出生率低下 少子化克服へ施策を加速せよ

読売新聞 2015年06月07日

出生率低下 少子化克服へ施策を加速せよ

出生率が9年ぶりに低下に転じた。少子化克服に向け、官民を挙げて取り組まねばならない。

厚生労働省が2014年の人口動態統計を公表した。昨年1年間に生まれた赤ちゃんは100万3532人で、前年より2万6284人減少し、過去最少だった。

人口の多い団塊ジュニア世代が40歳代になり、出産年齢を過ぎつつあることが主な原因だ。人口の自然減は26万9488人だった。08年をピークに総人口が減り続ける中、最大の減少幅となった。

1人の女性が生涯に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率は1・42だった。前年の1・43から微減した。05年に1・26まで低下した後、徐々に上昇してきたが、その傾向にストップがかかった。

深刻なのは、今後、出産の中心である20~30歳代の女性数が急速に減ることだ。出生率が多少上がっても、生まれる子供の数は減少する。出生率の低迷が続けば、60年の人口は今の3分の2の8700万人まで落ち込む。

人口減は経済・社会の活力をそぎ、社会保障制度の安定を損なう。危機的状況が迫っている。

政府は、60年に人口1億人を確保する目標を掲げている。その達成には、出生率を40年までに、人口が維持できる水準の2・07に引き上げることが前提となる。

少子化対策を一段と加速させる必要がある。

政府は3月、新少子化社会対策大綱を決定し、今後5年間を集中取り組み期間と定めた。重点課題として、保育所増設など子育て支援の拡充に加え、若者の結婚・出産支援を挙げたのが特徴だ。

晩婚・晩産化は少子化の大きな要因だ。今回の統計では、女性の平均初婚年齢は29・4歳、第1子出産時の平均年齢は30・6歳で、いずれも20年前より3歳ほど上昇した。生涯未婚率も、男女とも増え続けている。

若い世代には、経済的理由から結婚や出産をためらうケースが多い。非正規労働者の処遇改善や正社員への転換支援を強化し、若者の雇用安定を図ることが大切だ。保育・教育費の負担軽減や住宅確保策も推進すべきだろう。

大綱では、仕事と子育ての両立を困難にしている長時間労働の是正など、「働き方改革」も打ち出した。企業は見直しに真摯しんしに取り組んでもらいたい。

対策は、ほぼ出そろっている。求められるのは、迅速かつ着実な実行だ。有効策を見極め、重点的に取り組むことも重要である。

産経新聞 2015年06月10日

止まらぬ少子化 メリハリある対策必要だ

もはや漫然とした対策では、少子化は止められない。

厚生労働省によれば、昨年の年間出生数は約100万3500人で過去最少を更新した。1人の女性が生涯に出産する子供数の推計値である合計特殊出生率も9年ぶりに低下に転じた。

団塊ジュニア世代が出産期を外れ始め、20~30代の女性数は急速に減っている。極めて厳しい状況にある。

結婚や出産は個人の選択であるが、政府の調査では多くが結婚し子供を持ちたいと考えている。国民の希望がかなうよう、官民を挙げた取り組みを急ぎたい。

対象や国民のニーズをよく見極めた、有効な支援策が必要だ。

ここまで出生数が減ったからには、まずは第1子を増やすことだ。日本では結婚による出産が圧倒的多数を占める。急ぐべきは結婚支援である。

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