MRJ初飛行 国産技術の未来切り開け

読売新聞 2015年11月13日

MRJ初飛行 航空機産業の裾野を広げたい

日本初となる「日の丸ジェット旅客機」が、初飛行に成功した。

三菱航空機が開発した三菱リージョナルジェット(MRJ)だ。プロペラ機のYS―11以来、半世紀ぶりとなる国産旅客機である。

国内の航空機産業を活性化させる契機としたい。

MRJは、都市間を結ぶ近距離路線用の小型機だ。燃料効率に優れた新型エンジンと軽量化した機体が売り物で、ライバル機より2割程度、燃費が良い。2017年に初号機の納入が予定される。

小型機の分野は、世界的に有望な市場だ。経済成長が著しい東南アジアなどの新興国を中心に、今後20年間で5000機を超える需要が見込まれる。MRJは、その半数の受注を目指している。

MRJの初飛行は、相次ぐ設計変更などで、当初の予定から4年も遅れた。その間にMRJの優位性が低下したことは否めない。

現在、カナダ・ボンバルディア、ブラジル・エンブラエル両社が高い占有率を保持している。これをどう切り崩すかがカギとなる。

MRJには既に、400機超の受注がある。上積みするには、政府による海外へのトップセールスが欠かせまい。

受注が増えれば、航空機が、日本の経済成長を牽引けんいんする基幹産業に育つことも期待できよう。

日本の航空機産業では、東レやIHIなども米ボーイング社の旅客機開発に参画し、主翼用の炭素繊維部品などを供給しながら技術を磨いてきた。大企業が培ったノウハウを中小企業に波及させていくことが重要である。

具体的には、現在は3割にとどまるMRJの国産部品の比率を、可能な限り引き上げることを目指したい。MRJの部品点数は、自動車の30倍の100万点に及ぶ。産業の裾野は広い。

高い技術を有する中小企業の参入を促し、日本のもの作りの力を結集させる必要がある。

長野県飯田地区に設立された「エアロスペース飯田」には、中小の精密機械加工業が集結し、コックピットや翼などの関連部品の生産に取り組んでいる。MRJに採用されている部品もある。

MRJの尾翼骨格を製造する愛知県内の企業は「低コストで品質の高い部品を供給できるかが勝負」と意気込んでいる。

自動車部品の製造などで実績のある中小企業に、航空機向けの技術指導をするなど、政府や元請けの大企業が連携して支援することが求められる。

産経新聞 2015年11月12日

MRJ初飛行 国産技術の未来切り開け

初の国産ジェット旅客機が大空に羽ばたいた。これを弾みに世界市場で受注拡大を図り、日本の工業技術の底上げにつなげてほしい。

三菱重工業の子会社、三菱航空機が開発した国産ジェット機「MRJ」は今後、海外を含めて飛行実験を繰り返し、機体の安全審査など、型式証明の取得手続きに入る。

開発計画はこれまで何度も延期され、納入時期は当初より4年も遅れている。

安全性の確保は何より重要だが、これ以上の遅延が出ないよう、万全の体制で審査に臨まなくてはならない。

「YS-11」以来、半世紀ぶりとなる国産旅客機の開発は、わが国航空機産業の悲願だ。日本が誇る「ものづくり」の底力を示し、成長が続く海外市場で確固たる地位を築き上げてほしい。

70~90席の双発小型ジェットであるMRJは、国内の地方都市や日本と東南アジア諸国を結ぶ短中距離路線での利用を想定している。燃費性能が従来型に比べて2割ほど向上し、温室効果ガスの排出も大きく低減させたという。

こうした燃費性能の高い小型旅客機は、今後20年で5千機以上の新規需要が見込まれている。すでにMRJには内外で400機超の注文が寄せられており、三菱航空機ではこの市場で世界の首位に立ちたいと意欲的だ。

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