G7サミット 対中結束の意義は大きい

朝日新聞 2015年06月10日

温暖化対策 G7は目標に責任を

長い間、化石燃料を思うままに使い、二酸化炭素を大量排出して経済発展を遂げてきた先進諸国として、最低限の責任ある態度を示したといえる。

ドイツで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、地球温暖化対策として、2050年に世界の温室効果ガス排出量を10年比で40~70%削減するという長期目標を打ち出した。70%に近い「上方」の達成をめざすという。

昨年まとめられた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次報告書は、本格的な対策なしでは今世紀末の平均気温が最大4・8度上昇すると推計している。G7の目標は温度上昇を国際合意の2度未満に抑える道筋としてIPCCが示した提言に沿ったものだ。

G7がIPCCと国際合意を尊重する姿勢を明確にしたことは、先進国が過去の排出責任から目を背けないとのメッセージになる。2020年以降の温暖化対策を話し合う年末の国際会議に弾みがつくだろう。

しかし、G7の排出量は現在、世界全体の約3割にとどまり、総量も割合も低下しつつある。先進国だけでは達成できない目標である。

カギを握るのは、途上国である。現在、世界最大の排出国は中国であり、第3位はインドとなっている。先進国の責任を問うてきた途上国をどう巻き込んでいくのか。

日本を含む先進国は自らの排出削減にとどまらず、世界全体の削減に貢献しなければならない。資金や技術の提供にもできるだけこたえる必要があるだろうし、排出削減のための具体的な仕組み作りも主導して、責任を果たさなければならない。

年末の会議は2030年ごろが目標年なのに対し、G7の新たな目標は50年や「今世紀中の世界経済の脱炭素化」だ。

かなり先とはいえ、社会を大きく変えなければ、とても達成できない目標である。先進国は、未来社会を構想する力と着実な実現のための政策立案力を問われているといえる。

その点で、基準年をずらして排出削減率を高く見せかけるごまかしや、原発に回帰する一方で再生可能エネルギー導入を制限しようとする日本政府の姿勢は心配である。

温暖化対策をG7がリードしようとする以上、日本も当然、前面に立たなければならない。長期の目標だからと言って先送りは許されない。エネルギー消費と化石燃料を減らす脱炭素化社会の実現に向けた世界貢献は、待ったなしだ。

読売新聞 2015年06月10日

G7温暖化対策 脱炭素社会への足がかりに

温室効果ガスの排出削減に向け、先進7か国首脳会議(G7サミット)で、極めて高い目標が示された。地球温暖化を抑制するため、実行力が問われる。

世界全体の二酸化炭素(CO2)などの排出量を、2050年までに10年比で最大70%削減するとの内容だ。産業革命前に比べ、平均気温の上昇を2度未満に抑えることを目指す。

目標を達成するためには、水素エネルギーなどの革新的技術を開発し、脱炭素社会を世界的に構築する必要があろう。

国際社会が協調して温暖化対策に取り組むために、大きなヤマとなるのが、年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)だ。

首脳宣言には、京都議定書に代わる新たな枠組みに合意することへの強い決意も明記された。

京都議定書では、先進国のみが排出削減義務を負っている。新たな枠組みは、新興国・途上国を含む全締約国を対象にすることが絶対条件だ。G7が結束し、交渉を進めていかねばならない。

首脳宣言では、途上国の温暖化対策として、20年までに官民合わせて年間1000億ドルを支出することを再確認した。途上国に排出削減を促すために有効だろう。

世界の排出量を減らす上で、重要なのが新興国の取り組みだ。

中でも、世界最大の排出国の中国と3位のインドは、応分の責任を果たす必要がある。両国のCO2排出量は、世界の3割以上を占める。経済成長に伴い、今後も増え続ける見通しだ。

