田外相は、日豪関係について「基本的な価値、戦略的利益を共有する特別な関係だ」と強調した。ビショップ豪外相は、「かつてないほど重要だ」と指摘した。
安倍首相と親密だったアボット豪前首相は9月、経済不振などで退任した。同じ自由党のターンブル首相は、対中関係を重視しており、対日関係が後退することへの懸念が一部にあった。
安倍、ターンブル両氏は今月中旬、トルコで初めて会談した。今回の2プラス2開催で、両政権の関係は軌道に乗った、と評価できる。今後も、政治対話を重ね、信頼醸成を図ることが大切だ。
中谷防衛相は、9月に成立した安全保障関連法を説明した。ビショップ氏は「平和維持活動、人道支援、災害救援でより多くの貢献をしてもらえる」と歓迎した。
安保関連法は日米同盟と国際連携を強化し、日本と世界の安全を確保することが主眼である。
後方支援の対象を米軍以外にも拡大したのは、日本周辺での緊急事態に豪州軍が駆けつけるケースなどを想定している。
自衛隊と豪州軍、さらに米軍を交えた共同訓練などを通じ、重層的な協力関係を構築したい。
豪州は、次期潜水艦の共同開発の相手について、日仏独の3か国の中から選定する。
日本の潜水艦製造技術は世界最高水準とされる。政府は、第三国への技術流出防止について、豪州側と十分協議する必要がある。
共同声明は、中国の東・南シナ海での海洋進出や人工島造成を念頭に、「あらゆる威圧的、一方的な行動に強く反対する」と表明した。すべての国が、国際法に基づいて「航行と飛行の自由」を持つとも明記している。
人工島の12カイリ内での米軍の巡視活動は、国際法の原則を体現するものだ。日豪は、様々な手段で米国を後押しする必要がある。
日豪は、パプアニューギニアなど太平洋の島嶼国に対し、海上保安能力の向上や社会基盤整備などを支援する方針だ。
西太平洋の海上交通路(シーレーン)の安全確保は、各国共通の利益だ。積極的に寄与したい。
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