地方の人口減少にどう歯止めをかけ、いかに活性化させるのか。その処方箋を具体的に論じ、考える機会としたい。
北海道、神奈川など10道県の知事選が告示され、4年に1度の統一地方選が始まった。
41道府県議選なども順次、告示され、4月12日に投開票される。後半戦は、市区町村長・議員選で、26日が投票日となる。
全国の半数の自治体が将来的に「消滅」する恐れがあるとの民間推計を踏まえ、安倍政権は昨年末、「地方創生」の総合戦略をまとめた。各自治体も、それぞれの戦略を15年度中に策定する。
若者が地方にとどまり、安心して子育てをするには、雇用の確保や育児支援の充実が欠かせない。医療や教育、産業振興、防災なども自治体の重要な役割だ。
地域の実情を踏まえ、優先すべき政策は何か。各候補者は積極的に論戦を展開すべきである。
地方自治は、首長と議員の「二元代表制」だ。だが、議会は、審議が形骸化し、「首長の追認機関」と揶揄されることも多い。
昨年は、政務活動費の不自然な使途を問われて号泣した兵庫県議や、セクハラのヤジを飛ばした東京都議らが強く批判された。
議員選では、候補の能力や資質が厳しく問われる。自らの名前を連呼したり、抽象的に「改革」を唱えたりするだけでは困る。有権者の眼力も試される。
統一地方選の投票率は低下傾向が続く。前回11年の道府県議選では初めて5割を下回った。
無投票も増えている。昨年の地方選では、首長選の約4割、議員選の約1割が無投票だった。
いずれも深刻な状況である。
地方自治は住民の暮らしに密接に関係する。女性や若者を含め、より多くの人が身近な政治に関心を持ち、担い手に名乗りを上げる。有権者も積極的に選挙権を行使する。そのことが地方政治に活力と緊張感を与えよう。
主要政党には、来夏の参院選への基盤固めの戦いとなる。
ただ、知事選で政党の影は薄い。自民、民主両党系候補の対決は北海道と大分県だけだ。各党の安易な相乗りが、有権者の選択肢を狭めたことは否めない。
自民党は、道府県議選に前回を上回る候補者を擁立し、議席増を目指している。
民主党は、岡田代表の地元の三重県知事選で候補を擁立できず、道府県議選の公認候補も現時点で前回より約4割少ない。地方組織の立て直しへの道は険しい。
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