中国は「30年ごろをピークに排出量を減少に転じさせる」と表明しているが、より踏み込んだ対策が不可欠である。

安倍首相はサミットで、30年度までに13年度比で26%削減するとの日本の目標を発表した。他の先進国の目標と比べても、遜色のない数値と言える。首相は「日本は立ち止まらない。さらに大幅な削減をリードする」と述べた。

政府は、COPの交渉で、公平な枠組み作りを主導すべきだ。

ただ、日本の目標達成も容易ではない。1人当たりの排出量は2割削減となる計算だ。

ほとんどの照明をLED(発光ダイオード)に転換する。ハイブリッド車や電気自動車など、エコカーの普及率を5割まで高める。こうした対策を着実に進めていくことが求められる。

CO2を排出しない原発の再稼働と新増設も欠かせない。

産経新聞 2015年06月10日

G7と温暖化 原発が目標達成の鍵握る

ドイツで開かれた主要国首脳会議(サミット、G7)で、地球温暖化防止を目指す新たな長期目標が合意された。

温室効果ガスの排出を2050年までに10年比で40~70%削減することを世界の共通ビジョンとする内容だ。削減幅を持たせているものの上方の70%に重きを置いた目標になっている。

安倍晋三首相は、30年までに13年比で26%削減するという日本の目標をサミットで示したが、さらに高い次のハードルを越える覚悟を迫られた形である。

日本の26%の削減は、省エネを一段と進め、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を22~24%、原子力を20~22%にすることなどで達成しようとしているが、容易な道ではないはずだ。

太陽光や風力発電をこれ以上、増やすことは、技術的にも電気料金の面でも無理がある。ならば、安全性を増した原子力発電の比率を高めていくしかないだろう。原発は経済成長と温暖化対策を両立させ得る現実的な手段である。

読売新聞 2015年06月09日

G7首脳宣言 ウクライナ安定へ結束強めよ

ロシアと中国の「力による現状変更」を許さずに、国際秩序を維持せねばならない。先進7か国(G7)の結束と戦略性が試される。

ドイツで開かれていたG7首脳会議(サミット)は、「自由、平和、領土の一体性と、国際法と人権の尊重」の重要性を強調する首脳宣言を採択し、閉幕した。

ウクライナ情勢については、2月の停戦合意の履行を全当事者に求める方針を確認した。ロシアが合意を完全に履行しない限り、制裁を続けることでも合意した。

ロシアは昨年、クリミアを一方的に編入し、現在もウクライナ東部で親露派武装集団を支援している。断じて看過できない。G7の制裁継続の方針は当然だ。

対話を通じた事態打開を重視する日欧と、圧力を優先する米国には温度差がある。それだけに、緊密な政策調整が欠かせない。

安倍首相は、ウクライナについて「『失敗した国』にしてはならない」と述べ、各国の支援の必要性を強調した。サミット前には、同国でポロシェンコ大統領と会談し、18・4億ドルの経済協力を着実に進める方針を伝えている。

財政再建や汚職対策などが喫緊の課題である。G7はウクライナの改革努力を後押しすべきだ。

首相は、北方領土問題の解決の糸口をつかむため、プーチン露大統領の年内来日を探る。ウクライナ情勢でG7の足並みを乱さずに日露関係を前進させる、という難しいかじ取りが求められる。

東・南シナ海情勢に関して、首脳宣言は、中国による大規模な岩礁埋め立てを念頭に、現状変更の試みに「強く反対する」と明記した。国際法の諸原則に基づく海洋秩序の維持と、平和的な紛争解決の重要性も強調している。

中国の強引な海洋進出について日米だけでなく、欧州各国が認識を共有した意義は小さくない。

ロシアと中国に国際ルールを順守させ、建設的な役割を担わせる。そのために、G7は、他の関係国と連携し、両国への効果的な働きかけを強めることが大切だ。

経済分野では、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、G7が情報を共有し、協力する方針で一致した。

