沖縄の対抗措置 政府は追い詰めるな

朝日新聞 2015年03月24日

辺野古移設 沖縄の問いに答えよ

政府はどこまで問答無用の姿勢を続けるつもりなのか。

沖縄県の翁長雄志知事はきのう、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設に伴う埋め立て工事に向けたボーリング調査など一連の作業を1週間以内に停止するよう、沖縄防衛局に指示した。

指示に従わなければ、昨年8月に仲井真弘多・前知事が出した「岩礁破砕許可」を取り消すとしている。

翁長知事は会見で「腹を決めている」と述べた。沖縄側の最後通告ともいえる意思表示と考えるべきだろう。

これまでの経緯を振り返ると、「沖縄の方々の理解を得る努力を続けながら」と言ってきたはずの政府が実際には、沖縄の訴えに耳を閉ざして「粛々と」作業に突き進んできた状況がある。

岩礁破砕は海底の地形を変化させる行為。水産資源への影響を避けるため、県漁業調整規則で知事の許可が必要だ。

ことの発端は1月、沖縄防衛局が海底に大型のコンクリートブロックをいくつも沈めたことだった。

ブロックの投下は、許可区域を広く取り囲むように設定された立ち入り禁止区域に沿って行われ、許可区域外の海底のサンゴ礁などが傷ついているおそれがある。県は独自調査に取り組み始めていた。

しかし立ち入り禁止区域での調査は米軍に拒まれ、県は再度調査を申請している。翁長知事は今回、防衛局に調査への協力も求めた。

翁長知事は仲井真前知事が出した埋め立て承認を検証する第三者委員会の結論が出るまで、作業の中止を要求した。それを無視して政権側はボーリング作業に突き進んだ。

政府はブロック投下について「(前知事時代に)県から岩礁破砕手続きの対象とならないと示されていた」と主張し続け、「対象となる」とする県の言い分に聞く耳を持たない。

知事選で辺野古移設阻止を公約して当選した翁長知事にしてみれば、知事の行政権限を駆使して沖縄の立場を訴える行動に出るのは当然の流れだろう。

知事の姿勢を、中谷防衛相は「もう少し沖縄県のことや日本の安全保障を踏まえて考えていただきたい」と批判する。

だが、米軍基地が集中する沖縄の県民にとっては、国の安全保障政策は「なぜ辺野古か」「なぜ沖縄に海兵隊か」といった疑問だらけである。沖縄からの深刻な問いかけに、政府はまず向き合うべきだ。

毎日新聞 2015年03月24日

沖縄の対抗措置 政府は追い詰めるな

沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた海底作業を1週間以内に停止するよう防衛省の沖縄防衛局に指示した。指示に従わなければ、岩礁破砕許可を取り消すことがあると警告している。政府は直ちに作業を停止し、県との話し合いに応じるべきだ。

読売新聞 2015年03月25日

辺野古移設作業 冷静さを欠く知事の停止指示

必要な法的手続きに問題がない以上、政府は、米軍普天間飛行場の移設作業を計画通りに進めることが重要である。

沖縄県の翁長雄志知事が、移設先の名護市辺野古沿岸部での移設作業を停止するよう防衛省に文書で指示した。応じない場合は、昨年8月の県の岩礁破砕許可を取り消すという。

防衛省が地質調査のため無許可で設置したコンクリート製アンカーがサンゴ礁を破壊した可能性が高い、とするのが県の主張だ。

工事に必要な許可を取り消し、移設を阻むのが狙いだろう。だが、この対応は、あまりに一方的であり、疑問である。

防衛省は、県に事前確認し、昨年6月、アンカー設置に県の許可は不要との回答を受けている。

さらに県は、那覇空港第2滑走路建設工事でも、今回と同様なアンカー設置について、許可は要らないとの立場を示している。

行政には継続性と公平性が求められる。「県と十分に調整したうえで作業を実施している」という政府の主張は、理解できる。

菅官房長官が、知事の指示について「違法性が重大かつ明白で、無効だ。作業を中断する理由にはならない」と述べ、作業を続ける方針を示したのは妥当である。

防衛省は、県への対抗措置として、関連法を所管する林農相に、県の指示に対する行政不服審査請求と執行停止を申し立てた。

県が停止指示の根拠とする県漁業調整規則は水産資源保護法に基づいており、農相は、県に指示の是正を促す権限があるためだ。

林農相は、一連の経過を客観的に検証したうえで、適切な判断を下してもらいたい。

住宅密集地にある米軍普天間飛行場の辺野古移設は、住民の基地負担軽減と米軍の抑止力維持を両立する最も現実的な方策だ。

移設が遅れれば、飛行場の危険な現状の長期化に加え、在沖縄海兵隊のグアム移転など他の基地負担軽減策の実現も危うくなる。

1996年の普天間飛行場返還の日米合意が、様々な曲折を経て、ようやく実現のメドが立った今、再び移設問題を迷走させる事態はあってはなるまい。

政府は、地元関係者の理解を広げる努力を根気よく続けながら、決してぶれることなく、移設を進めていく必要がある。

翁長知事は、辺野古移設を阻止するため、法廷闘争も辞さない構えを見せている。政治的パフォーマンスに走らず、冷静に政府との接点を探るべきではないか。

産経新聞 2015年03月24日

辺野古移設 知事は停止指示の撤回を

米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事が、防衛省沖縄防衛局に対して辺野古沿岸部での海底作業の停止を指示した。

従わなければ、1週間後には移設工事に伴う岩礁破砕許可を取り消すともいう。

この対応には問題があると指摘せざるを得ない。政府側は、知事の指示を受け入れないことを表明した。作業は粛々と進めるべきだ。

辺野古移設が頓挫すれば、住宅密集地にある普天間飛行場の危険性を取り除くという県民の願いはかなわない。今回の指示はそうした結果を招きかねないものだ。知事は撤回してほしい。

いったん認可した事業のどこが問題なのか。仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事時代、県は政府との交渉で、埋め立て予定区域に隣接する臨時制限区域に、コンクリートブロックを投下することに問題はないとの立場を示していたという。

菅義偉官房長官は「知事が定める規則を踏まえ、十分な調整をした上で(作業を)実施している」と述べた。

知事交代で県が許認可の判断を百八十度変えるには、それ相当の理由が必要である。知事の主張に十分な根拠があるとはいえず、停止の指示は、行政の継続性からみても疑問である。

また、普天間飛行場の危険性除去について、知事には周辺住民の安全な暮らしを守る大きな責務がある。辺野古移設をめぐる混乱をいたずらに拡大するような手法は避けるべきだ。

沖縄の島である尖閣諸島(同県石垣市)をはじめ南西諸島の安全は、中国の軍事的台頭により脅かされている。沖縄はいや応なくその最前線になっている。

辺野古移設は、日米同盟の抑止力維持の観点から、沖縄県民を含む国民全体の利益となることを理解してほしい。

混乱を回避する責任は、知事や県側だけでなく、政府にもあることも指摘しておきたい。

国にこそ、安全保障を確かなものとする責任がある。辺野古移設に対する沖縄の理解を広げていく不断の努力が必要である。

安倍晋三政権が移設工事に着手したことは評価できるが、首相や菅官房長官らと知事との会談が実現しないなど意思疎通を欠いている。沖縄への説得を強められるよう状況を改めることも急務だ。

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