巨人野球賭博 ファンを裏切った罪は重い

読売新聞 2015年10月22日

巨人野球賭博 ファンを裏切った罪は重い

ファンあってのプロ野球である。浅はかな行為で期待を裏切った罪は、あまりに重い。

読売巨人軍の福田聡志投手が野球賭博に関与していた問題で、日本プロフェッショナル野球組織(NPB)の調査委員会は、笠原将生、松本竜也両投手も賭博に関わっていたとする中間報告をまとめた。

伝統ある球団で、あってはならない不祥事が起きたことは、極めて残念である。巨人の久保博社長は「プロ野球ファンの皆様に深くおわびします」と謝罪した。

福田選手は、今年8月から9月にかけて、税理士法人勤務という男性に持ちかけられ、プロ野球の試合で賭けをした。賭けの対象には、巨人戦も含まれていた。八百長はなかったにせよ、不信を招く言語道断の行為である。

男性を福田選手に紹介した笠原選手は、プロ野球を対象にした賭博のほか、バカラ賭博などにも手を出していた。松本選手は、笠原選手を介して、プロ野球を対象に賭けをしていた。

野球協約は、プロ選手が野球賭博に関わることを禁じている。3選手の行為が協約に違反するのは明らかだ。コミッショナーによる処分に従うしかない。球団としても、厳正な処分が必要だ。

プロ野球界には、消しがたい過去がある。1969年の「黒い霧事件」だ。暴力団の絡んだ野球賭博に関連し、八百長を行ったとして、当時の西鉄などの選手が永久失格処分を受けた。

これを機にプロ野球界は、選手が賭博に関わらないよう厳しく指導してきた。暴力団排除の取り組みも強化した。3選手の愚行は、球界の努力を無にしかねない。

ファンの信頼を回復するため、再発防止の徹底が何より重要である。所属選手の管理が不十分だった巨人が、選手教育を根本から見直さねばならないのは、言うまでもない。球界全体でも研修などを充実させてもらいたい。

NPBや日本プロ野球選手会などで構成する「プロ野球暴力団等排除対策協議会」は19日、若手選手らを対象に講習会を開いた。講師からは「プロ野球選手は反社会的勢力から狙われる存在だ」といった注意喚起があった。

野球賭博に関われば、選手生命が絶たれかねないことを選手一人一人が肝に銘じねばならない。

プロ野球選手は、子供たちにとって、あこがれの的だ。発言や行動は常に注目される。ユニホームを着ていない時も、身を律することが求められる。

産経新聞 2015年10月23日

野球賭博 巨人全選手の携帯調査を

危機意識が足りないのではないか。

プロ野球巨人の3選手が野球賭博に関与していたと日本野球機構(NPB)が発表した。

巨人の久保博球団社長は「野球史を汚すような選手を出したことを深くおわびしたい」と陳謝したが、発表翌日の新人選手選択(ドラフト)会議には「有望な新人を獲得する唯一の手段」として参加した。

3選手の中には4年前のドラフト1位投手もいる。どうして球団の膿(うみ)を出し切ったと言い切れない中で、新たな有望選手を胸張って迎えることができるのだろう。

福田聡志投手の関与発覚後もクライマックスシリーズを戦い、勝てば日本シリーズに出場する可能性もあった。球団は何も失わない。選手らがそう誤解し、事態の重大性を見失う恐れはないか。

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