鳩山首相の政治資金をめぐる問題が再燃している。首相は、様々な重大な疑惑を自ら積極的に晴らす責任がある。
衆院予算委員会の「鳩山内閣の政治姿勢」に関する集中審議で、自民党などが、首相の資金管理団体の偽装献金事件を中心に首相を厳しく追及した。
与謝野馨元財務相は、首相の弟である鳩山邦夫元総務相から「兄貴は母の所に行き、子分に配る金が必要だとお金をもらっていた」と聞いたことを明らかにした。
母親からの資金提供を「知らなかった」とする首相の説明に疑問を投げかけたものだ。
首相は「全くの作り話だ」「母にお金の無心、特に子分に配る金をくれと言うわけがない」などと、全面否定した。
質疑後、邦夫氏は記者団に、母親から電話で「兄が子分を養うためにお金が大変いる」と聞いたことを認めた。ただ、母親にその話をしたのが首相か元秘書かは知らない、とも語った。
首相自らが母親に要請していたとしたら、首相の従来の説明は虚偽だったことになる。首相は予算委で「違う事実が出てきたらバッジをつけている資格はない」と明言しており、事は深刻だ。
首相は、12億円を超す資金提供の経緯について元秘書らから聴取し、国民に説明すべきだ。
母親が提供した資金の使途も問題とされた。与謝野氏は、首相の元秘書が「公判関係者」に語った話を紹介し、首相や元秘書が資金の一部を民主党議員に配っていたはずだ、と迫った。首相は「全く知らない」と否定した。
首相の資金管理団体の収支報告書には、多くの民主党議員の政治団体に対する100万円単位の寄付が記載されている。仮に、記載のない資金提供が確認されれば、政治資金規正法違反となる。
こうした疑惑がある以上、首相は、12億円超の資金の使途について、早急に調査し、その詳細を公表すべきだろう。検察当局の捜査が終了したため、捜査に影響するとの弁明はもう通用しない。
首相は、元秘書の犯罪について「私腹を肥やすつもりはなかった」「責任の取り方は、いろいろある」と答弁した。だが、贈与税を払わなければ私腹は肥える。「私ならバッジを外す」という過去の発言との落差は大きい。
国会も、首相の政治資金疑惑について集中審議で幕引きにすべきではない。疑惑の実情を知る邦夫氏ら関係者を参考人招致し、事実の解明に努めねばならない。
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