景気の先行きを過度に悲観せず、中長期的な経済の成長基盤を強固にしなければなるまい。
内閣府が発表した今年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は、前期より0・2%減少した。年率換算では0・8%減だ。2四半期連続のマイナス成長となった。
最大の要因は、企業の設備投資が前期比1・3%減と、予想以上に落ち込んだことである。
中国、新興国など海外経済の先行きへの懸念から、投資に二の足を踏む企業が多かったためだろう。膨らんだ在庫を減らすため、生産を抑制した影響もある。
一方で、個人消費は、0・5%増と、2四半期ぶりに伸びた。円安による食料品などの値上げが続いた反面、賃上げが広がり、実質賃金が上昇したためだ。
輸出も、円安の定着が追い風となって、前期のマイナスから2・6%増に改善した。住宅投資も3四半期連続で増えている。
景気回復の足踏みは否めないものの、甘利経済財政相は「雇用、所得環境の改善が続き、緩やかな回復基調にある」と説明する。
人口減に伴い、日本の潜在成長率は0%台に低下しているとされる。2四半期連続のマイナス成長は、少しの外的要因によって、デフレ脱却が遠のく日本経済の足腰の弱さを象徴している。
今、最も大切なのは、官民を挙げて、成長戦略を地道に充実・強化することである。
安倍首相は、名目GDPを600兆円に増やす目標を掲げる。子育て支援や介護施設の整備、環太平洋経済連携協定(TPP)参加に伴う農業強化策を柱とする緊急対策を今月中に策定し、15年度補正予算案に盛り込む方針だ。
対症療法的な公共事業の積み増しでなく、少子化に抗して成長力を底上げするような政策メニューを考えるべきである。
企業が過去最高水準の好業績を賃上げや配当増につなげることが重要だ。家計が潤うことで、個人消費を押し上げ、さらに企業収益も伸ばす「経済の好循環」を確実なものにしたい。
ここ数年、企業の設備投資計画自体は高い水準にある。経営者がデフレマインドを払拭し、計画を実行に移せるよう後押しすることこそが政府の役割だ。
経済団体の代表と意見交換する「官民対話」で要望のあった施策の検討はその一つだ。法人税実効税率の引き下げに加え、企業に新規事業の展開を促す医療、農業分野などの規制改革が急がれる。
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