中国CO2削減 これでは排出持続宣言だ

読売新聞 2015年07月08日

中国CO2削減 最大排出国の責任はどこに

地球温暖化を食い止めるため、中国は、世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国として、応分の責任を果たすべきだ。

中国が、温室効果ガスの排出削減目標を国連に提出した。国内総生産(GDP)当たりのCO2排出量を、2030年までに05年比で60~65%削減することが柱だ。

李克強首相は「気候変動との戦いで最大限の努力をする」と強調した。だが、この目標では、GDPの拡大が続けば、排出量を増やせることになる。

国内で排出するCO2の総量については、30年ごろをピークに減少させるという。

真っ当な目標には、ほど遠い。環境対策より経済成長を優先する中国政府の姿勢の表れだろう。

年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)では、京都議定書に代わり、20年に発効予定の新たな枠組みが策定される。

それに向け、先進国は、自国内の総排出量の削減目標を国際的に表明している。

中国がGDP当たりの削減目標を示したのは、先進国との違いを強調する狙いがあろう。産業活動により温暖化を招いた先進国は、途上国よりも重い責任を負うべきだとの考え方に基づいている。

しかし、京都議定書で削減義務を負っていない新興国・途上国からの排出量は近年、著しく増えている。特に、中国は世界の4分の1のCO2を排出している。国民1人当たりの排出量も、欧州連合(EU)と並ぶレベルにある。

世界全体の排出量を減らすには、中国のより積極的な取り組みが欠かせない。エネルギー効率の改善や、CO2排出量が多い石炭火力発電の抑制が必要だ。日本が培ってきた省エネ技術は、中国の排出削減にも役立つだろう。

世界3位の排出国であるインドや、排出量が急増する東南アジア諸国などの目標提出は、これからだ。中国の影響を受け、不十分な削減目標を設定する恐れもあるのではないか。

新たな枠組みを実効性あるものにするためには、京都議定書を教訓に、すべての国が排出量に見合った削減策を着実に実行することが重要である。

日本政府は近く、30年度に13年度比で26%削減するという目標を決定する。EUや米国と比べても、遜色のない内容だと言える。

日本には、公平な枠組み作りのため、主導的な役割を果たすことが求められる。

産経新聞 2015年07月08日

中国のガス田開発 国は東シナ海の脅威語れ

東シナ海の日中中間線付近のガス田で、中国が海洋プラットホームを急増させている。

国際社会が非難する南シナ海での人工島建設と同様に、東シナ海でも軍事拠点化が進行している疑いがある。政府は把握している事実を公開し、東シナ海における脅威を語るべきだ。それが国を守る議論に通じる。

ジャーナリストの櫻井よしこ氏は産経新聞への寄稿で、最近1年間にプラットホームが12カ所へ倍増したと指摘し、中国の軍事利用に警鐘を鳴らした。

これを受け菅義偉官房長官は平成25年6月以降、中国がプラットホームを増やした実態を政府が把握し、中国に繰り返し抗議したことを明らかにしたが、詳細については、情報収集や外交交渉への支障を理由に言及を避けた。

日中は20年にガス田の共同開発で基本合意したが、22年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で交渉が中断した。日本の関心が尖閣周辺における中国公船の領海侵入や南シナ海に向いたすきに乗じてプラットホームの建設を急ぎ、既成事実化を狙ったようにみえる。

これは共同開発の合意をほごにする行為である。日本の資源が奪われている可能性もある。

産経新聞 2015年07月06日

中国CO2削減 これでは排出持続宣言だ

世界1位の二酸化炭素(CO2)排出国・中国が、地球温暖化防止への取り組みで、胸を張っている。CO2の排出量を2030年までに、05年比で60~65%削減するのだそうだ。

フランスを訪問した李克強首相が先月末、オランド大統領との会談で表明し、国連にも削減目標として報告した。

数値は華々しいが、日本の26%削減や欧州連合(EU)の40%削減などとは、意味も質も異なる数字であることに注意したい。

日本などの削減は、排出されるCO2の総量そのものを減らすことを意味しているのに対し、中国の言っている削減は、国内総生産(GDP)当たりの排出量の引き下げにすぎないのだ。

この方式だと、分母のGDPの値が経済成長によって大きくなれば、分子のCO2排出量の増加も許容される。やむなく経済成長を優先させたい弱小途上国ならまだしも、世界第2の経済大国であり、軍事強国でもある中国が誇るべき目標ではないはずだ。

しかも中国は昨秋から「30年ごろをピークにCO2排出量を削減させる」と世界に宣言している。これは、今後15年間にわたってCO2の排出増加を続けるとの布告に他ならない。

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