統一地方選の前半戦が終了した。10道県知事選のうち、与野党対決型として注目された北海道と大分では、いずれも与党系の現職が野党系候補らを破り、4選を果たした。
実績と安定への評価が多選批判を上回った結果だろう。
自民党は昨年7月以降、滋賀、沖縄、佐賀各県知事選で推薦候補が敗れた。今回は、全10知事選で現職を支援し、「全勝」した。
選挙戦では党幹部が、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による雇用拡大や賃上げの成果などを繰り返し訴えた。
41道府県議選でも、自民党は議席を順調に伸ばし、総定数の過半数を獲得した。候補者を積極的に擁立したのが奏功した。
これにより、安倍政権の基盤は一段と強固になった。今後、経済再生や地方創生、安全保障法制整備など、重要な政策課題への取り組みを加速することが重要だ。
民主党は、低迷がより鮮明になった。道府県議選の公認候補は前回から4割も減り、自民党の3割弱にとどまった。新人の擁立が進まず、現職の当選を優先する「守りの選挙」を強いられ、獲得議席は前回を大きく下回った。
1月に発足した岡田執行部は存在感を発揮できていない。党再建の戦略を練り、来夏の参院選などに向けて地方組織を立て直さなければ、将来の展望は開けない。
大阪府・市議選は、「大阪都構想」の賛否を問う5月17日の住民投票の前哨戦となった。都構想を推進する地域政党「大阪維新の会」は、いずれでも第1党の座を維持することに成功した。
定数86の市議選では、目標とした前回の33議席を上回った。だが、府議選では、過半数の議席を確保できなかった。都構想の実現に必要な条例制定などを円滑に進められるかどうかは微妙である。
地方政治にとって深刻なのは、無投票当選の大幅増だ。道府県議選では無投票が全選挙区の約3分の1を占め、当選者は総定数の2割超と過去最高水準となった。
特に香川県議選では、県庁所在地の高松市選挙区が初の無投票となるなど、無投票当選者が全体の6割以上に達した。山形、宮崎両県でも4割を超えた。
人口減対策や地域活性化の担い手を志す人材が不足していることは、地方の構造的な危機を物語る。有権者が各候補の政策を直接聞く機会をなくし、政治への無関心を助長しかねない。
各政党は、人材の発掘・育成に真剣に取り組む責任がある。
この記事へのコメントはありません。