電源構成案 原発活用は現実的選択だ

朝日新聞 2015年04月29日

原発の比率 40年超を前提にするな

経済産業省が、2030年の電源構成(エネルギーミックス)について、きのうの審議会に骨子案を示した。省エネ対策を進めて年間の電力需要を今より17%(1961億キロワット時)減らしたうえで①水力を含む再生可能エネルギーの割合を22~24%②原子力は20~22%程度、とする中身である。

原発比率を「20~22%程度」とすることには、問題がある。

というのも、「20~22%」は事実上、40年超の原発も運転し続けることを前提にした数字だからだ。この水準を維持するには、原発を新増設するか運転を延長するしかないが、政府は「新増設は考えていない」との姿勢を崩していない。

福島第一原発の事故後、原子炉等規制法が見直され、原発は40年を寿命とする原則が決まった。この法律と整合しない数値を示すことに、正当性はあるのだろうか。

国内で建設が始まった当初、原発は30~40年の寿命が前提とされてきた。だが、新規立地が難しくなり、主として経済的な要因から運転延長が認められてきた経緯がある。

ただ、運転を長く続ければ原子炉圧力容器などが劣化し、安全性も下がる。事故後は「供給側の事情に配慮するような発想を切り離す」ことを目指して、運転を40年に制限することが改正法に盛り込まれた。

法律には原子力規制委員会の特別な審査に合格すれば1回だけ最長20年の延長が認められる規定がある。

ただ、これは法案をつくる時点で、電力不足に陥る懸念があったために「極めて例外的」なケースとして設けられたもので、規制委の田中俊一委員長も規制委発足時の会見で「(特別審査への合格は)相当困難」との認識を示している。

国内の原発は運転開始から30年を超えるものが多く、40年規制を自動的に当てはめるだけで、30年時点での原発比率は15%程度に低下する。

大地震の恐れや活断層などの問題があったり、十分な避難計画が策定できなかったりする原発については寿命をまたずに閉めることを踏まえれば、比率はさらに下がるはずだ。

電力会社側は「40年には科学的根拠がない」として、関西電力が3基について運転延長を申請する準備に入っている。しかし、審査に通るかどうか、現時点では見通せず、40年超を前提にすることには無理がある。

骨子案をもとに、政府は6月にも電源構成を決める。原発比率は再考するべきである。

産経新聞 2015年04月29日

電源構成案 原発活用は現実的選択だ

電源に占める原子力発電の比率を東日本大震災前の約30%から20~22%に引き下げる一方、太陽光などの再生可能エネルギーは、水力を含めて22~24%と現行の2倍程度に高める。

2030(平成42)年時点の電源構成目標として政府が示した案は、今後も原発を一定規模で継続活用する方針を明記したものである。資源が乏しい日本にとって現実的な判断といえよう。

電力の安定供給を確保し、電気代の上昇を抑制して地球環境対策を進めるうえで原発は不可欠だ。政府は方針に従って原発に向き合い、安全性を確認した原発の早期再稼働を主導すべきだ。

電源構成目標は、海外における資源開発や燃料調達など、長期的なエネルギー政策を立案するための基礎と位置付けられている。

経済産業省の有識者会議に示された政府案によると、液化天然ガス(LNG)と石炭、石油を燃料とする火力発電比率を50%台半ばに設定し、残りを再生エネと原発で賄うとした。

国内では東京電力福島第1原発事故後、一昨年9月から稼働原発がゼロの状態に陥っている。現状では電源の9割近くを火力に依存しており、料金上昇や温室効果ガスの排出増を招いている。

こうした弊害を除去するうえでも、中長期的な電源構成の目標を立て、極端に火力に偏った状況を見直すのは妥当かつ急務だ。

重要なのは、原発を含め多様な電源を効率よく組み合わせ、活用する姿勢だ。それは先進国で最低水準のエネルギー自給率を向上させることにつながり、安全保障の観点からも重要である。

今後も継続して原発を活用するには、稼働開始から40年を経た高経年原発の運転を例外的に延長するだけでなく、建て替え、新増設なども欠かせない。政府は早急に計画を具体化させるべきだ。

環境負荷が小さく、自給率向上に資する再生エネを高めるのは当然である。地域産業としての期待もある。だが、太陽光や風力は供給安定性に欠け、発電コストが高いなど多くの課題を抱える。

固定価格買い取り制度の導入で、家計や企業の負担金も急増している。政府案には3年ごとに電源構成を見直す方針も盛り込まれた。競争入札で再生エネのコストを引き下げるなど、実態を踏まえた制度改革も欠かせない。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2184/