南北高官協議 衝突の回避へ冷静に歩み寄れ

読売新聞 2015年08月25日

南北高官協議 衝突の回避へ冷静に歩み寄れ

軍事的挑発で緊張を高めつつ、対話で譲歩を引き出すことを狙う――。北朝鮮は、危険な瀬戸際戦術を自制すべきだ。

韓国と北朝鮮の軍事的緊張の高まりを受けて、南北高官協議が板門店で開催された。

韓国は金寛鎮大統領府国家安保室長らが、北朝鮮は金正恩第1書記の側近の黄炳瑞・朝鮮人民軍総政治局長らが出席した。異例の高いレベルの対話は3日連続で行われたが、難航している。

軍事衝突という最悪の事態を避けるため、双方は、積極的に歩み寄り、緊張緩和の具体的な措置を探ることが求められる。

緊張の発端は、4日に軍事境界線付近で、北朝鮮が設置したとみられる地雷が爆発し、韓国軍兵士2人が重傷を負ったことだ。

韓国側は、休戦協定違反だと北朝鮮を非難した。対抗措置として、北朝鮮体制を批判する拡声機の宣伝放送を11年ぶりに再開した。

北朝鮮は、放送中止を要求し、韓国内に砲撃した。さらなる軍事行動を予告したうえ、韓国側に協議を申し入れた。北朝鮮に応戦した韓国の朴槿恵政権に対する硬軟両様の揺さぶりである。

この背景には、北朝鮮の国際的な孤立が指摘される。核実験の強行などにより、最大の友好国、中国との関係が冷え込み、首脳級交流は途絶えている。

中国の抗日戦勝記念行事への朴大統領出席が発表された直後に北朝鮮が砲撃したのは、中韓接近を牽制けんせいする狙いだろうか。

前線部隊に「準戦時状態」を発令したのは、金正恩第1書記だ。国内体制が不安定な中、指導者の経験に乏しい金第1書記が、一触即発の状況に適切な対処ができるのか。不安は拭えない。

一方、朴氏は「挑発には断固として対応する」と公言する。政権支持率は低迷し、韓国メディアは北朝鮮に対する強硬な姿勢を主張している。朴氏も、容易に妥協できない国内事情を抱える。

だが、南北双方は、軍事衝突のリスクを直視し、冷静に対応することが肝要である。

北朝鮮指導部は、韓国の“脅威”を強調することで、軍や朝鮮労働党など国内の引き締めを図っているとされる。10月10日の党創建70周年に合わせて、国威発揚の目的で、中長距離弾道ミサイルを発射するとの観測もある。

日米韓3か国は、緊密に連携し、北朝鮮情勢の情報共有を強化する必要がある。新たな軍事的挑発を封じ込めるため、抑止に万全を期すことも大切だ。

産経新聞 2015年08月26日

南北緊張緩和 「瀬戸際」繰り返させるな

砲撃の応酬など軍事的緊張が高まっていた韓国と北朝鮮が、計40時間を超す高官協議の末、衝突回避で合意した。

韓国側での地雷爆発に北朝鮮が「遺憾」の意を表明し、韓国は拡声器で北朝鮮指導部を非難する宣伝放送を中断した。

合意内容には、北朝鮮が前線地帯に宣言した「準戦時状態」の解除が含まれる。一触即発の危機がひとまず回避されたのはよかった。

だが、重要なのは、北朝鮮による日本を含む周辺国への恫喝(どうかつ)や挑発をやめさせることだ。

北朝鮮は今回も一方的に緊張を高め、相手を交渉の場に引き出す「瀬戸際外交」を展開した。同様のことが繰り返されないよう、韓国はもちろん、日米両国も警戒を緩めてはなるまい。

軍事的緊張の発端は、地雷によって韓国軍兵士2人が重傷を負ったことだった。

韓国側は、北朝鮮の遺憾表明について地雷の設置を認めて謝罪したと解釈しているが、発表された共同報道文には、北朝鮮の明確な謝罪や責任者の処罰は盛り込まれていない。言い逃れの余地を残したのは残念だ。

南北は、関係改善のための当局者会談の早期開催や離散家族再会事業推進に向けた南北赤十字の協議実施でも合意した。

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