統一地方選 「選択肢」不足が水差した

毎日新聞 2015年04月14日

統一選前半戦 自治の基盤は大丈夫か

統一地方選は前半戦を終え、10道県知事選すべてで与党の支援する現職候補が当選した。41道府県議選も自民党が堅調に議席を得た。

読売新聞 2015年04月13日

統一選前半戦 安倍政権は地方創生加速せよ

統一地方選の前半戦が終了した。10道県知事選のうち、与野党対決型として注目された北海道と大分では、いずれも与党系の現職が野党系候補らを破り、4選を果たした。

実績と安定への評価が多選批判を上回った結果だろう。

自民党は昨年7月以降、滋賀、沖縄、佐賀各県知事選で推薦候補が敗れた。今回は、全10知事選で現職を支援し、「全勝」した。

選挙戦では党幹部が、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による雇用拡大や賃上げの成果などを繰り返し訴えた。

41道府県議選でも、自民党は議席を順調に伸ばし、総定数の過半数を獲得した。候補者を積極的に擁立したのが奏功した。

これにより、安倍政権の基盤は一段と強固になった。今後、経済再生や地方創生、安全保障法制整備など、重要な政策課題への取り組みを加速することが重要だ。

民主党は、低迷がより鮮明になった。道府県議選の公認候補は前回から4割も減り、自民党の3割弱にとどまった。新人の擁立が進まず、現職の当選を優先する「守りの選挙」を強いられ、獲得議席は前回を大きく下回った。

1月に発足した岡田執行部は存在感を発揮できていない。党再建の戦略を練り、来夏の参院選などに向けて地方組織を立て直さなければ、将来の展望は開けない。

大阪府・市議選は、「大阪都構想」の賛否を問う5月17日の住民投票の前哨戦となった。都構想を推進する地域政党「大阪維新の会」は、いずれでも第1党の座を維持することに成功した。

定数86の市議選では、目標とした前回の33議席を上回った。だが、府議選では、過半数の議席を確保できなかった。都構想の実現に必要な条例制定などを円滑に進められるかどうかは微妙である。

地方政治にとって深刻なのは、無投票当選の大幅増だ。道府県議選では無投票が全選挙区の約3分の1を占め、当選者は総定数の2割超と過去最高水準となった。

特に香川県議選では、県庁所在地の高松市選挙区が初の無投票となるなど、無投票当選者が全体の6割以上に達した。山形、宮崎両県でも4割を超えた。

人口減対策や地域活性化の担い手を志す人材が不足していることは、地方の構造的な危機を物語る。有権者が各候補の政策を直接聞く機会をなくし、政治への無関心を助長しかねない。

各政党は、人材の発掘・育成に真剣に取り組む責任がある。

産経新聞 2015年04月13日

統一地方選 「選択肢」不足が水差した

統一地方選前半戦の焦点で自民、民主の対決型となった北海道、大分両知事選は、いずれも自民系現職が当選した。

北海道の高橋はるみ氏、大分の広瀬勝貞氏ともに実績を評価され、民主系新人らを退けた。

民主党は、10知事選のうち両知事選で与党との対決に臨んだが、及ばなかった。政権転落後の党勢回復が進まず、地方での浸透が不十分なことの表れだろう。

国政でも受け皿としての存在感は希薄だ。現状をどう打開すべきか。岡田克也執行部に改めて突き付けられた課題といえよう。

北海道では、フリーキャスターの佐藤のりゆき氏を民主、維新、共産、社民、新党大地が支援する野党共闘が組まれた。佐藤氏は知名度を生かし、北海道電力泊原発(泊村)の再稼働反対を唱えたものの現職の壁を崩せなかった。

原発比率の高かった北電は、原発停止に伴い電源の火力依存でコストが上昇し、経営が圧迫され、電気料金値上げを重ねている。

高橋氏は「将来、原発に依存しない北海道」をうたい、再稼働の是非は明言してこなかった。道民の生活や経済への影響が大きい電力の安定供給に向け、再稼働を求める姿勢を明確にすべきだ。

大分では、与党が支援する現職知事と、元民主党衆院議員の釘宮磐前大分市長が対決した。九州では1月の佐賀県知事選で自民、公明両党の推す候補が敗れており、民主党はその流れを引き寄せようとしたが、失敗した。

自民党は「巨大与党」の勢いを両知事選でも示した。ただ、対決型の札幌市長選で敗れたほか、この1年の間にエネルギーや安全保障政策が争点になった滋賀、沖縄両知事選などで敗北した。重要政策を進める上で、より丁寧な国民への説明が求められている。

前半戦で目立ったのは、道府県議選で過去最高の21・9%に上った無投票当選だ。「なり手不足」は、地方創生に水を差しかねない深刻な状況といえる。

千葉県議選では、被選挙権を持たない候補の存在が判明し、届け出が却下された。収賄の罪で実刑判決を受けた元首長が、刑期を終えてから10年たたずに立候補したためだ。

数カ月前に出馬表明しているのに、なぜチェックできなかったのか。選管事務の信頼性を損なうミスはなくしてほしい。

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