GDP連続改善 まだ「二番底」の懸念は残る

朝日新聞 2010年02月16日

プラス成長 自律回復へ政権は戦略を

回復しつつある世界経済に、日本もしっかりと支えられている。2009年10~12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で4.6%増となり、不況下でも景気が徐々に上向いている様子を確認できた。

デフレで名目GDPの伸びは年率0.9%にとどまり、回復を実感するにはほど遠い。だが実質GDPが3四半期連続で増え、名目もプラスに転じたことは明るい兆しだ。

輸出では、世界の景気回復をリードしている中国などアジア向けが全体を押し上げている。米国や欧州向けも自動車などが復調した。

同じ時期に、中国は前年同期比実質10.7%の高成長を記録。米国も前期比の年率換算が5.7%、欧州のユーロ圏16カ国は同0.4%で、それぞれ2四半期連続のプラス成長だった。回復に向かう各国の足並みがそろうにつれ、日本への波及効果も大きくなってきたようだ。

内需は家電製品のエコポイント、エコカー減税などで個人消費の拡大が続いた。景気の足を引っ張ってきた住宅建設も、減少幅が縮まった。

動向が注目される設備投資は、7四半期ぶりにプラスに転じた。自動車、パソコン、IT(情報技術)関連ソフトウエアなどの分野が息を吹き返しつつある。手放しで楽観はできないが、心強い動きだ。

年明け後も、為替相場や株価の水準はおおむね安定している。米国経済の先行きに対する懸念や、中国政府の引き締めの動きなど不安な要素はあるが、それでも日本経済が景気の「二番底」に陥る危険性は薄らいできたとみていいだろう。

だが、自律回復といえるほどの力強さはない。生産はピークの8割、機械受注は7割にとどまっている。09年の雇用者報酬は過去最大の落ち込みで、失業率も5%を超えたままだ。景気対策の効果は、やがて落ちてくる。

鳩山政権は、昨年末にまとめた成長戦略の基本方針を早期にしっかり肉付けし、民間の設備投資や雇用拡大の意欲を引き出す必要がある。

環境など先端技術分野をさらに伸ばす。医療、福祉、介護をはじめとするサービス産業をテコ入れし、雇用と所得を底上げする。貿易自由化を進展させ、企業の新興国市場への参入を大いに刺激しなければならない。

09年の名目GDPで日本と中国の差は詰まり、ことし中の逆転は必至だ。日本は高度な技術を生かした多様な付加価値で勝負する知識集約型資本主義への脱皮が一段と求められる。

経済成長のエンジンの役割を担う企業は、政府の支援を待っているいとまはない。新しいビジネスチャンスを積極的につかむことで、自律回復への道を切り開きたい。

読売新聞 2010年02月16日

GDP連続改善 まだ「二番底」の懸念は残る

景気が緩やかな回復を続けていると裏付けられたが、力強い成長を取り戻したわけではない。

昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比1・1%増と3四半期連続でプラスとなった。年率換算で4・6%の成長率だ。

経済成長が巡航速度に戻った形だが、実情は景気対策や海外経済の回復に支えられた「上げ底」の成長である。

景気が減速して「踊り場」に入り、さらに「二番底」に向かう懸念はぬぐえない。

当面は、景気を最優先した経済政策運営を続けるべきだ。

景気回復の原動力である外需に加え、10~12月期は内需もプラスに転じた。日本経済はやっと、内外需のバランスがとれてきた。

内需の柱の個人消費は3四半期連続で増加し、民間設備投資も7四半期ぶりにプラスに転じた。

とはいえ、回復が長続きするかどうか、疑問もある。

消費は、エコカーの購入補助や家電のエコポイントなど、景気対策の特需に依存している。

雇用情勢は厳しく、労働者の賃金は減り続けている。消費者は安い商品を求め、値下げ競争の過熱が、デフレを一段と悪化させている。政策効果が息切れすれば、消費が落ち込むリスクは高い。

設備投資も、企業の生産がピーク時の8割ほどで足踏みしており、急回復は期待しにくい。

頼みの外需にも不安がある。米国は失業率が高止まりし、欧州はギリシャなどの経済・財政危機で、成長が鈍化した。

ようやく明るさが増した景気を暗転させないためにも、政策による後押しが欠かせまい。

自律的な経済成長には設備投資の本格回復が必要だ。環境やエネルギーなど成長分野を中心に、投資減税などの支援策を望みたい。国際的にみて高い法人税の実効税率引き下げも検討すべきだ。

「家計重視」を掲げる鳩山政権が、「企業優遇」の批判を恐れて対策を怠れば、業績悪化の痛みはそこで働く人に及ぶ。

GDP統計に表れた公共投資は、2四半期連続のマイナスだった。公共事業の予算を大幅に削減した影響で、今後、マイナス幅が拡大する恐れもある。

「コンクリートから人へ」の方針にこだわれば、公共事業に依存する地方経済が打撃を受ける可能性が高くなる。

景気刺激効果が期待でき、学校耐震化など優先度の高い公共事業は、予算を復活してはどうか。

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