マイナンバー 自治体も周知に汗を流せ

読売新聞 2015年10月12日

マイナンバー 国民の理解と信頼が不可欠だ

全国民に12桁の番号を割り当てる共通番号(マイナンバー)制度が始まった。来月にかけて番号が通知され、来年1月以降、行政手続きなどで番号が利用される。

公正で効率的な税や社会保障の実現に向けた重要な基盤だ。生活に密接に関わるだけに、定着させるには国民の理解と信頼が欠かせない。政府には丁寧な説明と十分な体制整備が求められる。

マイナンバーは、所得や納税、年金など、別々に管理されてきた個人情報を一つの番号で結びつける仕組みだ。希望者には身分証になる番号カードが交付される。

行政機関は、これらの情報を照らし合わせて、適正な課税や社会保障給付に役立てる。大幅な事務の効率化も期待できる。国民は児童手当の申請時などに番号を提示すれば、手続きが簡単になる。

マイナンバーの利用範囲は、当面、税と社会保障、災害時の支援の分野に限定される。個人情報の保護を重視し、慎重に運用を始めるのは妥当だろう。

ただし、制度を有効に機能させるには、段階的に利用範囲を広げていく必要がある。

2018年以降は、本人の同意を条件に預貯金口座にマイナンバーを連結できるようになる。個人資産を正確に把握し、脱税や生活保護の不正受給などを防ぐ狙いだ。政府は21年を目途めどに義務化することも検討している。

社会保障費が膨張する中、高齢者にも経済力に応じた負担を求め、本当に援助すべき人に絞って給付する方式への転換が必要だ。そのために、収入や資産の正確な把握が重要なのは確かだろう。

医療分野での活用も課題だ。診療や検診の情報が連結されれば、検査や投薬の重複防止など医療の効率化と費用の抑制に役立つ。

日本年金機構の個人情報流出問題を受け、国民には情報漏洩ろうえいや悪用への不安が強い。政府は、番号を扱う自治体や企業も含め、情報管理体制の強化を急ぐべきだ。

制度導入に便乗した詐欺などの犯罪も警戒せねばならない。

疑問なのは、消費税率10%時の負担緩和策として、財務省が唐突に番号カードを利用する案を示したことだ。カードを店頭の情報端末にかざすと飲食料品の購入額データが蓄積され、申請すれば2%分が給付されるという。

消費者に煩雑な手続きを強いる上、カードの紛失や盗難の危険も増す。マイナンバー制度導入への国民の不安感を高めかねない。即刻撤回されるべきである。

産経新聞 2015年10月15日

マイナンバー 不安解消へ行政は襟正せ

本当に大丈夫か。これで不安になるな、という方が無理ではないか。

すべての国民に固有の番号を割り当てる「税と社会保障の共通番号」制度をめぐり、信頼性を揺るがす不祥事が連発している。

厚生労働省では制度導入に向けたシステム整備事業の契約に絡み、担当職員が収賄容疑で逮捕された。

茨城県取手市では、住民票の自動交付機の設定ミスで、住民の同意なく共通番号を記載した住民票が誤って発行された。

ただでさえ、新たな制度に国民は不安を覚えている。導入時の混乱を所管省庁や自治体が自ら招いてどうする。改めて襟を正し、制度の必要性の周知と安全性の確保に総力を挙げてほしい。

マイナンバー法は今月5日に施行されたばかりで、国民の理解が深まっているとは言い難い。この制度は納税や年金など、省庁や自治体ごとに管理していた個人情報を番号で結びつける仕組みで、税や社会保障の公正化や効率化を図る重要な基盤となる。

菅義偉官房長官は収賄事件を受けて「着実に取り組みを進めたい」と強調した。日常の生活と密接にかかわる制度だけに、国民の理解を得られなければ定着はおぼつかない。情報管理や不正防止の具体策を明示する必要がある。

日本年金機構による情報流出事件もあり、国民は国の情報管理に不信感を持っている。消費税増税の負担緩和策として財務省が示した還付案には唐突にマイナンバーの利用が盛り込まれた。こうした場当たり的な利用範囲の拡大案も不信感を増幅させたはずだ。

マイナンバーは、本人の同意を条件に、預貯金口座にも連結できるようにもなる。

制度を有効活用するために必要な仕組みといえるが、いたずらに利用範囲を拡大させることを急ぐべきではない。まず、税と社会保障の分野に範囲を絞り、制度開始時点の活用分野で国民の信頼を得るべきだろう。

各家庭には11月下旬にかけて12桁の番号を記載した通知カードが簡易書留で送られ、来年1月以降は実際に活用される。制度導入にかかわる大小の混乱は今後も予想される。政府はその都度、制度の必要性について、丁寧な説明を尽くしてほしい。

制度を定着させるには、何より最初が肝心である。

産経新聞 2015年10月10日

マイナンバー 自治体も周知に汗を流せ

すべての国民に固有の番号を割り当てる「税と社会保障の共通番号(マイナンバー)」制度が始まった。11月下旬にかけて、12桁の番号を記載した通知カードが市町村から各家庭に簡易書留で送られてくる。

省庁や自治体ごとに管理している個人情報を共通番号で結びつけ、公平な徴税や社会保障給付を図る重要な仕組みだ。納税などの行政手続きも簡素化される。

通知カードは、住民票の住所に郵送される。住民票を移さず、別の場所に住む人に届かないなどの混乱も予想される。政府はカードが着実に行き渡るよう、自治体を支援する必要がある。

マイナンバーを先進国にふさわしいインフラとして普及させるには、情報の漏洩(ろうえい)などに対する国民の不安を払拭することが不可欠だ。政府は不正防止などで徹底した対策を講じてほしい。

これから届く通知カードには、個人番号だけでなく、ICチップが埋め込まれたプラスチック製の個人番号カードの申請書類も同封されている。申請すれば来年1月以降、自治体の窓口などで番号カードが交付される。

企業が税務署に提出する源泉徴収票には、社員やその扶養家族の個人番号を記載することが義務づけられる。

このため社員は、自分と家族の番号を職場に伝えなくてはならない。企業も個人情報を厳重に管理するとともに、その使途を説明して理解を得ることが肝要だ。

複数から収入を得ている人の所得が把握しやすくなり、実際の収入に応じて適正に課税できる。所得が透明化されれば、限られた財源を本当に必要な人に重点配分することも可能になろう。

だが、制度に対する国民の理解が深まっているとはいえない。内閣府の世論調査では「内容まで知っている」と答えた人は半数に満たない。中小・零細企業で準備不足が目立つのは、政府による広報の遅れも一因だろう。

導入時の混乱や不安などにつけ込んだ詐欺にも注意しなければならない。消費者庁には早くも「マイナンバーがらみで不審な電話がかかってきた」などの報告が多数寄せられている。

詐欺の被害を防ぎ、マイナンバーの定着を図るため、自治体も率先して意義の周知と注意喚起に汗を流すべきだ。

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