防衛装備品の調達を効率化し、友好国との技術協力を拡大する体制が整った。装備政策を戦略的に展開すべきだ。
装備品の研究開発から調達、輸出までを所管する防衛装備庁が、防衛省の外局として1800人体制で発足した。年間2兆円近い予算を扱う。
従来、研究開発は技術研究本部、調達は内部部局や陸海空3自衛隊が別々に行っていた。縦割りを廃し、装備行政を一元的に担う組織が誕生した意義は大きい。
中谷防衛相は訓示で「一歩先んじた技術力の保持を重視する」と述べ、研究開発や他国との技術協力を拡充する考えを示した。
昨年4月に閣議決定された「防衛装備移転3原則」で輸出制限が大幅に緩和され、他国との装備協力を拡大する環境が整った。
英国とはミサイル技術の共同研究に着手した。豪州との潜水艦の共同開発や、インドへの救難飛行艇輸出も検討している。
他国との安全保障分野での協力は、「積極的平和主義」の一環であり、日本の抑止力の向上につながる。防衛技術・生産基盤の維持や育成にも役立とう。
安全保障関連法の成立で、自衛隊の国際活動が拡充される。防衛政策に合致した装備調達が大切である。陸海空3自衛隊の予算配分の見直しにも取り組みたい。
防衛装備庁は、武器調達の合理化でも重要な役割を担う。
3自衛隊が従来、独自に装備品を調達していたことは統合運用の障害になっていた。弾薬などを融通し合うこともできなかった。
今後は、海自ヘリしか搭載できなかった海自輸送艦に、陸自が導入する輸送機オスプレイなどを搭載できるよう、輸送艦の設計を変更する。ミサイル、地対空誘導弾なども3自衛隊で共通化する。
厳しい財政状況の中、2014~18年度の中期防衛力整備計画では、調達効率化で7000億円の財源を確保する目標を定めた。
今年4月には、装備品の一括購入の長期契約で調達費を節約する特別措置法が成立した。16年度以降はオスプレイ購入などで1530億円の縮減を図る。防衛産業とも連携し、今後の大型装備導入でもこの手法を活用すべきだ。
戦闘機などのハイテク装備は高額化の傾向にある。徹底的なコスト節減が欠かせない。
装備調達を巡っては長年、汚職や談合が繰り返された。防衛産業との癒着や不正行為を許さないように、様々な角度から厳しいチェックを怠ってはならない。
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