経営が行き詰まった国内航空3位のスカイマークについて、再建策の骨格が固まった。
新たな株主として、既にスカイマークを支援している投資ファンドのインテグラルが50・1%を、わが国航空トップのANAホールディングスが最大19・9%を出資する。ANAはスカイマークとの共同運航に加え、機体整備や燃料、部品の共同調達など業務面でも支援する。
ただし、スカイマークはあくまで独立した会社として運航路線や運賃を独自に決め、5年以内に株式の再上場を目指す。
ANAと日本航空(JAL)の2強が主導する国内航空分野で、スカイマークは低料金を武器に約20年前に参入し、競争の促進と新たな需要の開拓にひと役かってきた。その会社が、ライバル視してきた大手の支援を受けつつ生き残りをはかる、複雑な構図である。
スカイマーク以外にも札幌や北九州、宮崎各市に拠点を置く地域航空会社3社が旗揚げしたが、自力での経営が難しくなり、そろってANAの支援を受けている。3年前にはいわゆる格安航空会社(LCC)も加わったが、航空網の中心である羽田空港に乗り入れていない。
羽田に大手2社に次ぐ発着枠を持つスカイマークまでANAの傘のもとで安住するようでは、空を巡る状況が「スカイマーク前」に逆戻りしかねない。
スカイマークが経営破綻(はたん)したのは、欧エアバスと超大型航空機の購入契約を結んで国際線への参入を急ぐなど、無謀とも言える拡大策の失敗が直接のきっかけだった。経営の原点に戻れば、道は開けるはずだ。
株式の過半を握る予定のインテグラルの責任は重い。投資ファンドは短期間で株式を手放して利益の回収を急ぐことが多いが、同社は長い目で支援する姿勢を強調している。経営の主導権を守り、ANAとも競う「第三極」としてのスカイマークの立ち位置を貫く必要がある。
ANAは、スカイマークとの共同運航などを通じてANAの利用客の選択肢を増やし、顧客の囲い込みを強化できる利点を重視したのだろう。スカイマークが独自に路線や運賃を決めることに同意した以上、その方針をしっかりと守ってほしい。
航空機購入のキャンセルに伴うスカイマークとエアバスの係争では、ANAはエアバス機の大口顧客としてのパイプを生かすことが期待される。これまで整備面の不備などトラブルが目についたスカイマークに「安全文化」を徹底させることもANAの役割だろう。
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