プロ野球界にまた、深刻な疑惑が浮かんでいる。
巨人の福田聡志投手(32)が野球賭博行為に関わっていたと球団が告発した。賭けに誘い込む人物と知り合ったのは、同じチームの笠原将生選手(24)を通じてだったという。
報告を受けた日本野球機構(NPB)は、ただちに調査に乗り出した。巨人は所属全選手と職員から聞き取りを始め、各球団も調査や注意喚起をするなど、波紋が広がっている。
10日からのクライマックスシリーズ、さらに日本シリーズを控えた時期でもある。ファンの失望は深く、信頼を失う事態となったことは実に残念だ。
賭博は野球協約に反するのみならず、違法行為である。とりわけ高校球児や多くの地域の人びとが夢を抱き、応援するプロ球界の関係者に、高いモラルが求められるのは当然だ。
疑惑をめぐり、まず求められるのは、徹底した事実解明である。ほかの選手は関わっていなかったか。さらに、八百長行為や、反社会的勢力とのつながりがなかったか、という点には特に厳しい調査が必要だろう。
巨人によると、福田投手はこの8月から9月上旬の間、全国高校野球選手権、プロ野球、米大リーグの試合を対象に賭けをしたとされる。
対象には巨人戦も3~4試合含まれていたという。当時、福田投手は1軍に登録されていなかったが、1軍の選手と接触したり、連絡をとったりすることはできたはずだ。巨人は調査に全面協力するのはもちろん、積極的に情報を開示すべきだ。
再発防止のためには、選手や職員の教育の見直しも考える必要があるだろう。
プロ野球入りが決まった選手は、12球団合同の新人研修が義務づけられる。しかし、その後は各球団に任され、教育対応に濃淡がある。年齢やキャリアの長さに関係なく、また球団職員らにも広げて、継続的に取り組むことを考えるべきだ。
1960年代末には、多くのプロ野球選手が暴力団と関わった野球賭博の「黒い霧事件」がおきた。その反省もあって、賭博や反社会的勢力とは一切関係を持たない自己管理が求められていたはずだが、それが緩んでいるならば重大な問題だ。
3年前、巨人の原辰徳監督が元暴力団関係者らにゆすられて1億円を支払ったと週刊誌が報じた際、当時の加藤コミッショナーは調査もしなかった。
今回こそは自浄能力を示せるのか。熊崎コミッショナーとNPBの姿勢も問われている。
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