英仏独伊は創設メンバーとなり、日米加は参加を見送った。だが、中国の経済成長を国際社会の発展に生かす方向で、G7が協調することは可能なはずだ。

AIIBが融資の返済確実性や環境・人権に配慮した運営を行うか、監視する必要がある。

産経新聞 2015年06月09日

G7サミット 対中結束の意義は大きい

ドイツでの主要国首脳会議(サミット、G7)の成果は、中国による南シナ海での岩礁埋め立てに「強く反対」との考えで一致したことだ。

中国の海洋進出に対し、周辺国や日米豪だけでなく、欧州諸国を含むG7として懸念を表明した意義は大きい。

ロシアによるウクライナのクリミア半島併合を改めて非難した。中露の力による現状変更の試みは国際秩序への挑戦であり容認できない。

民主主義や法の支配といった普遍的価値観を共有するG7は結束して、中露に国際ルールを順守させなければならない。

中国は、埋め立てによる人工島の建設が軍事目的であることを明言し、滑走路などの建設を進めている。

航行の自由が阻害され、地域の安全が脅かされかねない重大な事態である。米政府は建設の即時停止を要求している。

中国は東シナ海でも尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で公船による領海侵入を繰り返している。

安倍晋三首相は討議で、「東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みを放置してはならない」などと述べて、他の首脳の賛同を得た。

サミットの場を利用した2国間会談では、フランスのオランド大統領と、岩礁埋め立てについて「懸念を共有する」との認識で一致した。

読売新聞 2015年06月06日

志摩サミット 日本の役割と魅力を発信せよ

日米欧の首脳が様々な国際的課題を議論し、メッセージを発信する重要な機会だ。意義のある日本開催としたい。

安倍首相は、来年の主要国首脳会議(サミット)を三重県志摩市で開催すると発表し、「伊勢志摩サミット」と命名した。選定の理由について、「日本の美しい自然、豊かな文化、伝統を感じてもらえる」と強調した。

伊勢神宮に触れ、「悠久の歴史を紡いできた。荘厳でりんとした空気を共有したい」とも語った。

主要会場の賢島かしこじまは、陸上の交通手段が2本の橋に限られ、警備しやすい利点がある。イスラム過激派などによる国際テロ対策を強化しつつ、先進7か国(G7)首脳が落ち着いて議論できる環境を首相は重視したのだろう。

伊勢志摩は、有名な観光地でもあり、外国人客の増加などの経済効果も期待したとみられる。

日本では過去5回、サミットが開催された。2000年は沖縄県名護市、08年は北海道洞爺湖町が選ばれた。今回は、8自治体が立候補した。宿泊機能や利便性、警備などに加え、どんな意義を発信できるかが判断基準となった。

広島市で核廃絶を訴える案や、仙台市で東日本大震災の復興をアピールする案もあった。だが、近年は、警備面を重視し、人口密集地を避ける例が多かった。

各首脳が伊勢神宮を訪れれば、日本の伝統文化への理解を深める機会となろう。自然に恵まれ、食材も豊富だ。こうした魅力を世界に効果的に発信するため、政府は、三重県などと連携し、準備に万全を期してもらいたい。

国連安全保障理事会の常任理事国でない日本にとって、G7は、国際社会で発言力を確保するうえで、重要な外交の枠組みだ。アジア唯一の参加国として、独自の存在感を発揮することもできる。

1975年に始まったサミットを積極的に活用していくことが、日本の国益にも合致しよう。

近年、中国など新興国の台頭に伴い、G7の相対的地位は低下した。ロシアは昨年、ウクライナ情勢で欧米と対立し、G7と決別した。G7の限界も指摘される。

だが、自由、民主主義、法の支配などの価値観を共有する枠組みとして、G7は今なお、国際社会を主導する責任を担う。

安倍首相は、独エルマウで開かれるサミットへの出発前、ウクライナやアジアの情勢、世界経済などを「しっかり議論したい」と語った。建設的な論議を通じ、日本の役割を果たすことが大切だ。

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