連立政権協議 現実的な安保政策が不可欠だ

朝日新聞 2009年09月03日

3党連立協議 玉虫色合意で禍根残すな

民主、社民、国民新の3党が連立政権づくりに向けて協議を始めた。

衆院で「308」という巨大政党に膨れあがった民主党だが、参院での議席数は過半数に少し足りない。

社民党と国民新党を味方につけて過半数を固めれば、予算や法律をすんなりと成立させることができる。安定した政権運営のために連立を模索するのは当然のことだ。

ただ、あくまでも理念や政策の方向性が一致する限りで、というのが連立の大前提だ。ただの数合わせや、本来の主張を無節操に曲げるようなことでは、それぞれの党に票を投じた有権者の期待を裏切ることになる。

3党は16日の首相指名、新内閣発足に向けて、週内にも鳩山政権で目指す政策、理念で合意したいという。

政策合意の元になるのは、総選挙の時に3党が掲げた共通政策だ。だが、実際の連立政権を支える合意にするには、改めて議論し、細部を詰める必要がある。

例えば「消費税5%は据え置く」という項目だ。民主党は税率を引き上げる時は民意を問うという立場だから、この内閣が続く限りは引き上げないという点で、消費増税絶対反対の社民党と一致している。

それでも社会保障の財源確保や、景気対策でいっそう膨らむ借金をどう返済していくのか、財政健全化のめどをめぐる議論は必要だ。それまで封じるような合意にしてはなるまい。

国民新党が最重視する「郵政各社の株式売却凍結と4分社化の見直し」。当面はこれで手を握れるだろうが、では郵政民営化を後戻りさせるのか。将来像についての国民の疑問にすぐにも答えなければならないことを留意しておかねばならない。

難題は、共通政策に盛られなかった外交・安保政策の扱いだ。インド洋での給油支援やソマリア沖の海賊対策が焦点だが、自衛隊の海外派遣に強く反対する社民党とどのような形で折り合いをつけるか。鳩山首相の基本路線が問われる問題でもある。

民主党として決して譲ってはならない点が二つある。まず、企業・団体献金の全面禁止だ。国民新党が慎重だが、政権の根本姿勢にかかわることであり、玉虫色の合意は許されない。

もうひとつは、政権の意思決定は内閣のもとで一元的に行うという原則だ。社民、国民新両党が求める与党の連絡会議は、内閣の意思決定を妨げるものであってはならない。両党には、閣僚や副大臣として内閣に加わり、意思決定に参画する道がある。

鳩山氏には念を押しておきたい。この総選挙で示された民意が民主党政権に期待したもの、つまり有権者の負託に誠実に応えることがあくまでも基本である。

読売新聞 2009年09月03日

連立政権協議 現実的な安保政策が不可欠だ

民主、社民、国民新の3党が、連立政権樹立に向けた協議を始めた。連立政権は政策の合意が前提となる。あいまいな合意は禍根を残す。十分な政策のすり合わせが肝要だ。

民主党は衆院で空前の308議席を獲得したが、参院では単独過半数に満たない。社民、国民新両党との連立を目指すのは、より安定した政権運営のためだろう。

ただ、過去の連立政権では、少数政党が存在意義をアピールしようと、自らの主張に固執し、混乱した例も少なくない。安易な譲歩は禁物である。

社民党は、法案などを閣議決定前に事前審査するための与党協議機関の設置を要求している。こうした機関は過去にも存在した。だが、今回、問題なのは、民主党が目指す「政策決定の政府への一元化」と矛盾することだ。

民主党の小沢一郎代表代行は入閣せず、党の要職にとどまる方向とされる。実力者の小沢氏が党内の支持勢力を背景に、政策決定面で強い影響力を持てば、「権力の二重構造」の再現になろう。

連立協議は、3党が衆院選前に合意した、消費税率据え置きなど6項目の「共通政策」が土台となる。焦点は、各党の立場の隔たりが大きく、共通政策に含まれなかった外交・安全保障政策だ。

インド洋での海上自衛隊の給油活動について、民主党は来年1月まで続ける考えだが、社民党は公約で即時撤退を求めた。民主党はソマリア沖での海自の海賊対処活動を容認するが、社民党は海上保安庁への切り替えを主張する。

給油活動は、「テロとの戦い」における日本唯一の人的支援策で関係国の評価も高い。本来、来年1月以降も継続すべきである。

海賊対策も、装備・体制面で海保への切り替えは非現実的だ。

より深刻な問題は、民主、社民両党がともに掲げる在日米軍再編の見直しだ。海兵隊普天間飛行場の沖縄県内移設は、あと5年で実現する段階にある。

これを白紙に戻せば、13年間の日米双方の努力が無に帰すうえ、飛行場返還は遠のく。在沖縄海兵隊8000人のグアム移転という地元負担軽減策もなくなる。

米国務省報道官が米軍再編について「再交渉しない」と言明したのは、十分理解できる。

外交では、通常、自国の主張が100%実現することはあり得ない。民主党は、政府批判に重点を置いた野党時代の主張にとらわれ、外交面での柔軟性と選択肢を自ら狭めるべきではあるまい。

産経新聞 2009年09月03日

連立政権協議 民主党の統治責任は重い

民主党と社民、国民新両党との連立政権協議が始まった。政権政党になることは国の統治責任を担うことを意味する。そのためには日本の国益や国民益を守る合意にすることが最低限必要だ。

ところが、社民党は憲法改正への反対など独自の立場を協議に持ち込もうとしている。こうした事態が起きるのは、民主党が憲法問題や外交・安全保障政策で、あいまいな姿勢をとってきたことにも原因がある。

社民党の見解は現実離れしているといえる。問われているのは民主党自身が現実重視の姿勢を明示できるかだろう。

憲法9条を守るため、今後4年間は憲法審査会を始動させないというのが社民党の考えで、福島瑞穂党首は連立政権参加の条件として打ち出そうとしている。

憲法改正原案などを審議する憲法審査会は、民主党や社民党が活動を認めようとしないために設置以来約2年間、機能していない。ようやく先の通常国会で自民、公明両党が衆院の審査会規程を決めたものの、参院側の規程は今もないままだ。

絶対安定多数を得て、民主党は衆院の運営にも責任を負うことになった。機能しない憲法審査会の「違法状態」の解消に、率先してあたる立場となることを自覚すべきである。

来年5月18日には憲法改正原案の発議が可能となる。「新憲法試案」の著書もある鳩山由紀夫代表は、憲法改正の持論に従って、自ら積極的に取り組む姿勢を打ち出すべきではないだろうか。

自衛隊の海外派遣に反対する社民党の意向を民主党は受け入れるのだろうか。もしそうならば、新政権の下で十分な国際平和協力活動が行えなくなる。

民主党は国連平和維持活動を通じた平和構築を掲げているが、自衛隊派遣の意味ではないのか。そこをあいまいにしているところを社民党に突かれている。

社民党との溝が大きいために、外交・安全保障政策の議論は後回しにして、政権合意は消費税凍結や少子化対策、雇用問題など内政面での共通政策にとどめようとの動きもみられる。

日米基軸の外交方針や、増大する北朝鮮の脅威への対処で一致できないようなら、連立の意味はあるのだろうか。統治力が問われていることを、民主党執行部は深く認識してほしい。

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