在日米軍の即応力が強化され、日米同盟の抑止力の向上につながることが期待される。
米国防総省が、2017年から東京都の空軍横田基地に輸送機CV22オスプレイを配備すると発表した。21年までに10機態勢とする。
アジア太平洋地域の軍事力を強化する米軍のリバランス(再均衡)政策の一環である。既に沖縄県の海兵隊普天間飛行場に24機のMV22が配備されている。日本の安全保障上の意義は小さくない。
オスプレイは、ヘリコプターの垂直離着陸と、固定翼機の高速飛行の機能を併せ持っている。
CV22の基本的性能はMV22と同じだ。従来の輸送ヘリCH46に比べて最大速度は2倍、行動半径は4倍、貨物搭載量も3倍に達する。輸送力が大幅に向上する。
MV22と異なって、人質救出などの特殊作戦に従事するため、夜間飛行能力に優れ、レーダー探知機能なども有する。沖縄、ハワイなどに駐留する米軍特殊作戦部隊の輸送が主たる任務とされる。
陸上自衛隊も今年度から、佐賀空港への配備を念頭に、17機のMV22の調達を開始する。防衛省は日米共用を視野に、MV22の定期整備拠点を千葉県木更津市の陸自駐屯地に誘致する方針だ。
自衛隊と米軍が同種の輸送機を備えることは、朝鮮半島有事や南西諸島防衛などの際、より効果的な部隊運用が可能となる。平時から共同訓練を重ね、相互協力体制を確認しておきたい。
米軍が「自然災害危機への素早い対応」をCV22の配備理由に挙げたことは、注目される。
首都直下地震や南海トラフ地震など大規模災害時に、機動的な部隊展開が期待できよう。沖縄駐留のMV22は、ネパール大地震の被災地にまで派遣されている。
残念なのは、依然として、オスプレイの安全性に問題があるかのような誤解があることだ。
MV22の飛行10万時間当たりの重大事故率は14年9月現在、2・12件で、全米軍機の中でも低い。CV22は7・21件だが、4年間で半減した。米軍は、安全確保に万全を期してもらいたい。
日本政府は今後、福生市など周辺自治体に対し、安全性や騒音対策などを説明する。丁寧な説明を心がける必要がある。
横田配備のCV22の訓練は、沖縄のMV22と同様、本州の山岳地帯などで実施されるとみられる。低空飛行訓練を地上150メートル以上に限定するなどの日米合意をきちんと順守することが大切だ。
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