露ドーピング 不正排除やり抜く覚悟を

読売新聞 2015年11月13日

露ドーピング 大がかりな不正に驚かされる

ロシアにはびこるドーピングの驚くべき実態が暴かれつつある。

世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会が、ロシア陸上界に関する報告書を公表した。禁止薬物を恒常的、組織的に使用していたとする内容である。

コーチらが選手にドーピングを指南していた。違反行為を摘発すべき公認検査機関のトップが、陽性反応を隠蔽する見返りに、賄賂を要求した。検体のすり替えも横行していたという。

WADAは、ドーピング撲滅を掲げる国際オリンピック委員会(IOC)が1999年に設立した独立機関だ。その権威ある組織から委託された専門家が、関連書類や証言を分析した結果であり、信ぴょう性は高いだろう。

「これほどの規模の違反が、政府が関わることなく起きたと結論づけるのは単純過ぎる」との報告書の指摘は、うなずける。

独立委は、国際陸上競技連盟がロシア陸連を資格停止処分とするよう勧告した。ロンドン五輪金メダリストの女子選手らを永久資格停止とすることも求めた。国際陸連は近く対応を協議する。

こうした動きに対し、プーチン露大統領は、ドーピング対策の強化を指示しつつ、「責任は個人が取るべきだ」と反発している。来年のリオデジャネイロ五輪に、ロシアの陸上選手全員が出場できなくなることにも反対した。

プーチン氏は、報告書の指摘をきちんと受け止めていないのではないか。ロシア政府は、スポーツ省の関与は否定しながら、検査機関のトップを解任した。

ドーピング検査をWADAが監視するという独立委の提案を受け入れ、改革を進めるべきだ。

薬物の力を借りて記録を伸ばすことは、フェアプレー精神に反する。競技への冒涜ぼうとくでもある。ドーピングは選手の肉体をむしばむ。世界のスポーツ界はドーピングの追放に注力している。ロシアの不正はその取り組みに逆らうものだ。

ソ連や東ドイツなど旧共産圏は五輪を国威発揚の場と位置づけ、国ぐるみで選手を強化した。

勝利のためにはドーピングをいとわない土壌が、ロシアには今なお残っているのだろう。今回の報告書も、選手がドーピングを拒否すれば、代表チームに入れないことを問題視している。

この問題では、国際陸連幹部の収賄疑惑も浮上している。独立委は、国際刑事警察機構(ICPO)に証拠の一部を提供した。全容解明を求めたい。

産経新聞 2015年11月11日

露ドーピング 不正排除やり抜く覚悟を

ロシア陸上界のドーピングを調査していた世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会は、国際陸上競技連盟(IAAF)に対し、同国陸連の資格停止処分を勧告した。

本来なら違反摘発に協力すべきモスクワの検査機関が1400を超える血液検体を意図的に破棄するなど、国ぐるみの隠蔽(いんぺい)工作が行われたとも指摘した。

国際スポーツ界にとって、衝撃的な事態である。

ロシアのルール順守が確認できるまで来年のリオデジャネイロ五輪参加を認めないよう求め、12年ロンドン五輪の金メダリストを含む5選手については永久追放が適当だとした。

ロシアのムトコ・スポーツ相は「証拠に乏しい」と反論しているが、事態の深刻さを考慮すれば妥当な勧告だろう。

ロシアは勧告を真剣に受け止めて積極的に調査に協力し、自浄能力を世界のスポーツ界に示さなくてはならない。

プーチン大統領はスポーツ強国復活を掲げているが、競技での不正を徹底的に排し、健全な選手育成を図る姿勢を示してこそ、国の「威信」が保たれることを肝に銘じるべきだ。

国際陸連のディアク前会長がロシア陸連から賄賂を受け取り、疑惑選手の隠蔽に手を貸したとされる疑惑も持たれている。

現会長のセバスチャン・コー氏は「信頼を取り戻すために、あらゆる手を尽くす」と述べたが、国際陸連にとっても組織の立て直しは喫緊の課題である。

国際オリンピック委員会(IOC)は中長期指針『アジェンダ2020』で、「クリーンアスリートを守る」ための資金投入を明言している。

WADAはスポーツ界、薬品業界への意識啓発とともに、国際刑事警察機構などとも情報を交換し、不正を摘発するための機能強化を図っている。

ドーピング追放の流れが強まる中で、2020年東京五輪開催を控える日本も、開催国の責任を全うしなければならない。

遠藤利明五輪相は「東京五輪を含めクリーンな大会にしてゆくよう取り組む」と述べた。

選手やコーチの意識啓発、検査機関の充実、警察との協力など、早急に国と関係機関をあげて着手すべき課題は多い。

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