辺野古移設 沖縄と敵対ばかりでは

朝日新聞 2015年04月01日

政府と沖縄 捨て石にしてはならぬ

沖縄県の翁長雄志知事が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設作業を止めるよう沖縄防衛局に指示したことに対し、林芳正農水相が指示の効力を一時的に停止する決定を出した。

沖縄の意見に耳を傾けることなく、ひたすら移設作業を続けようという政府の姿勢は「沖縄いじめ」とさえ見える。政府は行政手続きに血道を上げるのではなく、ていねいに沖縄との対話の道を探るべきだ。

もとはといえば、沖縄防衛局が知事から許可を得た岩礁破砕区域の外に大型コンクリートブロックをいくつも沈めたことが発端である。県は当初、必要な手続きを取るよう防衛局に求めたが、防衛局は応じなかった。県はさらに現地調査ができるよう米軍との調整も要求したが、これも拒否された。翁長知事が岩礁破砕許可の取り消しに言及したのも無理からぬことだ。

防衛局が農水相に提出した行政不服審査請求や、知事の指示の執行停止申し立てという手法はいかにも強引だ。本来は行政庁の処分で不利益を受ける国民を救済する制度。防衛局が申し立て、審査するのが同じ政府内の農水省というのも、公平性の観点から疑念をぬぐえない。

翁長知事は農水省に意見書を提出した際、「沖縄県民の痛みを感じない、感じようとしない政府の姿勢があることを国民の皆様に知っていただきたい」と訴えた。

今年は戦後の沖縄にとって節目の年にあたる。70年前の4月1日、米軍が沖縄本島に上陸を開始した。沖縄戦での死者20万人以上。本土防衛の捨て石とされ、県民の4分の1が命を落としたと言われる。

普天間飛行場は当時、住民を収容所に移している間に米軍が建設した。その返還のため、なぜまた同じ沖縄の辺野古が使われなければならないのか。

菅官房長官は再三、「辺野古移設は16年前、当時の県知事と市長が同意した」と口にする。だが当時の県知事、稲嶺恵一氏は15年の基地使用期限を条件とした。名護市長の故岸本建男氏も、基地使用協定の締結などを条件に掲げた。現行計画にこうした条件はない。現行計画での移設容認を公約にして当選した知事も名護市長もいない。

「辺野古移設こそ、唯一の解決策」と繰り返す政権に対し、県民からは「もう日本のための捨て石にはならない」との声が聞こえてくるようになった。これ以上、沖縄に基地負担を押しつけるやり方は、決して解決策と呼べるものではない。

毎日新聞 2015年03月31日

辺野古移設 沖縄と敵対ばかりでは

国と沖縄が行政法を使ってお互いに対抗措置を繰り出し、対立をますます深めている。両者は一刻も早く話し合いの場を持ち、この異常事態に終止符を打つべきだ。

読売新聞 2015年04月02日

辺野古移設作業 建設的立場で接点を模索せよ

沖縄県知事が、米軍普天間飛行場の移設作業を停止させようとするのは無理筋ではないか。移設を前提に、政府と県は、接点を探るべきだ。

名護市辺野古における防衛省の移設作業の停止を翁長雄志知事が指示した問題で、林農相が指示の執行停止を決定した。

作業停止で工事が遅れれば、飛行場周辺住民や日米関係に「重大な損害」が生じるとする防衛省の主張を認めた。妥当な判断だ。

農相は今後、防衛省の行政不服審査請求に基づき、知事指示を無効とするかどうかを審査する。客観的な立場で吟味してほしい。

県は、防衛省が海底に投入したコンクリート製ブロックを「許可区域外に設置された」と問題視し、作業停止指示の根拠とした。

だが、防衛省は「事前確認で県が許可は不要とした」と説明する。実際、那覇空港の拡張工事など複数事業での同様のブロック設置で県は許可を求めていない。「他の事業との公平性に欠ける」との防衛省の主張はもっともだ。

県はブロック設置で「サンゴが破壊された」と言う。防衛省は「県規則の規制対象となる『サンゴ礁』にまで成長したサンゴは損傷していない」との立場だ。

防衛省は、サンゴ礁を破壊しないよう、慎重に場所を選び、ブロックを設置したとも説明する。その主張は理解できる。

翁長知事は、県の岩礁破砕許可の取り消しを検討していたが、農相の執行停止決定により、先送りを余儀なくされた。

別の理由を探して、あくまで許可取り消しを目指す道もあろう。だが、いたずらに政府との対立を激化させることが、果たして多くの県民の利益になるのか。

普天間飛行場の辺野古移設は、米軍の抑止力を維持しながら、周辺住民の負担を大幅に軽減する最も現実的な選択肢だ。移設の遅れは、飛行場の危険性や騒音被害の長期化に直結する。

米軍は先月31日、51ヘクタールの西普天間住宅地区を日本側に返還した。一昨年の日米合意に基づく初の大規模返還だ。政府は、国際医療拠点を整備し、「基地跡地利用のモデルケース」にしたい考えだ。

こうした基地返還と沖縄振興を進めるためにも、合意の前提である辺野古移設の実現が重要だ。

菅官房長官は4日に沖縄を訪問し、翁長知事と会談する方向で調整している。政府は、県側と建設的な対話を重ね、移設実現への関係者の理解と協力を広げる努力を続けることが欠かせない。

産経新聞 2015年04月01日

辺野古移設 話し合いの土俵を整えよ

米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、移設を推進する国と、阻止を唱える沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事との対立が決定的になろうとしている。

国の一連の手続きに瑕疵(かし)はない。県側の姿勢は国益の判断を避けた、かたくななものであることは否定できない。

だが、双方とも現実的な打開策を話し合うテーブルにさえついていない。トップ同士で話し合う努力を求めたい。

裁判闘争に至れば対立の構図が固定化する。日本の安全保障に加え、危険と隣り合わせの周辺住民の安全がかかる重大事であり、泥沼化する事態は避けるべきだ。

林芳正農林水産相は、さきに翁長氏が沖縄防衛局に対して発した海底作業の停止指示を「執行停止」とすることを決めた。今後、指示の妥当性を精査して「無効」の判断を下す見通しだ。

この記事へのコメントはありません。

この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/2152/