日朝外相会談 政府の「本気」が問われる

読売新聞 2015年08月08日

日朝外相会談 拉致問題解決を粘り強く迫れ

高いレベルでの北朝鮮との会談の実現をテコにして、日本人拉致問題の前進を図りたい。

マレーシアで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の関連会議に合わせ、岸田外相が北朝鮮の李洙●外相と会談した。(●は土へんに庸)

北朝鮮の拉致被害者再調査が1年以上行われているのに、報告が一切ないことについて、岸田氏は「遺憾だ」と抗議した。全被害者の早期帰国も改めて求めた。

李氏は、「(日朝両政府の)合意に基づき、調査を誠実に履行している」と弁明した。

拉致という国家犯罪の全容を明らかにし、被害者を速やかに日本へ帰国させる。その政治決断は、金正恩第1書記しか下せない。

金第1書記と近い実力者とされる李氏に拉致問題解決の重要性を直接伝えた意義は小さくない。

重要なのは、日朝外相会談を1回限りのものにせず、再調査の進展に結びつけることだ。

李氏は今回、短時間の接触でなく、約30分間の会談に応じた。

北朝鮮には、再調査の見返りに、日本から制裁緩和や食糧支援などを引き出す思惑がある。国際的な孤立を回避するため、日本との交渉自体は継続したいのだろう。

政府に求められるのは、北朝鮮にこれ以上の時間稼ぎや駆け引きを許さない戦略的取り組みだ。

北朝鮮は、日本人遺骨問題を含めた包括的な再調査を行っていると主張する。だが、最優先すべきは未帰国の拉致被害者である。

安否情報の通報さえない状況が続くなら、昨年解除した制裁の復活や、送金の原則禁止などの新たな措置を取らざるを得まい。

再調査の進捗しんちょく状況の報告を強く促すべきだ。再調査に改めて期限を設けるのも選択肢となろう。

マレーシアで岸田氏は、会議に出席した中国の王毅、韓国の尹炳世両外相とも個別に会談した。

王氏は安倍首相の戦後70年談話に関し、「歴史に責任ある態度で向き合ってほしい」と語った。尹氏は「歴代内閣の歴史認識の再確認を期待する」と述べた。岸田氏は「歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」と説明した。

談話内容を検討した有識者懇談会は、日本が満州事変以後、「侵略」を拡大し、戦後は先の大戦への「痛切な反省」に基づき、全く異なる国に生まれ変わったとする報告書を安倍首相に提出した。

首相は談話で、報告書の歴史認識を踏まえて過去を総括し、中韓両国と未来志向の関係を構築する意思を明確に打ち出すべきだ。

産経新聞 2015年08月08日

日朝外相会談 政府の「本気」が問われる

岸田文雄外相は、クアラルンプールで北朝鮮の李洙●(リ・スヨン)外相と会談し、拉致被害者らの再調査の早期報告を求めるとともに「一日も早い全ての被害者の帰国」を要請した。李氏は、再調査を誠実に履行していると反論し、明確な回答はなかったとされる。

北朝鮮が要請だけで動く国でないことは、過去の交渉からも明らかだ。政府は「行動対行動」の原則にのっとり、解除した独自制裁の復活や、新たな制裁を突きつけるべきだ。拉致被害者、横田めぐみさんの母、早紀江さんはかねて「日本の本気度が試されている」と述べてきた。政府の「本気」をみせてほしい。

北朝鮮は昨年7月4日、拉致被害者らを再調査する特別調査委員会を設置し1年をめどに結果を報告すると約束した。これを受けて政府は、独自制裁の一部を解除した。だが先月になって北朝鮮は、「今しばらく時間がかかる」と報告の延期を連絡してきた。

報告を心待ちにしてきた被害者家族にとって、これほど残酷な仕打ちはない。李氏の「再調査を誠実に履行している」という反論は、あまりに空々しい。

なぜいつまでも、国家ぐるみの誘拐犯に振り回され続けなくてはならないのか。被害者家族の怒りは沸点に近く、その矛先は日本政府にも向くことになる。

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