国際サッカー連盟(FIFA)の闇が暴かれつつある。
FIFAの副会長らが国際試合の放送権やスポンサー権などの便宜を図った見返りに、賄賂を受け取っていたとして、米司法省が関連業者5人を含む計14人を起訴した。
起訴事実は、組織的な不当利得や資金洗浄などの罪だ。副会長らが1991年から受け取っていた賄賂やリベートの総額は、180億円を上回るという。
米司法省は「被告らは、信用度の高い自らの地位を乱用し、世界中のファンらを深く傷つけた」と批判した。「捜査は、これが最終章ではない」とも強調した。
不正の全容解明を求めたい。
スイス当局も、ワールドカップ(W杯)の2018年大会と22年大会の開催地選定などを巡る不正疑惑の捜査に乗り出した。
開催地は、それぞれロシアと、酷暑が懸念されたカタールに決まった。22年大会の招致には、日本も名乗りを上げていた。
W杯は夏季に開かれてきたが、FIFAは、カタール大会の時期については11~12月とする異例の決定をした。カタール開催に固執したことがうかがえる。
五輪と並ぶ巨大なスポーツイベントであるW杯は、FIFAの最大の収入源だ。11~14年の総収入7100億円のうち、W杯関連の放送権料やスポンサー料が7割を占めている。
世界で延べ300億人以上がW杯をテレビ観戦するとされる。テレビ局にとっては、魅力的な大会だ。スポンサー企業はイメージアップを期待できる。経済効果を見越し、開催を求める国は多い。
W杯などに絡む利権を買い取り、テレビ局や企業に転売しようと、専門業者がFIFA幹部を抱き込んだのが、一連の事件の構図だ。重要事項の決定権限が二十数人の理事に集中するFIFAの閉鎖的な組織運営が背景にある。
FIFAでは、ゼップ・ブラッター氏が会長に就いた98年以降、金銭に絡む様々なトラブル、疑惑が取りざたされてきた。
FIFAが事件の最中に総会を開き、ブラッター氏の5選を決めたことは、理解に苦しむ。多数の幹部が起訴されれば、通常ならトップも監督責任を免れまい。
日本サッカー協会の大仁邦弥会長が、ブラッター氏支持の意向を示していたのも釈然としない。
総会では、日本協会副会長の田嶋幸三氏がFIFA理事に任命された。FIFAの改革に、日本も積極的に関与していくべきだ。
この記事へのコメントはありません。