新G7始動 非公式化でも重要性変わらぬ

朝日新聞 2010年02月09日

G7の役割 金融秩序立て直す要に

主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が北極圏にほど近いカナダのイカルウィットで開かれた。儀式化を反省しG7の意義を原点から考えようとの狙いもあって、厳寒の港町が会場に選ばれたのだという。

大恐慌以来の危機を境に激変した世界の経済・金融情勢。昨年9月の米ピッツバーグG20サミットでは「G20が世界経済を討議する最重要会議」と位置づけられた。G7の影は薄れ、今回は共同声明を12年ぶりに出さないことが決まっていた。

そんなG7の「自分探し」の旅を、世界的な株安連鎖が揺さぶった。発端はポルトガルの国債入札の不調。ギリシャなど財政危機に直面する国々を抱える欧州連合(EU)全体の信認が揺らぎ、ユーロも売られた。

ニューヨーク市場の平均株価が1万ドルを割り、東京市場でも株安が進んだ。バブルを懸念する中国当局による金融引き締め観測、先に米オバマ政権が発表した金融規制強化の影響への懸念などが、連鎖に拍車をかけた。ここには今後の世界経済を左右する問題が幾つも絡み合っている。

だが、G7閉会に際しての議長総括に明確なメッセージはなかった。世界経済の回復を支える景気刺激策の続行、財政の持続性への配慮など、これまでの姿勢の確認が目立った。G7そのものは非公式な性格を強めながら続けていくことになった。

この素っ気なさは、G7が直面している壁を示すものだ。議論は濃密かつ率直だったらしい。だが、欧州情勢では、ギリシャなどの財政問題はEUに処理を期待するしかなく、G7で結論めいたことを出すのは難しい。一方、中国問題は当事者がいないため、突っ込んだ議論はできない。

こうした壁は、G7の枠組みが続く限り今後も存在し続ける。そんな制約下で、G20時代にどのような役割を果たすことができるのか。

その答えがすぐに出るわけではない。だが、ひとつの有力な方向性は、危機を再発させない新しい国際金融の秩序作りに向けた貢献ではないか。

米国は、オバマ政権が打ち出した新金融規制案を詳細に説明した。銀行と証券の機能を分け、預金を扱う銀行には危険度の高い金融商品を取引させないことで、危機の再発を防ごうというものだ。これについて制度に差がある欧州や日本も理解を示した。

さらに、金融機関の救済に要した財政支出を金融機関自らに負担させるという点では各国が一致した。

G7は、G5時代から40年近く世界市場と向き合ってきた。為替安定や不均衡是正の協調にとどまらず、将来展望や問題解決の枠組みを提示し、先導的役割を担うことでG20体制の推進力となるよう求めたい。

読売新聞 2010年02月09日

新G7始動 非公式化でも重要性変わらぬ

カナダで開かれた先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、12年半ぶりに共同声明の採択を見送ったことで、G7が大きな転換点を迎えたことを印象づけた。

G7は、非公式会合のG5としてスタートし、ドル高是正を打ち出した1985年の「プラザ合意」で一躍、存在感を強めた。

その後も、為替変動や経済政策運営に関する声明を発信し続け、最も影響力のある国際経済会議の地位を維持していた。

だが、こうした役割は、一昨年秋の金融危機をきっかけに、中国やインドなどを含むG20の枠組みにバトンタッチされつつあった。G7は今後、先進国の閣僚らが率直に意見交換する非公式会合に衣替えするという。

確かに、大所帯のG20では、為替相場の急激な変動など、緊急時に迅速に対応するのは難しい。小回りのきくG7の役割は、引き続き重要といえよう。

G7にいま求められるのは、金融危機で打撃を受けた世界経済を安定させ、再発防止の枠組み作りに貢献することだ。

世界経済は一時の危機は脱したが、最近はギリシャなど欧州の一部で、経済・財政悪化の懸念が再び高まっている。

先進国が失業や財政の悪化に苦しむ一方で、高成長の新興国には大量の資金が流れ込み、バブルとその崩壊が心配されている。新興国の輸出攻勢による世界経済の不均衡も是正が求められる。

こうした情勢の下、今回のG7は議長総括で、景気刺激策を続けつつ、危機対応を平時に戻す「出口戦略」や、財政健全化も見据えるべきだと指摘した。

総論ではその通りだろう。しかし、各国が具体的にどう対処すべきかという各論では、踏み込み不足に終わった。

割安とされる中国・人民元の問題では、柔軟な為替政策が望ましいとの認識を踏襲しただけで、改善への決意は示されなかった。

米オバマ政権の金融規制についても、規制強化の方向では一致したが、肝心の具体策は先送りされた。「意見交換」に終始すれば、G7の地盤沈下は免れまい。

G7に出る日本の財務相は、金融・財政に詳しくない政治家が就くケースが多く、しかも短期間で交代してきた。これでは、経験豊富な欧米の閣僚らと、突っ込んだ議論をするのは難しかろう。

新G7時代の財務相は、経済政策の専門家から選び、十分な経験を積んでもらう必要がある。

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