株価2万円台 浮かれてはいられない

朝日新聞 2015年04月11日

株価2万円 経済の実態を映すのか

日経平均株価が10日、15年ぶりに一時2万円台を回復した。「アベノミクス」を掲げた第2次安倍政権が発足してから2年4カ月で2倍になった。今年だけで15%上昇している。

株式市場の関係者たちには「さらに相場は上がる」とはやす声が少なくない。株高を景気回復の原動力にしたい政権はこれを歓迎、菅義偉官房長官は「まあ、よくここまできたものだ」と述べた。

もちろん、株価は下がるより上がるほうがいい。ただ、この株価上昇がどんな経済の実態に裏打ちされたものか、この先どのくらい確かなものなのかを考えるとき、必ずしも喜んでばかりはいられない。

株価は本来「経済の体温計」だ。景気が良ければモノやサービスの消費が増えて企業の業績が上向く。それを評価して株価は上がる。

だが現実はどうか。実体経済と株価水準の結びつきは希薄だと言っていい。さまざまな経済指標が、株価ほどに改善しているわけではないからだ。

たとえば、ものづくりの動きがわかる鉱工業生産指数は一進一退を繰り返している。日銀短観からみる企業の景況感は規模や業種によってまだらで、全体では良くも悪くもない。

春闘で大手企業の賃上げが進んでも、物価上昇を考慮した実質賃金指数は22カ月続けて減っている。人々の暮らしが豊かになっているわけではなく、消費の先行きは楽観できない。

それでも株価が上がる背景に公的マネーの存在がある。

約137兆円の運用資産をもつ年金積立金管理運用独立行政法人などの公的年金が株を買い増している。また日本銀行が大規模な金融緩和で巨額のおカネを金融市場に投じ、みずから上場投資信託(ETF)の購入に乗り出している。きのうの株高の要因だった円安も、日銀による緩和がもたらしたものだ。政策が株価を支えているのだ。

似たような状況は米欧でも見られる。中央銀行による金融緩和政策が生みだした膨大なおカネが株式市場に流れ込んで株価バブルを生みだしている。

この結果、米国では景気がよくなると株価が下がる、という倒錯した状況も生まれている。金融政策が引き締められることを恐れた投資家たちが、株を売ろうとするからだ。

先行きが不確かな実体経済と、持続可能かあやしい政策。「株価2万円」はそこに乗って生まれた産物だ。株価に即した経済へと底上げすること。それが政権の課題である。

毎日新聞 2015年04月11日

株価2万円台 浮かれてはいられない

東京市場で日経平均株価が一時、2万円台を回復した。2000年4月以来、実に15年ぶりの大台である。

産経新聞 2015年04月11日

株価2万円台 期待を本物にする経営を

企業業績の改善を背景に、東京株式市場の日経平均株価が一時15年ぶりに2万円台をつけた。

景気の先行指標とされる株価の上昇は、いまだ持続的な回復に確信を持てない企業や消費者の心理を好転させる追い風となろう。

まずは、これを好機とし、期待先行とされる相場を、実力の伴う力強いものに発展させていかねばならない。

それには守りの経営から脱却し、攻めの姿勢に転じる努力が求められよう。収益力を高めて設備投資や所得・雇用を増やす。それを消費につなげて経済全体の底上げを図り、実感の伴う景気回復を着実に果たしていきたい。

今の株高は、国内だけでなく海外の投資家の期待にも支えられている。円安や原油安の後押しもあって、自動車や電機などを中心に過去最高益を見込む企業が相次いでいるためだ。

多くの企業が資本を効率的に使う経営で「稼ぐ力」を回復させてきたことも、日本株への期待につながっているようだ。

原油安などで経済環境に追い風が吹いている間に、この流れを確実にすることが肝要である。

留意すべきは、量的緩和を続ける日銀を含め、世界的な金融緩和であふれた国内外の資金が株式市場に流れ込んでいることだ。公的年金資金も同様である。

こうした巨額のお金が、今の株価を実力以上に高めていることは否めない。

大切なのは、内外の資金が成長企業への投資に向かい、長引くデフレで落ち込んだ日本経済の潜在的な成長力を向上させる端緒にできるかどうかである。それは、株高を金融緩和に依存した一時的なバブルに終わらせず、安定的に推移させるカギでもあろう。

株高を持続させるには、消費の拡大も欠かせない。

個人の株式投資が盛んな米国と比べると、日本では、株高で資産が増えて消費を刺激する効果は限定的だ。株を保有する一部の富裕層ばかりでなく、幅広い層で消費を拡大させねばなるまい。

消費税増税で落ち込んだ消費はいまだ回復の足取りが重い。消費者の節約志向も根強いが、賃上げの動きを中小企業や地方経済にも波及させ、弱さが残る国内需要を盛り上げる。それは、民間主導で持続的に経済を成長させるための大前提である。

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