長崎ショック まず「政治とカネ」決着を

朝日新聞 2010年02月23日

民主敗北 民心の離反を見据えよ

このままでは反転攻勢はおぼつかない。鳩山由紀夫首相と民主党は、この事態を深刻に受け止める必要がある。

夏の参院選の前哨戦とされた長崎県知事選で、民主など与党3党が推薦した元農水官僚が、自民、公明両党が支援した前副知事に大差で敗れた。

昨年の総選挙では、長崎県内の4小選挙区すべてで、民主党候補が勝った。長崎は選挙区選出の参院議員2人も民主党が占める民主独占県だ。

国政と地方選挙の違い、候補者の力量や知名度の違いはもちろんあろう。それでも、民主党の失速ぶりをはっきり見せつける結果である。

首相や小沢一郎幹事長の政治資金問題が影響したことは間違いない。首相も記者団に「政治とカネの問題の影響を受けた」と認めた。

同じ日曜日の東京都町田市長選でも、民主党など与党推薦候補が、自公が支援した現職に敗れた。昨年の都議選、総選挙で民主党候補が躍進した地域。ここでも民主退潮を印象づけた。

内閣支持率の低下にも歯止めがかからない。朝日新聞の週末の世論調査では、政権発足後初めて4割を下回った。鳩山政権は民心が離れつつある現実を見据え、本気で政権立て直しに取り組まなければいけない。

まずは政治とカネの問題である。小沢氏はいまだ、国会の場での説明に応じていない。石川知裕衆院議員の辞職勧告決議案もたなざらしのままだ。

小沢氏は国会の参考人招致などに応じる。決議案は粛々と採決する。それが最低限のけじめであろう。

政治家本人の監督責任の強化や企業・団体献金の禁止など、政治資金規正法の抜本改正の議論も、予算審議と並行して進めてほしい。

もうひとつは、いま地方が何を求めているのか、その切実な声に真摯(しんし)に耳を傾けることだ。

長崎で示された民意は、なにも民主党の政治とカネの問題に対する批判ばかりではない。むしろ、最大の争点は、人口流出が続き、疲弊する地域社会をどう立て直すかだった。

政権交代から5カ月。県民に生活向上の実感があれば、選挙結果はまた違ったものになっていたかもしれない。

ところが、民主党が見せたのは、政権党の強みをちらつかせて、自民党を支援してきた業界団体を引きはがそうという利益誘導まがいの姿だった。これで、地域に生きる人たちの共感が得られるとは思えない。

一方の自民党は勝利に力を得て、与党への対決姿勢を強め、予算委員会の審議を拒否した。これもまた、民意をはき違えていると言わざるをえない。

有権者が求めているのは、国民生活のための徹底した政策論議だ。それがわからないようでは、参院選に向けた党勢回復にはつながるまい。

毎日新聞 2010年02月23日

長崎ショック まず「政治とカネ」決着を

与野党対決の構図となった長崎県知事選は自民、公明両党が支援した前副知事が当選し、民主など与党3党の推薦候補は大敗を喫した。同様に東京都町田市長選でも民主党などの推薦候補が敗北し、鳩山政権には大きな打撃となった。

地方選とはいえ、鳩山由紀夫首相が22日認めた通り、首相と小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」の問題が敗因の一つになったのは間違いなかろう。鳩山政権が昨秋の事業仕分け以外に国民の目に見える形で政権交代の成果を出していないという現実もある。発足後5カ月余りとなる鳩山政権そのものに厳しい評価が下されたといっていい。

長崎県は地元選出の衆参両院議員すべてを民主党が占める「独占県」で、今回の知事選も当初は楽勝ムードが漂っていたほどだ。状況を一変させたのは一連の政治資金問題であり、しかも、小沢氏は「不起訴により、不正なお金をもらっていないことが明らかになった」と、これ以上説明する必要はないとの姿勢を続けている。各種の世論調査を見れば、事件後の対応にも多くの国民が不満を募らせているのは明らかだ。

米軍普天間飛行場の移設問題など鳩山政権は内政、外交ともに迷走が目立ち、昨夏、政権交代を実現させた、うねりのような有権者の期待感はうせつつある。小沢氏は22日の会見で「どのような状況になっても勝つようにするには足腰を強くしなくてはならない」と組織力や選挙区での議員の日常活動が重要だと重ねて強調したが、今回の結果はそれだけでは勝てないことを示したのではないだろうか。政治とカネの問題に対する厳しい世論に、もう少し謙虚に耳を傾けたらどうか。

国会は今後、ますます参院選をにらんだ攻防となるだろう。民主党内には「参院選前に小沢氏が幹事長を辞任するのでは」と期待交じりの声もある。しかし、世論任せの対応で乗り切れるとは思えない。

野党側は22日、小沢氏らの証人喚問などを申し入れる一方、自民党は与党が要求に応じない限り、衆院予算委など国会審議を拒否する方針も決めた。審議拒否は決してほめられた手法ではない。だが、事態を打開するためには、やはり小沢氏が国会で説明するのが先である。

小沢氏は国会での説明に依然消極的のようだが、会見では「与野党の話し合いに任せていきたい」とも語った。鳩山首相が選挙結果を「真摯(しんし)に受け止める」というのなら、首相自らが小沢氏に国会で説明するようもっと強く求めるべきである。そして原点に立ち返り、政権交代して政治はどれだけ変わったのか、具体的に示していくしかない。

読売新聞 2010年02月22日

長崎知事選敗北 景気と「カネ」が民主の逆風に

夏の参院選の行方を占う長崎県知事選は、自民、公明両党が支援した前副知事の中村法道(ほうどう)氏が、民主党など与党3党推薦の元官僚・橋本剛氏らを破って当選した。

鳩山首相や小沢民主党幹事長の元秘書らが起訴された後、初の与野党対決型の選挙だ。地元には特段の争点が見あたらず、「政治とカネ」の問題が選挙にどう影響するかが注目された。

投票を終えた有権者を対象に読売新聞が実施した出口調査では、政策課題について、景気・雇用対策を重視したと回答した人が圧倒的に多かった。

橋本氏の敗北は、鳩山内閣の経済政策への不満が地方に根強いことを示したと言えよう。

一方、政策以外の問題については、「政治とカネ」を投票の判断材料にしたと答えた人は4割強だった。そのうち約6割の人が中村氏に投票している。

選挙の結果は、トップ2人の問題に対する民主党の対応にも、県民が納得していないことをうかがわせる。

鳩山首相と小沢幹事長は、この結果を厳しく受け止めなければならない。他の民主党幹部や閣僚も、一連の問題にだんまりを決め込んでいることに対する有権者からの警鐘と受け止めるべきだ。

民主党にとって、長崎県知事選は負けるはずがない選挙だった。昨年夏の総選挙は県内4小選挙区すべてで勝利し、4選に意欲を示していた元自民党衆院議員の金子原二郎知事は戦意を失い、昨年11月、不出馬を表明した。

慌てた自民党県議団は、民主党に候補者一本化を打診したが、その相乗り要請を()って、あえて対決を望んだのは民主党だ。「県政にも政権交代を」とアピールすれば、絶対に勝てると踏んでいたのは間違いないだろう。

そんな楽勝ムードが一変したのは、先月中旬、小沢氏の秘書だった石川知裕衆院議員ら3人が逮捕されてからだ。

民主党は現職閣僚を相次いで現地入りさせ、与党とのパイプを持つ橋本氏の支持を呼びかけた。それでも、小沢氏の問題を前面に掲げて批判を展開する野党の攻勢に終始、守勢に立たされた。

民主党は関係者の国会招致に応じ、事実関係の説明を尽くす必要がある。それなしでは、参院選まで逆風が吹きやまないことを覚悟しなければなるまい。

いつまでも、「政治とカネ」の問題に背を向けていることは許されない。

産経新聞 2010年02月23日

民主系敗北 喚問拒否は民意に反する

「政治とカネ」の問題をめぐり、民主党は今こそ自浄能力を発揮すべきである。

鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の元秘書らが政治資金規正法違反事件で起訴された後、初めての与野党対決型の地方選挙となった長崎県知事選で、与党3党推薦候補が自民・公明両党支援候補に大差で敗れた。

同じ与野党対決となった東京都町田市長選でも、現職に挑んだ民主系候補が惨敗し、政権与党への逆風の強さがはっきり示された。疑惑解明を求める民意は、広がりをみせている。

首相は知事選を受けて「政治とカネの問題の影響を受けたと言うべきだ」と敗因を語った。小沢氏も「プラスの要因に働いたはずはない」と述べた。

そう語る以上、国政調査権に基づく証人喚問に応じるなどして自浄努力を示す必要がある。

民主党の閣僚や議員は小沢氏に対し、証人喚問などに応じることを促すとともに、改めて進退の判断を求めるときである。

昨年の衆院選で、長崎県では民主党の女性の新人候補が自民党のベテラン議員を破るなど4選挙区すべてで勝利し、知事選も優位とみられていた。だが、首相の偽装献金事件や小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、情勢は一変した。

首相は母親からの巨額の資金提供に関する疑問に十分答えておらず、「検察捜査で全容が解明された」と疑惑終結を強調する。

小沢氏は国民に心配をかけたと反省を口にするが「不正な金は一切もらっていない」と繰り返すばかりで、疑惑解明に何ら誠実な姿勢を示さない。首相から国民への説明を促され、全国行脚で答えるとしているが、自分は潔白だとの主張を各地で繰り返すだけにならないか。こうした開き直りともいえる小沢氏の対応が問題だ。

最近は北海道教職員組合の違法献金事件も加わり、政権政党が疑惑にまみれた印象を与えている。国民の信を失うのは当然だ。

小沢氏の証人喚問を民主党が拒否していることから、自民党は衆院予算委員会での審議拒否を決めた。だが、公明党など他の野党は審議に参加しており、民主党は証人喚問や参考人招致を拒む態度を変えていない。野党間の連携を図り、与党にも自浄作用を働きかけるなど、疑惑にメスを入れる実効性ある方法を主導すべきだ。

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